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祖母の思い出

祖母は強烈に気の強い人だった。小学2年の時私とTちゃんは同級生のN君を泣かせた。次の日N君の祖母がなんとTちゃんの家に怒鳴り込んできたという。うわーあの過保護のばあさん私の家にも怒鳴り込んでくる!親に怒られる!とビビっていたが待てど暮らせど彼女は来なかった。後から考えれば強烈なN君の祖母は自分より強烈な私の祖母が恐くて来れなかったんだろう。祖母は我が家の守り神だった。
祖母は絵を描くのが好きだった。学生の時美術の大学行きたかったらしい。親が女だからダメだと行かせてくれなかったと悔し涙を流しながら孫に話した。60歳過ぎて祖母は墨絵を習い始めた。みるみる上達した。時々私に墨絵を見せて感想を聞く。褒めたら「お前は見る目がある」と喜び、貶すと不機嫌になった。毎日夜遅くまで熱心に描いていた。上達するにつれ自分の墨絵を額縁に入れ親戚の人達にプレゼントした。祖母は随分前に亡くなった。我が家の玄関には祖母の墨絵が今も飾られている。
祖母はよく「お前とは気が合う」と言って笑っていた。私の気の強さは祖母譲りだ。玄関の墨絵を見るたび祖母に感謝している。

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