砂塵小説家のモノローグ(再)

私がいなくても、あなたがいればといつも思う。私などいる必要はないのだ。書く必要がないのだ。あなたがいれば。
 私がいなくても、あなたがいればとは、響が環先生にいったせりふだが、それは、私の悲鳴、私の気持そのものなのかもしれない。
                      緒真坂「極北」あとがき

 以下は、noteに初めて書いた文章です。

                           

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傷は癒えず血が流れている(「スズキ」)
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読んだ小説がものすごく面白かった。死にたい

〇月〇日

 南池袋の端にあるカフェでランチを取り、私と妻くんは、ひさしぶりに往来座にいった。ここは、文学関係、映画・写真集関係の本が充実している古本屋である。
 店内は妙ににぎわっていた。カメラを持ったひと、またその関係者らしいひとが数人。パソコンを抱えているひともいた。
 中央に、テレビで観たことがあるようなひとがいた。NHK朝ドラマ「ひよっこ」に出ていた、有村架純の友人の役をしていた佐久間由

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ぼくは楽器ではなく、ことばを演奏したいのです(「極北」)
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イエネコ発祥の地、エジプトのネコに会いたくて、冬!

はーい、今回のネコエッセイはかなり前の話で、以前「NEKO」で「路地裏ニャン方見聞録」を連載しているときの旅の話です。

このときは、マレーシア航空の片道切符で、クアラルンプール、ドバイ、ウィーンを経由してスペインのマドリッドへ。
半年近くかけて色々な国をネコを求めて三千里放浪していました。
そんなこんなで、場所はギリシャへ。
ギリシャのネコの話はまた別の機会にとっておいて、今回はエジプトなのだ。

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ネコ写真もアップします!
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アラフォー女子の厄災

新しい本を出す準備をしている。昨年の夏ごろから準備を始めていて、第1稿目のゲラもあがっている。

 「極北」は、1年半前の本である。
 それに続く新しい本を作ろうという気持はあったのだが、どの小説を選ぼうか、迷っていた。
 高校の名門野球部を舞台にしたミステリを書いていた。野球部の関係者しか出てこない。のに、対抗試合の場面が一回も出てこないのだ。野球小説で(おそらく)いちばん盛り上がるであろうシー

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それが、おれの孤独の数だ、と思った(「極北」)
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「ホリー・ジョンソンの愛人」のホリー・ジョンソンは、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのホリー・ジョンソンである

「ホリー・ジョンソンの愛人」というタイトルである。
 このタイトルを持つ短編は、私の中・短編集『スズキ』(櫻門書房)に収録されている。ホリー・ジョンソンとは、1980年代に活躍したバンド、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドのリード・ヴォーカルである。バンドの活動が1980年代に限られているせいか、「リラックス」、「プレジャードーム」、「トゥー・トライブス」などの大ヒット曲があるにもかかわらず、最

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問題の映像も見つかった(「スズキ」)
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カバが消えた(再)

「アナログガール」(櫻門書房)という本を出した。私の中・短編小説を集めた本である。そのなかの「コクー」という小説に、カバという登場人物がいる。小説は、100パーセント、フィクションである。ただ、このカバという名前は、実在の人物から拝借した。当時勤めていた職場のアルバイトの名前である。その理由を以前、noteに書いた。感謝のつもりだった。
 だが、読者が少ないようなので、再掲載します。

     

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美しい夏の闇に包まれながら、炎の川を歩いていく(「よろこびのなか…」)
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男性の下着

きょうは、今年、最後の日。大晦日。

 大晦日といえば、紅白である。
 紅白の権威がなくなって、出演する歌手も、出たければ出るし、出たくなければ事前に辞退する。それだけのこと、といった印象で、いい感じである。
 紅白の視聴率に関するわずらわしい情報には、私は、興味がない。
 ので、私も、観たいアーティストだけ観る、という気楽なスタンスで、テレビをつけている。

 もう2年前のことになるのだろうか。

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ぼくは楽器ではなく、ことばを演奏したいのです(「極北」)
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思い出と本は消えない

○月○日

 超短篇である。

「忘れられない誕生日だった」と彼女がいった。「と、あたしがいったらしいのだけれど、すっかり忘れちゃった。あはははっ」

 人生とは、そういうものである。

 〇月〇日

 世間はスターウォーズである。町なかにストームトルーパーがあふれている。それがいやなわけではないけれど、というか、スターウォーズは全作観ているけれど、なんだかなあ、という気は、ちょっとする。

 〇

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傷は癒えず血が流れている(「スズキ」)
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「先生、私、きっぱりと辞退したのですけれど」

以下の小説は、私の中・短編集『スズキ』に収録された「先生、私、きっぱりと辞退したのですけれど」という中編小説である。『スズキ』のなかでは、表題作「スズキ」と、この「先生、私、きっぱりと辞退したのですけれど」の評判が、特に高い気がする。
 とある私立大学の法学部の教授も『スズキ』を読んで、完成度の高さでは「スズキ」がいちばんだが、私の好きなのは、君島ミクという美少女が出てくる「先生、私、きっぱりと…

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犯罪とちがって、約束には時効はないからね(「スズキ」)
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「アナログガール」 あとがき

下記の文章は、私の書籍「アナログガール」(櫻門書房)のあとがきです。「アナログガール」は、2014年の5月に出版されました。
 小説そのものが作者の世界観を語る。それに水をさすような作者のあとがきは、鑑賞の邪魔である、という考え方もあると思いますが、私は、あとがきが好きです。松尾スズキさんの戯曲本など、あとがきが読みたいばかりに購入しているくらいです(もちろん、それだけではなく、その戯曲がすばらし

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「永遠」と「絶対」はどこにもない(「アラフォー女子の厄災」)
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