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経営の本質がざっくりとわかったような瞬間の話(#読書メモ ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務)

この箇所を読んだ時、「ああ、わかった!」って、なった。

経営者の使命とは何か? これについてはいろいろ述べてきましたが、ひと言でいえば、 WACC以上のROICを上げる ということに尽きます。

・WACCは、企業の資金調達のコスト(≒調達元が要求するリターン)
・ROICは事業に投下した資本に対するリターン(利回り)

結局のところ、事業って、投資商品みたいなもんなんだと。

事業責任者はファンドマネージャーみたいなもんで、投資商品としての利回りをより高くできるかの勝負。より高い利回りを出せる事業責任者が優秀で、投資が集まる、これが本質なんだなーと。

もちろん、現実は、そんなシンプルにはいかないんだけど、本質はそこにあるんだ、という考え方の起点を持てたことで、いろんなことが、一気に理解できるようになった。

事業の中でも、どこに、どれだけ投資すると、どれくらいのリターンが得られるのか?ということを基準にすべきだし、広告でいつも「投資対効果」って言ってたのって、本質はそこにあるし、資源配分は投資配分のバランスだし、、って、この概念を起点に、自分の中での理解が新しい体系で再構築されていく感じ、それまでやってきた仕事における色んなことに、一気に見通しが持てるようになっていく感覚。本質を掴むって、こういう感じ。

こういう体験って、数年に一度あるかないか。

もちろん、この本だけ、じゃなくって、2014年に会社の「アカウンティング・ファイナンス研修」を受けながら、アカウンティングやファイナンスの本を何冊も読みまくりながら、講義を受けて、レポートを書いて、ということを繰り返している中で、たどり着いたんだけど、この本が果たした役割は小さくなかった。

超おすすめ!

この本が他のファイナンス入門本と違うのは、ファイナンスを道具と割り切って、その目的である「企業価値の最大化」を起点に説明が組み立てられていること。

ファイナンスとは、ひと言でいうと、「企業価値の最大化」をはかるための意思決定に役立つツール(道具)。その意思決定には、投資・資金調達、配当の三つがあります。いずれも企業の将来を見据えた上で行われるものです。

他の入門本は、ファイナンスを学ぶ、という目的を起点に、どうしたらわかりやすくなるか、という視点で構成されていることが多い。

例えばこちらは、値付けの仕組みの話から入ってくる。学ぶ意欲がある場合には、そこからの理解したほうが理解しやすいのかもしれないが、目的がわからないまま道具の使い方を学んでいる感じになる。

マーケティングの有名な例えで言うと、「ドリルの使い方」をわかりやすく説明されている感じで、結局の所「穴を開ける」という事の説明が弱いと、「穴を開けるためにドリルの使い方を学ぶんだ!」という意欲醸成ができていない人には結構キツい。

説明はわかりやすいし、学ぶ上でかゆい所に手が届くけど、そういう意味では私には向いていなかった。(これから役立つかも)

あと、もう一冊このタイミングで流し読みした本も紹介。

こちらも、ファイナンスが必要とされた歴史から入っていて、説明も丁寧でわかりやすい。ただ、数式出てくるし、やっぱり読み進めるには学ぶモチベーションが必要。その分、踏み込んで説明しているので、もうちょっと具体的にファイナンスを理解するにはこっちの本がおすすめ。

やっぱり最初に、こっちの本でざっくり掴んだ上で、3冊読むとかなりザックリつかめる感じはあります。

そして、本書含めて3冊とも、Kindle Umlimited入ってれば、無料で読めてしまう!

他にもたくさんファイナンス入門本はあるのだろうけど、無料で読める3冊をとっかかりにするのがお財布にやさしい感じです。

私の場合、ずっとファイナンスは無視してレベル0だったのが、社会人12年目にしてようやくファイナンスのレベル1になって、今17年目なんですけど、結構、後悔もあって。

社会人1年目でも2年目でも、少しでも早く、ここのレベルを1にしておけば、違う視点が持てて、1つの経験から学べる量がだいぶ違ったんじゃないかと。機能別組織の部長止まりで伸び悩んでる人が身につけておくべきは、ファイナンスだと個人的には思います。

そういうわけで、Kindle Umlimitedは個人的にはやらない理由ないと思います。まだの人はぜひ。

あと、最近読んだ本では、こちらの本もファイナンスを理解する目的を確認して本質を掴むヒントになった。(残念ながら、Kindle Umlimitedには無いのだけど。)

ファイナンスとは、会社の価値を最大化するために、外部からの調達や事業を通じてお金を確保し、そのお金を事業への投資や資金提供者への還元に分配し、これらの経緯の合理性をステークホルダーに説明する一連の活動のことです。 本書で述べる「ファイナンス思考」とは、こうしたファイナンスを扱う土台となる考え方 です。

企業価値の最大化のための活動がファイナンス、という定義。そして、ほぼ同じことが書いてある。

経営者に「WACC」や「ROIC」といった「資本コスト」に関する発想がなく、 事業は調達している資金コスト以上の収益性を実現しなければならない という認識が欠如しているために、このような状況に陥ってしまうのです。

ただ、こちらの本は、ファイナンスを教える、理解させる、ということではなく、経営における考え方≒「ファイナンス思考」を伝えることが目的なので、ざっくりわかるファイナンスの本で概要理解してから読むと理解が深まる。

ファイナンス思考は会社の現状を固定化した条件とは見ず、大きな目標を実現するために必要なリソースを積極的に獲得しにいくという逆算型の発想で成長への道筋を構想します。

著者はmixiをモンストでV字回復させたことで有名な経営者なので、説得力がすごい。おすすめ本。

もうひとつ「資源調達」という大きな気付き

冒頭の引用を再掲。

経営者の使命とは何か? これについてはいろいろ述べてきましたが、ひと言でいえば、 WACC以上のROICを上げる ということに尽きます。

・WACCは、企業の資金調達のコスト(≒調達元が要求するリターン)
・ROICは事業に投下した資本に対するリターン(利回り)

事業は投資商品みたいなもんで、事業責任者は利回りが求められるファンドマネージャーみたいなもん、という視点については先程説明しましたが、もう1つ、資金調達も経営者の重要な論点である、というのも、大きな気付き。

サラリーマンで現場張ってると、調達側のことを考える機会は、正直あんまりないのではないか。以前のツイートを引用。


本書にあった、IRについての記述も今まで考えたことなかった本質で自分の中ではすごく大きな発見だった。

実は、「WACCを下げる」ことこそが、 IR( Investor Relation =「投資家を対象にした」企業の広報活動)のミッションなのです。

説明責任をきっちり果たすことが、調達コストを下げる。ということ。

サラリーマンでも同様で、自分のIRという認識で説明責任をしっかり果たしておけば、機会の調達コストが下がる。

経営者が株主や債権者などから資金を調達して、事業に投資する、という構造と入れ子構造になるように、企業内の事業責任者は、経営者から機会や資源(ヒト・モノ・カネ)を調達して、リターンを生み出すことが求められる。

サラリーマンは個人として得られるのが、評価に基づく給与や昇給、賞与なので、目標達成に意識が向きがち。そして概ね目標はアウトプット側で設定されるので、調達側を意識せずに価値創出のパフォーマンスを上げることが得意技になっていく。

ステージが上がれば上がるほど、調達側が大事になってくる。そっち側で勝負はほとんど決まってしまう。そして、調達側のスキルは、私の中では、価値を創出するためのスキルとは全然違う感覚。

価値の交換というよりは、信用や期待の交換。実体の無い、ふわふわしたものをやり取りしている感じがして、どうも苦手。

こういうことを考えているとファイナンスもマーケティングもすごく似ている感じがしていて、本職でも、ブランディングが苦手でダイレクトマーケティングが得意な感じなのと似ている。

このあたりが自分の中で腹落ちできないと、次のステージ行けないんじゃないか、という危機感。

信用でレバレッジかけて、短期間でスケールさせることと、実体の体験価値を小さく積み上げていくこと。単純に自分のリスク選好度が低い、という気質と適性の(どうにもならない系の)問題なのか、知識やスキルが足りないだけ(で、どうにかなりそうなこと)なのか。そういうことを見極めるために本を読んだり、勉強しているんだな、という感じ。

もし、このあたりでおすすめの本とかあれば、ぜひ教えてください。

(最後に)このnoteについて

その週に気づいたことや読んだ本などをまとめていく週報note。
毎週書く!という強制力で文章を書くリハビリを進めていくのが目的。

※今回は、2月17日(日)~2月23日(土)分


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