”PL責任”を背負ってしまうと見失いがちなもの(読書メモ #ファイナンス思考 日本企業を蝕む病と、再生の戦略論)

「マーケターは”PL責任”を背負え!」という論調を最近やたらよく目にするようになった気がして、

例えば、最近だと、この記事とか。

この記事とか。

どちらも、伝えようとしているのは「なるべくキャリアの序盤で収益の全責任を追う修羅場をくぐれ」という話なので、そういう意味合いでの理解については、共感こそすれ、異論はない。

多くのマーケターと呼ばれる職種の人は、業務分掌上、設定された目標に対して、主に前年踏襲な手法を使って、確保された人員や予算枠の範囲で上手くやりくりして、できる限り高いパフォーマンス(なんらかのKPI)を出すことが求められる事が多い。

ゆえに(意識の持ちようの話ではあるのだけど)、未達の時の痛みがダイレクトに響きづらい、コントロールできる変数が少ない、部分最適に陥りやすく、コスト意識が低くなりがち、みたいなある種、修羅場からは程遠い、ぬるま湯的な状況に陥りがち。

それに対して、”PL責任”をすべて負うと、誰のせいにもできない最終当事者の自覚が芽生え、未達の時のヒリつく感じや、コストを意思決定するときの身銭を切るような感覚が持ちやすく、修羅場が背負え、成長スピードが加速すると。

その一方、なんだか違和感もずっとあって。

ずっともやもやしていたのだけども、今週「ファイナンス思考」を読み返しつつ、色々考えてみて、もやもやが半分くらい言語化できそうなので、途中段階のメモとして書きなぐっておきます。オチはないです。

”PL責任”を背負ってる時に、いいパフォーマンス出せなかった件

完全に個人の経験の話なんだけど、自分の場合”PL責任”を背負ってる時にパフォーマンス出せなくて。むしろ、そうでない時期のほうが、なんとなく輝いていたというか、パフォーマンスを発揮できていた。

それは単なる評価指標に対して、達成/未達成という表層的な基準の話だけではなく、3年後、5年後に振り返って、本質的に正しい意思決定をしていたかどうか検証してみても、そうだなと。(これは限りなく主観的な「正しい」になってしまうかも知れないんだけど、、)

これまでずっと、単純に自分の能力不足で、難易度が上がったことに適応できなかっただけ、という理解だったけど、それだけでも無いような気もして。

結果がすべて。でもその「結果」とは当期利益のことなのか?

結果が全て。絶対に言い訳しない。

このスタンスを持っていれば、強くなれる。だけど、その目指すべき「結果」って何か?

決勝トーナメントに戦力を温存するために、突破の決まった予選リーグの最後の試合を流すこともあるように、「結果」をどこに置くかで、その評価は大きく変わる。

 損益計算書の内容はあくまで、過去の一定期間における業績の「結果」 を示しているにすぎません。一定期間の売上高や利益といった損益計算書上の数値を最大化しようとする取り組みは、必ずしも会社の長期的な成長につながるとは限りません。

当期利益ではなく、企業価値の最大化、持続可能な競争優位

ビジネスにおいて目指すべき最終的な「結果」は当期の利益ではなく、企業価値の最大化であり、戦略的には持続可能な競争優位を築くこと。

このことが、あんまり理解されていないのではないか。ってか、自分が理解できていなかったり、お題目としてわかっていても見失いがちで、ビジネスで目指すべき結果は何?って聞かれたら、「利益!!」って答えがちだなと。

ファイナンスとは、会社の価値を最大化するために、外部からの調達や事業を通じてお金を確保し、そのお金を事業への投資や資金提供者への還元に分配し、これらの経緯の合理性をステークホルダーに説明する一連の活動のことです。 本書で述べる「ファイナンス思考」とは、こうしたファイナンスを扱う土台となる考え方 です。「会社の企業価値を最大化するために、長期的な目線に立って事業や財務に関する戦略を総合的に組み立てる考え方」のことであり、より広く解釈すれば、「会社の戦略の組み立て方」 ともいえます。

PLというわかりやすい枠組みが、本質的な企業価値の最大化という目的を見失わせてしまう

企業の目的は利益を出すことって勘違いしやすいけど、利益を出すことではなくて、企業価値を最大化すること、将来にわたって生み出すキャッシュフローを最大化すること。

この当たり前のことを、PLというわかりやすい枠組みがあって、それが当期の通知表みたいに扱われると、そこをめがけて打ち手を選んでしまう。

むしろ、PL見てないほうが、競争優位をどう築くかとか、今のうちに何を鍛えておくか、という思考になるので、企業価値の最大化に繋がる意思決定ができていた。これが、PL背負ってないときのほうが意思決定の質が高かったと思う要因の一つ。

あとは、数字が見えると、大胆な意思決定できなくなって、小さくまとまりやすいという個人的な気質もあるのかも。ランチのラーメンで、これまで気にせずチャーシューのせてたのに、家計簿つけだすと、一番安い素のラーメン選びがちみたいな。

年内PLを良くすることを起点に意思決定しがちな癖があるので、企業価値の最大化が目的で、ステークホルダーとどの時間軸で握るか、そのためにどのようなコミュニケーションをするか。そのコミュニケーションの手段の1つがPLなんだな、ということを意識しながら仕事しようと思った話でした。

毎週note書いてます!

今週は色々あって、あっさり目に。先週エモく書いたら、囚われてしまいがちだけど、もっとライトに。

※今回は、8月4日(日)~8月10日(土)分の週報になります。

ファイナンスについては、半年前にも書いてるので、こちらも読んでもらえたら嬉しい。


この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?