剣客小説

【ファンアート】『荒神斬り』を読んだきに!

【ファンアート】『荒神斬り』を読んだきに!

今月は遊行剣禅さんの『荒神斬り』を読みました。 私は時代パルプ小説として楽しんだだけでなく、歴史娯楽作品を書く上での学びにもなり、とても好きなジャンルだと感じました。 今回は第1話『逢瀬編』に焦点を絞り、ファンアートで応援します! ◆荒神斬り ───黄泉返った古来の英霊が現世に現れ人を襲う。これは奇怪な復活を遂げた荒神に、かみきり丸たちが挑む物語! ☆かみきり丸(下):荒神の調伏を試みる黒衣の侍 ☆弁慶(上):復活を遂げた、身の丈十二尺の英霊 ☆楓(右上):かみきり丸を

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刀鬼、両断仕る 第二話【真波】上

刀鬼、両断仕る 第二話【真波】上

◇【前回】◇ 「はぁ、はぁ、はぁっ……!」  薄暗い山道を、少年は走る。  齢は十。柔らかみのある頬を泥と汗で汚しつつ、懸命に走る。 「はぁ、はぁ、はぁっ……!」  時折後ろを振り返りつつ、息を切らせながらただ、走る。  仲間はいない。無論、庇護する親もない。  少年は独りだった。ただ自分の足だけで、ひたすらに逃げていた。 「はぁ、はぁ、はぁっ……!」  体力は、思いの外長く続いた。こうも走れるものかと、少年自身意外に思うほどに。  理由は、彼が懐に忍ばせたある物にある。

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刀鬼、両断仕る 第一話【無粋】

刀鬼、両断仕る 第一話【無粋】

 夜明けから間もなくの、曇天。  山と山の狭間に開けた草原に、つんとした血の匂いが漂う。 「……あぁ、良いな」  小さく、男が呟いた。  返り血に全身を染めた男は、薄暗い空に己の得物を掲げる。  白銀の刃は一点の汚れも無く、鞘から抜いたばかりかのように煌めいていた。  けれど……そうでは無い。 「ぅ……ぁぁ……」 「さて、お前で最後だ」  血濡れの男は、目前の武士へと声を掛けた。  大鎧に身を包む彼は、青白い顔で震えながら、覚束ない手付きで弓に矢を番える。 「化け物、め…

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刀鬼、両断仕る

刀鬼、両断仕る

 夜明けから間もなくの、曇天。  山と山の狭間に開けた草原に、つんとした血の匂いが漂う。 「……あぁ、良いな」  小さく、男が呟いた。  返り血に全身を染めた男は、薄暗い空に己の得物を掲げる。  白銀の刃は一点の汚れも無く、鞘から抜いたばかりかのように煌めいていた。  けれど……そうでは無い。 「ぅ……ぁぁ……」 「さて、お前で最後だ」  血濡れの男は、目前の武士へと声を掛けた。  大鎧に身を包む彼は、青白い顔で震えながら、覚束ない手付きで弓に矢を番える。 「化け物、め…

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荒神斬り:残悔編 五話

荒神斬り:残悔編 五話

承前 澄み渡るような青空の下、以蔵とかみきり丸は打ち捨てられた神社の階段に腰かけていた。楓は原体である狐に戻ってかみきり丸の膝にまるくなっている。 「あれで終わったのか?」 「この一帯を襲っていた荒神は昨晩の集団がすべてだそうだ」 「ほうか」 自分から問いかけておきながらどこか上の空の以蔵の横顔を見やるも、自分からは深く聞かないかみきり丸。 自分は自分で次の旅先を考えていたのだ、無論荒神の現れる地を、だが。 「おまんはまた別の荒神を斬りにいくんか」 「そうだ」 「おか

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荒神斬り:残悔編 四話

荒神斬り:残悔編 四話

承前 「下郎、名をなんという」 月下の光の中、血に染まったが如き甲冑をまとった荒神は地の底からの呼び声めいた低い音で以蔵に問うた。 「岡田、以蔵。ぬしはどこのなにさまよ」 「平が一将、平維盛」 維盛の名乗りに戦慄を感じる以蔵。 名乗りに応じた、すなわちこれなる荒神は会話が成り立つ程度の理性があるという事を意味していた。 「ほうん……平がこのご時世になんの用で迷い出たんじゃ」 維盛は答えない。代わりに返答として送られたのは腕がたち、修羅場を潜り抜けてきた以蔵をしてお

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荒神斬り:残悔編 三話

荒神斬り:残悔編 三話

承前 「げにここを通るのか?」 「ああ、集落の人々の訴えでは毎晩ここを通って見つけた人間を襲うそうだ」 時はじきに丑三つ時を迎える深夜、三人は人々の住まう集落からほど離れた山道の脇に身を隠していた。 「やけんど平の怨霊とはな、あやかしなど作り話だとばっかり思うちょった」 「実物を見ればイヤでもわかる」 「きさまはもううたがっちょらん」 どっかと腰を下ろして答える以蔵にじと目を向ける楓。 「あやかしも怨霊もちゃんといますよ。最近荒神に成った方々はなんだか人為的な気が

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荒神斬り:残悔編 二話

荒神斬り:残悔編 二話

承前 とどめを刺さんと油断なく刀を構える男!しかしてそこに闖入者あり! そば屋に乱入したのは金糸の髪に紅葉柄の着物をまとった少女、化け狐の楓である! 「かみきり丸さま!早く逃げますよ!」 「楓か!」 「なんじゃおまんは!?」 一瞬土佐弁の男をにらむもすぐにかみきり丸に向き直る楓。 「ここのおかみさんが斬りあい始めたって大騒ぎで、じきにここに人が集まってきます!このままじゃ捕まっちゃいますよ!」 「むう……それは困る」 「ちい、時間をかけ過ぎたか」 楓の言う通りに店の

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荒神斬り:残悔編 一話

荒神斬り:残悔編 一話

朧月夜が照らす寺町通り。その地にばっと鮮血が舞い散る。 犠牲者は抜き身の刀を持った三人組の侍の一人で、その胴を横薙ぎに斬り飛ばされ、無残に大地に転がった。 「こんの弱虫共がっ!この程度の腕で何するものか!」 速すぎる斬撃は斬った刀に血糊すら着いていない。 斬り捨てた側の男は闇夜にその眼を爛々と光らせ残党を威嚇、明確な死をもたらす脅威に暗殺者達は怖じ気づき、背を向けて脱兎、闇に逃げていく。 残心を解き、刀を収める男。そして守られた侍が男に声をかける。 「岡田君、君に助けら

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