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マネジメントをスマホゲームに学ぶ!「ヒトのハック」で成果を出すなら、目的を「相手の幸せ」に置くこと

先週は、タスク管理について書いたが、今週はマネジメントについて。

タスク管理には興味があって、ツールにもガンガン課金してしまいドンドンハマっていく。もはや趣味と言っても過言ではない。だけど、マネジメントは…。

そもそも、人間関係不得意なので、ずっと苦手意識があり、あまりかかわらないように生きていきたいと思っているけど、そういうわけにもいかないわけで。

現時点でもうまくできている気がしない「マネジメント弱者」なりの気付きや発見があったので、同じような課題を持っている人向けに参考になればというわけで、今週紹介する本はこちらです。

取り急ぎ、持って帰っていただきたい概念は2W2R

本題に入る前に、

せっかくこの記事にたどり着いて頂いたからには、本書の魅力をお伝えておきたく、紹介しておきたい概念は、「2W2R 」。

問2 指示出しの基本  あなたは、いま「ハンバーガー」ショップで副店長として勤務しています。  
今日は新入りのアルバイトに、ハンバーガーのつくり方を教えることになりました。  ちょうど、「ケチャップの塗り方」を講義しています。  
以下の教え方は、非常にまずい部分があります。どこが足りないでしょうか?
「ケチャップは、ミートの上に、均一に塗りなさい。 そのあとで、ピクルスと玉ねぎをケチャップを塗ったミートの上に載せなさい」
心理学者であり、経営者としても成功をおさめた大沢武志は、マネジメントの根幹とは「2つのWと2つのR」だと説いています。
2つのWとは、「What(何を)」「Way(どうやって)」、2つのRとは「Reason(理由)」「Range(範囲)」
問題に出てきた副店長は、このうちのWhat(何を)しか指導していないのです。 
「ケチャップは均一に塗りなさい(What)。  そのためには、ケチャップをミートの真ん中に丸く落としなさい(Way)。  そうすれば、どこから食べても同じ味になるはずです(Reason)

大沢武志は、部下に指示を出すときには「2W2R」が重要であると指摘しました。この2Wと2Rがそれぞれ「手とり足とり」と「自由・自律」を説明しています。  
まず2W、すなわちWhat(W)とWay(W)で、懇切丁寧に目標とやり方を示す。これは何もできない人用の指示です。
続いて1つ目のR=Reasonで根本的な考え方を示し、それに沿って応用してみなさい、と指示します。  
さらに2つ目のR=Rangeで フェアゾーンを示し、そこの範囲でなら自由に動いてよい、と指示します。  
いわば2つのRは自律的に部下に行動させるためのガイドラインといえるのです。
ちょうどよい階段を刻み続ける(2W) 少し上がってきたら、 踊り場をつくって遊ばせる(2R)要は、これだけのことなのです。

こんな感じの地に足の着いた基礎理論とテクニックがわかりやすく紹介されているので、部下を持つ方は読んでおくと参考になる部分もたくさんあると思います。ぜひ。

マネジメントの掴みどころのなさ

役に立つ内容をお伝えできたところで、ここからは完全に自分向けの勝手な感想と気付きを書いていきたい。

そもそもマネジメントって、ほんと掴みどころないな、と思っていて、例えばgoogleで「組織マネジメント」と検索するとこんな説明が出てくる。

組織マネジメントとは、部長などの管理者が組織の活動を円滑におこなえるように、会社の資源・資産・リスクなどの管理することです。 組織マネジメントのあり方はさまざまで、自分がどのような立場にいるかでその内容やレベルは変わっていきます。 しかし、どのような立場でも、組織を管理する上で必要なことがあります。

…まあ、なんだかよくわからない。それだけ複雑なものだし、抽象的な概念なわけで、下手に安易な形で決めつけると、その筋の人からいろんなお叱りをいただくことは想像に難くない。(自分が業務上関わっている領域だと、マーケティングの定義とかメディアの定義、とかいう話をするといろいろ面倒なことに巻き込まれがちなのと近そう。)

マネジメントにおける「公理」は「内発的動機」と言い切る

本書のありがたいところは、そのリスクを背負って、そしてその前のたとえの甘さをアマゾンのレビューでも酷評されながらも、マネジメントの「数学で言うところの公理」、「司法で言うところの憲法」のように常に立ち返るべき原理原則は「内発的動機」であると、序盤に言い切ってくれているところにある。

内発的動機とは「やる気」のことです。マネジメントの基本がここにあるといってもいいでしょう。
あまりにも当たり前の話なので拍子抜けするかもしれませんが、上司として悩んでいるときにここに立ち返ると、たいていの問題は氷解します。
たとえばすべての数学の定理は、「1+1=2」「平行線は交わらない」という2つの公理からなりたっています。また、日本には現在、有効な法律が約1800ほどありますが、これらは全部日本国憲法の制約下にあります。数学の世界の2つの公理や、司法における憲法が、マネジメントにおける「内発的動機」です。  
上司として悩むことがあった場合、ここに立ち返るときっと答えが見つかるでしょう。

本当に正しいか、というのはさておき、「モチベーションこそマネジメントの本質」という捉え方ができると、マネジメントが苦手、ってどうしてなのかが、だいぶ見えてくる。

内発的動機を高めることを、人道的な問題ではなく、成果を出すための手段として割り切る

自分がマネジメントが苦手な理由の一つには、おそらく、他人様の内発的動機、という個々のある意味パーソナルな問題に、自分なんかが踏み込んで良いのか、その人の人生に変な影響与えても責任とれないし、、ってか、そもそも、お金もらってるプロなんだから、自分のやる気くらい自分で作るものであり、つべこべ言わず与えられたミッションをしっかりやりきろうよ、って考えを持っているからなんだと思う。

しかし、本書では、「人道的な見地ではなく、経営の基本として」ある種成果を出すための手段として、(ここまで書いてないけど)人を道具としてより有効に使うためのテクニックとして、内発的動機を高めるべき、と説いている。

仕事そのものが楽しい人は、達成感や満足感に給料がついてくるような感覚を持っています。それに対して、お金のために仕事をしている人にとって、給料は労働の代償でしかありません。持っている能力が同じだとすれば、どちらの働き方をしている人のほうが継続的な成果を出し続けられるかは明らかです。
こうした人材が多くいる会社は、生産性も高くなります。だからこそ経営者や上司は、人道的見地からというよりは、経営の基本として、働く人のやる気、マネジメント用語で言うところの「内発的動機」を高めていかなければならないのです。

確かに、「やる気は自分で作るもの」と思ってるマネージャと、「やる気を高めるのも上司の仕事」と思っているマネージャがいたら、後者のが成果出せる確率は高そう。それだけの話なんだと。

「機会~支援~評価~承認~報酬」 のサイクルを回す

内発的動機を高めるためのマネジメントの手法として、本書では、以下のサイクルを回すことが紹介されている。

① ちょうどよいレベルの機会を与える
② その機会に対して、うまく乗り越えていけるよう支援をする 
③ 成功したら正当に評価する。その評価を周囲で共有し、承認する  
④ 周囲の承認と同時に、昇給や昇進など会社として報酬を与える  
⑤ 1つの難関を乗り越えたら、その成長に見合う程度の難易度の機会を再度与える
これだけなのです。平たく言えば「機会~支援~評価~承認~報酬」 のサイクルです。  
そうすれば、社員はいつも真剣に仕事に向かい、努力や工夫の対価として、周囲からの評価や自身の成長を手に入れることができます。それらの集積が、会社の業績にもつながっていくでしょう。

わかりやすい。

キャリアプランやビジョンを語るとか、心理的安全性とか、いろんなマネジメントの概念があるけど、このサイクルがマネジメントの基本である、という理解が土台にあるかどうかで、結構違うんじゃないかと思う。

結局、これって、スマホゲームと同じでは?

このマネジメントのサイクルとそっくりだと感じるのが、最近やってるスマホゲーム。

① ちょうどよいレベルの機会を与える 

→(ほどほどの強さの)モンスター(中ボス)を倒してほしいと村人にお願いされる

② その機会に対して、うまく乗り越えていけるよう支援をする 

→お金をもらって、新しい武器が手に入る。モンスターの弱点や行動パターンがわかってくる。

③ 成功したら正当に評価する。その評価を周囲で共有し、承認する 

→モンスターを倒せる。倒すとストーリーが進み、村人などから感謝される。

④ 周囲の承認と同時に、昇給や昇進など会社として報酬を与える  

→新しい武器やお金がもらえる。

⑤ 1つの難関を乗り越えたら、その成長に見合う程度の難易度の機会を再度与える

→次なるモンスターが出てくる

私も、もう今年で40歳になりますが、小学生の頃から、こんなことばっかりやってて、時には睡眠時間を削り、自分がトイレに行きたいことすら忘れて、熱中するわけで、人間って、ちょうどいい機会とそれを乗り越える、ってことが好きなようにプログラミングされているんだろうなと。

マネジメントって、要は人間の本能に組み込まれている行動原理を上手に利用して、成果を出させるように仕向けること、ある種ヒトをハックするということが本質なんだと気づいた。

成果を上げるという自分の目的のために「ヒトをハック」して利用していいのか?という葛藤

ヒトをハックして成果を出すのがマネジメントの本質だと気づくと、自分がマネジメントに対して抱いていた抵抗感もこの辺にあるのかなと。

自分の目的のために、他人を自分の持っていきたい方向に操作しようとする行為に対する罪悪感というか、そういうのがあるのかもな、と。

人生を無駄にしたかもしれないけど、ゲームのことは恨んでいない。むしろ感謝している。

マネジメントは成果を出すためのヒトのハック、だとして、成果を出すため、自分の目的のために他人様の認知や行動原理の特性を利用してよいのか、という葛藤をどう捉えるべきか。

じゃあ、自分もゲームに行動原理をハックされて、人生の相当量の時間やお金をゲームに費やしてきたけども、ゲームを恨んでいるか、騙された!と思っているか?といえば、そんなことはなくって、むしろ楽しい時間や様々な気づきや学びを与えてもらったと感謝している。

モチベーション上げてもらって、騙された!なんて思ったことはない

仕事においても、これまでいろんな上司のマネジメントを通じて、ノセられて、ある意味ハックされまくりながら成果を出して来たことになる。

それも、感謝こそすれ、恨むことなんて一つもない。

むしろ、うまくノセてくれなかった上司を恨んだりしているわけで。

ゲームも仕事も、いつでも辞められるという選択肢を持っている限り、自分が積極的に選択したこと。

むしろ、モチベーションが上がるように上手にハックしてもらったことで、より仕事を楽しめたわけで、もっと上手にハックしてくれ、と頼みたいくらい。

目的が相手を幸せにして世の中を良くするため、であれば、積極的にヒトをハックすべき

ハックは手段なので、結局のところは、その目的がどこにあるか、もちろん相手を不幸にしてでも自分が利を得ようとしているのであればダメ。だけど、相手も幸せになるし、世の中も良くなるから、という目的感であれば、積極的にヒトをハックしていくのはアリなんじゃないかと。

これが、現段階の結論。目的が大事。倫理観も大事。

ブランディングもタスク管理もマネジメントも「本質はヒトのハック」だとすれば同じもの

先週話したタスク管理も、「衝動の脳」と「理性の脳」みたいな、動物としての人間の認知行動特性を逆手に取ってハックしにいく、という意味は自分というヒトのハックだし、

ブランディングも識別記号と知覚価値みたいな、人間の認知行動特性をハックして目的を達成する手法なわけで、

そういう意味では、ヒトのハックが本質、と捉えれば、なんでも同じモノなのかもしれない。

マーケティング、特にブランディングに感じていた漠然とした、なんか悪いことしてるんじゃないか、という感覚も同じで、他人様の認知行動特性をハックして物売っていいのか?という問だとすれば、

「目的が相手を幸せにして世の中を良くするため」であれば、ヒトをハックしてでも、届けて体験してもらわない方が、悪である、というのが現時点の解になるわけなので、そういう信念を持ってやっていきたい。

↓今週の本はこちらでした。

毎週、note書いてます

継続は力なりだなと。だんだん、短時間で自分の言いたいことがまとめられるようになってきた。書きながら考えるという感覚を取り戻しつつある。

※今回は、3月31日(日)~4月6日(土)分

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