んまんま日記

うつわ/中澤日菜子

 料理と、それを盛り付けるうつわには大きな関係があると思う。  たとえばラーメン。うちは長らくちゃんとしたラーメンどんぶりがひとつしかなく、仕方がないのでそば・うどん用のどんぶりを代わりに使っていた。  だが和もののどんぶりに盛ったラーメンは、なんだかラーメンのような気がしない。食…

海辺でランチ/中澤日菜子

『孤独のグルメ』というドラマをご存じだろうか。俳優の松重豊さん演じる井之頭五郎という男性が、仕事の合い間にひとりご飯をする、ひと言で言ってしまうとそういうドラマである。  ちなみに原作は久住昌之さん、作画は谷口ジローさんというコンビで描かれた漫画である。一話完結で、実際にあるお店…

子どもの発想/中澤日菜子

 この連載の筆者紹介文にも「妻、母、元編集者、劇作家の顔を持つ」と書かれているように、わたしには娘が二人いる。  長女十九歳、次女十七歳ともう大きくて、すっかりコナマイキな生きものに成長してしまったが、十数年前は可愛かった。とくに女の子だからか、おませで口が達者というか、よく面白…

始まりの一杯/中澤日菜子

 ここ最近、わたしは締めのラーメンではなく「始まりのラーメン」を食べるようにしている。 「始まりのラーメン」とはなんのことかというと、大事な会食や飲み会があるとき、会が開かれる前にラーメンを食べ、お腹をあらかじめ満たしておくことを意味する。  どうしてこれから美味しいものがわんさと…

京都・奈良編 その2/中澤日菜子

 京都・奈良編、第二回にして最終回。  二日めは京都のお寺や神社をめぐる。  まず向かったのはずっと行ってみたかった伏見稲荷大社。濃い緑の樹々に囲まれた赤い鳥居がなんとも美しい。そしてここにもひとがいない……。他県への移動自粛が解除されたとはいえ、コロナ禍にあってなかなか観光地を…

京都・奈良編 その1/中澤日菜子

 緊急事態宣言が解かれ、他県への移動が可能になった六月下旬、京都と奈良に取材がてら旅してきた。そのときのおもに美味しいものをめぐって、今回から二 回にわたり「んまんま日記 京都・奈良編」をお届けしようと思う。  旅程は京都二泊に奈良一泊、計三泊四日の一人旅だ。  初日、新幹線でびゅ…

仕事場菜園/中澤日菜子

 何度かこのエッセイにも登場しているが、わたしは自宅から徒歩数分のところに仕事部屋を借りている。  そう言うとたいていのかたが「すごーい!」と感心してくださるが、たぶん想像しているようなものとはだいぶ違うものであると思う。  わたしの仕事部屋は築三十年は経とうかという、木造の安ア…

闇鍋/中澤日菜子

「闇鍋」ということばを耳にしたことのあるかたは大勢いらっしゃると思うが、じっさいやったことがあるかたはどれくらいいるのだろう。  かくいうわたしも四十数年間、一度やってみたいと思いつつ果たせないでいた。そんな話を悪友どもにしたところ「じゃあいっちょやってみるか」ということになった…

コロナ太り/中澤日菜子

 新型コロナ肺炎。この原稿を書いている六月中旬でも、東京では感染者の数が二十名から多いときは四十名以上に及ぶなど、まだまだ予断を許さない状況がつづいている。  思えば今年の初め、こんなことになるなんて予想もしなかった。それはきっとわたしだけではあるまい。みなさんも「まさかこんな年…

二郎愛/中澤日菜子

 二郎というお店をご存じだろうか。「二郎ラーメンはもはやラーメンではない。二郎という食べものだ」とよくいわれるあの二郎である。  じつはわたしは二郎ラーメンが大好きで、いわゆる「ジロリアン」ならぬ「ジロリエンヌ」である(二郎のファンの男性をジロリアン、女性をジロリエンヌと呼ぶらし…