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家族

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2020年6月の記事一覧

サザエさん

サザエさん

子どもの頃漫画を読んだり描いたりすることは罪の意識を伴った。めったに漫画を買ってくれなかったし隠れて漫画を描いていた。しかし唯一我が家で許された漫画があった。長谷川町子さんが描いた漫画だ。サザエさん、いじわるばあさん、エプロンおばさん。父は時々この漫画達を買ってきてくれた。堂々と大笑いして感動して皆と感想を話し合える漫画は最高だ。特にサザエさんに登場する人達は明るく欠点だらけで愛らしく心が癒された

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ショートケーキの思い出

ショートケーキの思い出

私が小学生の頃実家は商店を営んでいた。食品、雑貨、本など様々な商品を売っており、クリスマスケーキも売っていた。クリスマスイブには店のホールケーキにろうそくを立て家族で食べた。クリスマスケーキは見た目は豪華だが食べると不味かった。その当時のケーキは生クリームではなくバタークリームだった。一口かじるとあとは兄に食べて貰っていたような気がする。
ある日姉が徳島市に「トルテ」という美味しいケーキ屋さんがで

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クリスマスプレゼント

クリスマスプレゼント

何歳までサンタさんを信じていたんだろう。祖母の部屋で寝ながら今夜サンタさんがやってくると楽しみにしていた記憶が一番古い記憶だ。
一番豪華だったクリスマスプレゼントは祖母がくれたリカちゃんハウスだ。リカちゃんハウスは折りたたむと赤色のバックに変身した。嬉しくて近所の友達の家にリカちゃんハウスを持って行ったら、友達のリカちゃんハウスは2部屋に分かれており、あまりのゴージャスさに驚愕した。
それ以外の印

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父の思い出

父の思い出

小学3年生の夏、海水浴遠足の前日微熱が出た。心配性の母は「明日の海水浴は欠席やな」と言った。田舎の小学生にとって年に1度の海水浴遠足は凄く楽しみに待っていた行事だった。泳げない母の代わりに海水浴に付添で行く父が落ち込んでいる私に「明日は海に入らず見学だけなら遠足に行っていいぞ」と言った。次の朝、母は心配そうに父と私を見送った。
海に着くと意外にも父は「お母さんには内緒だぞ」と言って海に入ることを許

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祖母の思い出

祖母の思い出

祖母は強烈に気の強い人だった。小学2年の時私とTちゃんは同級生のN君を泣かせた。次の日N君の祖母がなんとTちゃんの家に怒鳴り込んできたという。うわーあの過保護のばあさん私の家にも怒鳴り込んでくる!親に怒られる!とビビっていたが待てど暮らせど彼女は来なかった。後から考えれば強烈なN君の祖母は自分より強烈な私の祖母が恐くて来れなかったんだろう。祖母は我が家の守り神だった。
祖母は絵を描くのが好きだった

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祖父の思い出

祖父の思い出

祖父はお洒落だった。白の鳥打ち帽、白いスーツ、白い靴に身を固め、ステッキを持ちお出かけしていた。
いつも綺麗好きでほうきを持って畳を掃いている姿が印象深い。家では着物姿で背筋をピンと伸ばし正座して筆で文字を書いていた。

そんなに喋るイメージはなかったが友達は多かったし、近所の人や知り合いは困った時、祖父を頼って家に来た。一度夫婦げんかをした二人が夜遅く我が家に来て祖父が二人に言い聞かせていた記憶

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