Vの庭先で肉食を

唐揚げ4/4【Vの庭先で肉食を】

唐揚げ4/4【Vの庭先で肉食を】

>唐揚げ1/4 >唐揚げ2/4 >唐揚げ3/4 カラアゲを見つめる。 ヴィ連が、僕たちが、命がけで戦ってきた肉食という行為をあっさりと見せつけられてしまった。 戦友が命を捨てて守ったものを、という悔しさ。 たったこれだけのことのために、という可笑しさ。 ヴィ連は動物の命を守るために人の命を犠牲にするけど、この人たちは動物の命を食らうために人の命を犠牲にしている。 どっちが正しいのか分からない。 でも、 「ねえ、ひとつ聞いていい?」 「どうぞ」 「さっきの、イタダキマスってど

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唐揚げ3/4【Vの庭先で肉食を】

唐揚げ3/4【Vの庭先で肉食を】

>唐揚げ1/4 >唐揚げ2/4 「雨が…」 雨音に目覚めると天幕の中だった。 枕元に女の人が座っていて、視線を向けるとこちらを振り向く。 「お、目が覚めたかね、少年兵」 「ここは…?いった!」 激痛で意識が覚醒する。 「撃たれたのが肩で良かったね。傷痕は残るけど、元通り動かせるようになるってさ」 見ると左肩が包帯で巻かれ、他にもあちこちに治療の跡があった。 「…ここはどこ?」 「ふっふふふ。ヴェクター!説明!」 「ははは、嫌です。揚げ物で忙しいので。大体その子拾ったのアリサ

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唐揚げ2/4【Vの庭先で肉食を】

唐揚げ2/4【Vの庭先で肉食を】

>唐揚げ1/4 雨が降っている。 人工河川から水が溢れ、集団農場を飲み込んでいく。 生まれ育った貧しい家も、痩せた畑も、僅かに手元に残った収穫物も、両親も、何もかもを飲み込んでいく。 よく分からないが、荒れ地を肥沃な農場に改良するという計画にそもそも無理があったらしい。 噂によると、誰か偉い人が粛清されて、この事件は終わりになったとか。 全てを失った僕の人生は続いていくのに、何が終わったというのだろう。 雨が降っている。 演習場から宿舎まで走って帰れと言い残して、訓練教

唐揚げ1/4【Vの庭先で肉食を】

唐揚げ1/4【Vの庭先で肉食を】

雨が降っている。 敵の死体、味方の死体、それと…鶏の死体。 動いているのは10人弱のレインコートの群れだけ。 どうやら人間の死体を掻き分け、鶏の死体だけを拾い集めているらしい。 敵=肉食者を倒してくれたから味方かと思ったが、違うのだろうか。 群れで襲撃し肉を奪っていく様子は、いつか聞いた狼の狩りを想起させた。 雨が降っている。 銃創から溢れる血液と体温が容赦なく洗い流されていく。 雨音に時折混ざる銃声は哀れな生存者にトドメを刺すものだろうか。 仰向けに倒れた僕のすぐそばに

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カリーヴルスト③【Vの庭先で肉食を】

カリーヴルスト③【Vの庭先で肉食を】

>カリーヴルスト① >カリーヴルスト② 「さっきので最後みたいっすね」 「そーだね。シグもういいよ。おつかれ」 最後の追跡車の大破を見届け、後方への射撃を終えたアリサカとシグが車内に引っ込む。 運転席にカルカノ、助手席にアリサカ、後部座席にはシグと中年の男性=亡命希望のヘッケラー氏が収まっている。 「お、終わったのかね?これから私はどうなるんだ?」 「カルカノ、説明」 「オレっすか!?えー、本日はご搭乗ありがとうございます。当機は追っ手を振り切ってこのままV市郊外へと参りま

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カリーヴルスト②【Vの庭先で肉食を】

カリーヴルスト②【Vの庭先で肉食を】

>カリーヴルスト① 「美味しい!美味っしいねえ、シグ!」 「うん美味しい」 D国V市。 アリサカは少年=シグと、大通りに面したオープンテラスでカリーヴルストを頬張っていた。 「ふっふふふ。シグが気に入ったんなら帰ってからも作ってあげよう。ソーセージにケチャップとカレー粉かけるだけだから多分私にもできる」 「ソーセージもなんか違う気がする」 「おっ、シグも分かってきたね。うちでもルガーが作ってくれるけどさ、まだまだ本場の味には及ばないね」 「シグは戦場以外のD国初めてだね

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カリーヴルスト①【Vの庭先で肉食を】

カリーヴルスト①【Vの庭先で肉食を】

>プロローグ 「アリサカ、お客さん」 「入ってもらって~」 客=鼻と口をハンカチで覆ったインテリ士官は、心底嫌そうに天幕の入り口をくぐる。 「やあやあスチェッキン!ご用件は?」 「ご機嫌ですね」 「ご機嫌だよお!前の仕事良かったもん!美味しかった!」 「ああ、そうですか」 心底嬉しそうに語るアリサカに、スチェッキンは眉間の皺を深くする。 「で、今日のお仕事は?牛?豚?たまには羊もいいなあ」 「人です」 「はい解散」 間髪入れず立ち上がろうとするアリサカを、スチェッキンの

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Vの庭先で肉食を

Vの庭先で肉食を

「姐さん、お客です」 「通せ」 客=鼻と口をハンカチで覆ったインテリ士官は、心底嫌そうに天幕の入口をくぐる。 「やあスチェッキン。ご用件は?」 「昨日からヴィ連軍の進軍が停止していることは?」 「知ってる知ってる。何があった?」 「“牛の盾”です」 「牛かあ!」 喜色を隠そうともしないアリサカに、スチェッキンは軽蔑の色を深くする。 「卑劣な策です。なんとかして頂きたい」 「なんとかね」 「我々ヴィ連軍は邪悪な肉食主義者と戦い動物を救う正義の使者です。ですから」 「肉食主義

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