家売るねこ、街を歩く③京都の膏薬図子をさんぽする
2021年秋の記録。
久々の街歩き、とっても楽しかったんだ!
四条烏丸の西をぶらりとおさんぽ。
京都の中心地にありながらも、四条駅から徒歩圏内で京都気分を満喫できる小さな路地に出向いたのだった。
秋から冬になっていく時間は、散りゆく木の葉と寒さと相まってしみじみとしみるような趣がある。
歩いていると、細い路地をひんやりした風が通り抜けた。
京都の町は底冷えでとっても冷えるのだけど、木造建築の古い建物が多いから街の印象は不思議と寒そうには見えない。
寒い冬の空気にぼくの毛皮がふわふわゆれる。
ぬくぬくしたおうちももちろん大好きなんだけど、お外にでると季節の変化がわかるのが心地よい。
僕の周りの時間はめまぐるしく過ぎていくけど、季節はいっつも同じ速度でゆっくりとゆっくりと変わっていく。
もうちょっとのんびりしたって、いいんじゃない?
そう季節の妖精さんが言ってくれてるみたいだ。
年末に向けてせわしなくなっていくのは空もおなじみたいで、青空が淡さをましていく。
冷たい空気がぼくのおはなをツンと突くのは、僕のお鼻の上で秋の妖精さんが冬の妖精さんにバトンタッチするからなのだと思っている。
今日はとっても撮影日和なのである。
ぼくは、街の写真をとるのがスキ。
ヒトが住んだ、住んでいた建物や街がだいすきなのだ。
今日もネコノメで見た京都の街をお届けるすよ!
1. 四条と綾小路を結ぶ『膏薬辻子(こうやくのずし)』
ぼくは、京都の石畳がとってもスキだ。
両サイドを京町家がぴったりと並んでいると、なお良き。
ここの石畳は近年整備されたもので昔からあったわけでは無いけれど、きっちりと丁寧に敷き詰められた石たちには、なんだかぼくの猫背もぴーんとのばしてくれるような厳かさがある。
敷き詰められた石は、ずっと先の方まで伸びていて一点にあつまっていく。
そんなふうに視線を誘導されるのはぼくがフォトグラファーだからかもしれないけど、引き込まれるような幾何学的な構図は神秘的でさえある。
秋の長雨に濡れてぴかぴかした石畳はまた艶めいていて良き。
雨が乾きかけて質感が戻ってくる姿も石なのにどこかふんわりとした柔らかさを感じさせて、いと良き。
石畳とその両側に軒を連ねる木造の京町家との材質のコントラストがたまらない。
平将門をお祀りした神田神社をとおりすぎて、ズンズン進んでいく。
(※そうそう、空也聖人がその供養をこの図子でしたことから『くうやくよう』がなまって『こうやくずし』になったんだそうだよ!)
京町家のお店にふらりと立ちよりながら、写真を撮る。
コロナくんの影響で、図子内の店舗はいくつか閉まってしまったらしい。
宿泊施設やバーの看板があったけど、夜じゃ無いから営業しているのかどうかまではわからなかった。
コロナの影響がでる数年前は、海外の人が溢れかえる路地だったみたいだけど、いまは地元の人や少し帰ってきた着物姿の人が通るくらい。
昔ながらの京都人の息づかいは、耳をすまさないと聞こえてこない。
ぼくはみみがいいから、ひっそりした息遣いを感じるお宅を探し当てた。
もうお昼に近くなっていた。
はいってご飯をもらおうと思ったのだ。
猫といえど、礼儀は欠かない。
ちゃんとご挨拶とおさいふの準備はある。
ぼくの猫の友達はお腹を見せてゴロゴロ言うだけで対価の支払いが済むらしいので大したものである…!
2.町家カフェ『喜多西(きたにし)』
膏薬図子は全長で300~400mの小さな通りだ。
その真ん中のかどっこのどんつきに、京町家を改装したカフェがある。
赤いのれんをくぐると、優しそうなマダムが迎え入れてくれた。
日当たりの良い格子のそばの席が空いていたから、そこでひなたぼっこしながらランチにすることにした。
お水をすぐに用意してくれたので、一気に飲み干した。そういえば朝から何も飲まずにきたのだった。
格子から漏れる光とその先の石畳をながめ、京都気分を味わいながら1000円以内でランチが食べられるなんて素敵!さっそく野菜カレーを注文〜!
みてみて!色鮮やかでおいしそうにゃのであるー!!
ドライフルーツがはいっていてスパイシーながらも優しい甘味があるやさしいカレーだったよ!
店内も落ち着いた雰囲気でゆっくり日向ぼっこできそうである。
ぼくのほかには、世間話をしにくる地元の人がコーヒーをのみにきていた。
ぼくも一緒に世間話をきいていたついでにマダムがおしえてくれたんだけど、本当はここではなく、お隣の大きな町家にお店があったらしい。
いまはホテルが立つからと、おとなりのこちらに移動したのだそう。
その町家はもうない。
前のお宅の庭には大きな泰山木(たいさんぼく)があって、6月にとても良い香りで咲き季節を教えてくれていたのだそうだ。
建物が壊されるときに持ってきてあげられなかったと悲しそうにマダムは言った。
そうだよね、僕だって長年一緒に過ごした紫陽花くんと別れるのは辛い。
ぼくはそんなに実家には執着がない方だけど、この人は大好きなおうちもお花も一度に無くしてしまったんだね。
長年のそこにあった建物や植物がなくなるって言うことは一緒に暮らした家族や一族の歴史と記憶の喪失なんだと思う。
だから、こんなにも切ないのだ。
でも、新しいお店もこんなに素敵なんだから、また新しい思い出を作って欲しい。
泰山木があったことは僕が覚えておくからね。
3.町家の洋服生地のきもののお店『ミミズクヤ』
お腹が満たされたので図子内を再度散策することにした。
四条通側に近い路地の入り口付近にあるお店!
玄関前でみみずくさんがお出迎えしてくれるよ!
ここはね、洋服生地のきもののお店なんだ!
普通のきものと少し違って、いつものおしゃれのようにカジュアルに着ることができるんだよ。
とってもかわいいデザインのものが多かったよ!
着物を着るとなると着付けとか伝統とか、なんだか敷居が高いけれど、ここの『着物』はもっと身近な感じ!
普通のお洋服と同じように洗えるみたいだから、今度ぼくもかってみようかしら(猫用?笑)
4.GOODMAN ROASTER
また図子の中へ進んでいって、綾小路側に抜けると、正面にコーヒースタンドがあった。
ロースターなので焙煎所兼ショップってことだね!
台湾にも店舗があるんだって!
ガラス張りで中からそとの風景が見える。
玄関の席にすわったらさっきの膏薬図子もみえるんだ!
優しいお姉さんが注文をきいてくれて、ついつい頼んでしまったよ!
さっきご飯を食べてしまったから食べられないけど、次来たときは焼き菓子もたべようっと!
5. 杉本家住宅
下京区で有名な大型町家のおうち。
間口が狭い京町家だけど、ここは間口ももとっても広い!
うなぎの寝所と言われる奥にながーい京町家の作りは、その昔節税のために、間口をわざと狭くした昔の人の知恵なんだ(諸説あり)
けどこのお家はとても間口が大きいから昔はとっても財力のある歴史のあるおうちだったってこと。
※この辺りには大型の文化財になっている町家がまだ多く残っていて祇園祭の時期にミセノマを公開をしているよ!(昔お店をしていた時代に商品を置いていた部屋)
京都の街並みにかかせない京町家だけど、維持がとっても大変なんだ。
ぶっちゃけてしまうと京都の市内だったら、町家をつぶして大きなマンションなんかを建てたほうがお金的な効率が良い。
どんどんつぶされてホテルや民泊になる中で、杉本さんは苦労しながらも大きな町家を守っているんだって。
もしここがなくなってしまったら、僕は声をだして泣いてしまうかもしれない。
京町家を守ることが僕のお仕事だし、時代を超えて記憶をつないでくれる町家はだいすきなのだ。
いまでも、京都に初めて来たときの感動を思い出す。
木格子の建物に、ピッタリ寄り添いながらたたずむ京町家。
僕の故郷にも昔の農家のおばあちゃんちみたいなお宅はいっぱいあったし、それはそれで家族のあたたかさがあってほっこりするのだけど、
京町家は自然を支配するのではなく共存していながらも、人の手をさりげなく加えた技術を素人目にも感じられる美しさがあるんだ。
格子戸、犬矢来(いぬやらい)、ばったりしょうぎ、駒寄せ(こまよせ)、バッタリ床几(しょうぎ)、今では役目をなくしてしまったけどそういった当時の名残が、日本人の古い古い記憶を呼び覚まして懐かしさを感じさせる。
古いものが消え新しいものができるのは、街としてしかたないけど、京都は昔ながらの町家がならぶ街であってほしい。
クラウドファンディングは終わってしまったけど、また協力が募られれば少しでも力になりたいと思っているよ!
6. SUINA室町
綾小路を東に向かって、2年前にオープンしたSUINA室町に行ったよ!
大垣書店さん大好き!
奥まで本が並ぶ圧巻の店内!
本屋さんになら何時間だっていられる気がする。
本に囲まれるといろんな世界が広がって見えるから店内にいるだけでも楽しいんだ!
大垣書店のピックアップやアルバイトさんのおすすめが見れたりするのも好きだな。
少しなら立ち読みもできるよ。
ちょっとしたチェアがおいてあったり。
待ち合わせで時間あるときに立ち寄ってみてはどうだろうか!
スイナの2階にはポケモンセンターがあるのでちびっこにも大人気の場所だよ!
中にちきりやガーデンというお花屋さんもあって、勉強のついでにプチブーケを買って帰ることにした!
ちょっと活けてみた!どう!?😽💦
スイナ、ばいばーい!またきまーす!
7.ネコノメに街
京都は少し歩くだけでも新しい発見や昔からの記憶を持った建物、場所がいっぱいある。
泰山木野のお花の匂いかいでみたかったなぁ。
また京都の地元の人オススメの素敵な場所を見つけたら紹介するね!
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