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それでいいのか「マタギガンナー」(作 藤本正ニ 画 Juan Albarran)

久々に個別の作品でnote書くのに、今回はあんまポジティブな内容じゃないんだよなぁー申し訳ないけど。

本題に入る前に、大前提として俺は好きじゃなったりつまんねーなって漫画には言及はしないようにしてんの。俺がそう思ったって他の人がどう思うかなんて分かったもんじゃねーし、特にここ10年くらいは俺が歳食って来たからかあんまノレない漫画も多くなってきてる。でもだからってつまらんワケじゃないだろうし、好きな人からしたらただ気分が悪いだろうからなぁ。

しかし、ちょっとこれは考えた方がいいんじゃないかという作品がある。それは「マタギガンナー」。


端的に、秋田県のマタギの爺さん山野仁成が妻を亡くして持て余した時間をたまたま手に入れたゲーム機(PS4的な)をやり続けていたら世界トップクラスになっちゃった、というような話。この発想はめちゃくちゃいいよね。

しかもポイントは作画担当の「Juan Albarran」氏はスペイン在住のスペイン人‼︎ もともとDCコミックの作成に関わってたとのことで、多分だけど別にわざわざ日本で漫画描かなくても食っていけそうなのに、「AKIRA」を始め幼少の頃に読んだ日本の漫画に影響を受けて挑戦してみたかったとのこと。

このサイトにちょっとインタビューが載ってた。


こんなこと言われたら、日本の漫画好きとしては応援したくなるじゃんよ‼︎ と思っていたんだが……

この話でいいのか?

わざわざ日本の漫画文化に憧れてきた人をチャレンジさせるのに、まだ確立されたとは言いにくいeスポーツを題材にするのか……というところを爺さんを主人公に据えることにより、ある程度話に幅を持たせたのはいいと思う。やっぱあらすじを聞いただけならワクワクするしね。ただいざ読んでみると、アラが目立つんだよなぁ。絵じゃなくて、話の筋にね。

俺は漫画の絵も内容も、多少の荒っぽさならウェルカムなタイプだけど、どうしても中身よりアラに目が行っちゃうのはよくない傾向だと思ってて。ましてやこれは原作の人がついてるんだから、しっかりやんないと作画の人のためにもなんないじゃんよ、と思うので声を上げてこうと思った次第。まぁ俺が声を上げたところで何にもならんだろうが、少しでも良くなって欲しいなという俺の思い上がりで一本記事を書くことにしたんだぜ。では行ってみよう‼︎(どういう情緒だ)

気になっちゃって話が入らなくなったところ

ただ俺がPS4持ってないし、ロクにFPSゲームやったこともないから俺の方が難癖を付けてる可能性がある、かもしれんというのを頭に入れて欲しい。

とりあえず1巻の1話から順番に気になったところを。ただ文句言うだけなのも気が引けるので、こうすりゃいいじゃん的なものもガンガン言ってくよ。

・不法投棄してる場所が家に近すぎない?


山野さんが作業場の小屋的な場所で鹿を解体してるところの近くで不法投棄されてて、この中にゲーム機があったってことなのね。不法投棄された物の中でゲーム機見つけて、ゲームソフトもその中に入っててということで話は展開するんだが、いくら秋田県で不法投棄といえど流石に民家の近くでするのはないでしょ? 後ろめたいんだから、基本的には山奥でするんじゃないかなー。ここがいきなり引っ掛かっちゃったんだよな。

しかも山野さんはマタギなんだから、山の中で不法投棄見つけても不自然じゃないだろうからそうすれば良かったんじゃねぇかな。それこそいつもの狩りになにか上手くいかなさを感じた時に見つけた的なさ。

・電気屋がぼったくったのは何?

そのプレステ的なものを繋ぐのに電気屋を呼ぶんだが、インターネット的なものに繋がっていないのを故障と思い電気屋を呼ぶ→ADSLの回線を開通されるとなる……(そもそもネットに繋がないと遊べないゲームってないんじゃないか?)

倫理的には最悪だとは思うけど、まぁ漫画表現ではあってもいいでしょう。

それで山野さんはゲームができるようになりました。そして最初は何も分からないが、1人で黙々とやり続けた結果、2年後には謎の凄腕スナイパーとして活躍するようになった。

問題はこの後、特にADSLで回線を繋いだことが大した布石にならず光回線になるのよ。

ADSLのサービスが終了するから光回線にしてくれってことらしくて、あっさり光に。この間はゲームができなくなったってのと、日本人キャラから日本語で話しかけられたってところで回線が切れたって描写しかないんだけど……

俺もあんまり詳しくないけど、ネットで通信対戦するFPSゲームなんて、ADSLと光で凄い差があるもんなんじゃないの? ここなんかはもしかしたら的外れかもしれないが、回線を変えたことにより今まで越えられなかった壁を越えた的な描写にしても良かったんじゃないかな。回線ラグがあることにより、不利になってたのがなくなって山野さんがさらに強くなった的な。

ちなみにこの電気屋はぼったくったことは特にバレずに、なんならたまに山野さんとゲームやって遊ぶ感じの関係になるのもなんか飲み込み辛いんだよなぁ……せめてその前にもうひと展開(山野さんのゲームの活躍を知って、ぼったくりを謝罪してから光回線にするとかさぁ)あっても良かったんじゃないの? なんかコイツの存在が効いてないんだよなぁ……

・白金高菜の意味が分かんない

この作品のヒロイン的なキャラ、白金高菜。ちなみに山野さんの孫娘と同じ高校に通っているこの子、ちょっと意味が分からない存在。

ある日突然山野さんの前に現れて、チームを組まないかと迫るキャラなんだがまぁそれ自体は良くある展開じゃんよ。

プロになりたいと言うほどの腕前が、いきなり強敵と急増チームで戦ったというのもあるだろうが漫画の中では描かれていないため、ただヘタクソの癇癪持ちが騒いでるようにしか見えないんだよなぁ……コテンパンに負けるし。

ここはいきなり共闘するんじゃなくて、山野さんとこの子が大戦をして腕前を見せた方が良かったハズ。そして山野さんに勝つか、惜敗くらいじゃないとプロになりたいの説得力がないんだよ。

その奪われた理由は2巻で明かされるが、その理由はまぁそうだろうなとしか言えないというか。それはお前も気づけよ白金としか言えないよなぁ……少なくともプロゲーマーを目指しているのならば。しかしまぁ問題はその次。

・せっかくのマタギの部分がもったいない

コテンパンに負けた白金に、銃を持つ心構えを解くため熊猟に連れ出す山野さん。それにしてもいきなり女子高生連れて熊はねぇだろ‼︎ とは思うけど漫画だし、まぁいいでしょう。

山野さんもロクに説明もせず、女子高生を熊撃ちに連れてくのは危機管理0で現実なら説教するに値しないけどな‼︎

なんせこの漫画はマタギガンナーなんだから、マタギスタイルを学びそれをゲームにフィードバックするっていいじゃないですか‼︎ これは面白いよ思ったら……

なんとたった3話でリベンジ完了、全部1巻の中に収まっちゃったよ‼︎

そもそも熊撃ちも2話で納めちゃったんだよなぁ……勿体なさすぎ。せっかく「マタギガンナー」なんだからさ、ここを思い切りページ用意してやるべきだったでしょ。全1巻で終わらせる漫画じゃないんだからさぁー。

2巻が酷い

でもどうよ、意外と今のところのツッコミどころこそあれどなんか面白そうな気がしない? と俺も1巻を読んでいた時点では思っていたよ。1巻を読んでいた時点ではな……

で、これは2巻を読んだらより混沌としてきててな。1巻の最後で白金が「世界一のキルキャット」ということを言ってて気になってたんだけど。

プロeスポーツ選手なのかよ。

1巻の終わりでキルキャットの素顔こそ出ないが、スペインの人である描写があった。でも少なくとも1巻の描写では意図的に隠してたのか……? んで2巻の冒頭でいきなりスペインの社長令嬢っぽい雰囲気で登場して、いきなり車で道を爆速して事故った。え、何言ってるか分かんないって?

そんなん読んでる俺も急展開すぎて分かんねーわ‼︎ 何故ならば全ての情報が断片的過ぎるから‼︎

200キロ出してる描写があったから高速かと思ったら一般道っぽいしな……

恐らくこれは絵の担当Juan Albarran氏に配慮してスペインのキャラ出したのかもしれないけど、いきなりワールドクラスのトップ選手倒しちゃったらもうやることなくなっちゃうんじゃない? と思ったんだが「私の最強チームと戦えや」って感じの展開になる。


総じて雑‼︎ キャラが。なんでこんな雑魚感溢れる感じにしてしまったのか。それでもってこの後の展開もぜーんぶ雑‼︎ スペインチームの扱いも酷過ぎるし。

思い出したように急に差し込まれるランクの概念……別にいいけど、個人ランキングとかにした方が分かりやすくていいような気がするけども。

それでこの後、ルーキーランクに負けたら一気にルーキーランクに落ちるというのが戦い中に差し込まれたりしたけど、この手のゲームって実際1回負けたらそんな急降下するもんなのかね? その辺は俺は分からんけど、それを阻止するためにキルキャットが1番やらかしてしまう展開が来る。

チート使っちゃいました

まぁ後なんだ、このチート使う場面もなんかコレでいいのか感がなぁ……

チートってのはバレないようにこっそりやるもんなんじゃないのかね? 確か俺がよく聞いてるラジオでたまにeスポーツの話が出てくるが、「チーター(チート使う人)が増えるとそのゲームが衰退する」ってことで運営はかなり神経を使うようだし、プロも疑われて見つかったら引退廃業に追い込まれるようだからかなりのリスクじゃないんか。

それを「このままルーキーに負けたら世界大会に出られなくなるから」って理由でこんな堂々とやる理屈にはなるもんかなー? ちょっと疑問てか、スペインチームを馬鹿に描きすぎじゃないの?

作画担当の方の国じゃないの? 

だからこのチームの中でどういう話し合いが行われてるのか分からんけど、ちょっと原作&講談社の担当の神経を疑うよね。

んでこの後、山野さんがあっさり勝つんだけどね……特にマタギの技術とか関係なく。

これにはまぁー冷めたわぁ……

原作なのか編集なのか、ホントに取材してコレ?

漫画だし必ずしも現実に近いものを描く必要があるとは思わないけども、eスポーツやFPSに明るくない俺が見ても「どうなのよコレ」って思うとこが多いのよね。少なからず1巻は「荒削りだけど、今後の展開次第では面白くなりそう」って思ってたんだよ。

でも2巻は、俺ははっきりと嫌いだね。これは老人版「俺TSUEEEE」漫画をやろうとしてる。そう考えると山野さんの寡黙でクール、目が鋭い老人像が急に「やれやれ、仕方ないから付き合ってやるか」的なモノに見えてきて良くない。

2巻のマタギ描写が減って、死んだ妻がやっていた畑を再生させて行く話になってきている。それ自体は今後どういう布石になるのかは分からんが……それも結局「死んだ妻に俺はなにもしてやれなかった」って手垢のつきまくった話をやるつもりなんじゃないのかなぁ……そこだけなんで古きモーニングみたいなことさせようとしてんのかも。今更?

せっかくスペインで「AKIRA」(しかも講談社だよ)から影響を受けた方が描いてくれてんのに、こんなテキトーな話にしていいのかいな。今のところ「若者は愚か」「外人は卑怯」みたいなメッセージ性に取られかねないと思うのは、俺の性根が捻じ曲がってるからかね。

「スナックバス江」より。いかん悪い方向に熱くなってきた、バス江でクールダウン‼︎

マタギガンナーなんだから

というワケで、ここはもう一度原点に戻っていただきたい。「マタギガンナー」がマタギをしなくなるのはナシでしょ。そもそも「引退したマタギがゲーマーに」ってならないのは1番最初の話で、妻の葬式でも人から相談されたら狩に出ちゃうって話で証明してる。引退したって言ってたのに人に言われれば狩に出ちゃうし、若者に恐怖を教えるためなら熊を狩っちゃうんだから‼︎

そういう「やれやれ俺がやらなきゃダメか」みたいな見た目ジジイ中身異世界主人公みたいな山野さんじゃなくて、「銃とはそういうものだ」というマタギ全開で行って欲しいよ‼︎ 

「ゲーム上手くならない‼︎」って奴を狩に連れて行って「狩の世界とはこんなに厳しい世界なのか……ハッ、ゲームではあんなに無駄なことをしてたのか‼︎」みたいな展開の方が絶対に面白いハズだ。1巻の熊も簡単にやり過ぎだから‼︎あそこで丸々1冊使っていいくらいだったのに。

てかまず山野さんの壁になる奴が世界の四天王って時点で話がデカくなりすぎてるから、なんとかそれを上手く落として行かなけりゃならない。だからこれから日本に来るであろうスペインチームを、全員丸ごと熊猟に連れて行く展開が必要だと思いますよ。てかそうなってくれ‼︎ せっかく日本の文化に触れてくれるんだから、せめてマタギ要素はガンガン使って欲しいね。

あ、でも最後に。今すごくいいマタギ漫画「クマ撃ちの女」がバンチで連載してるから、くれぐれもそっちとは被らないようにお願いします‼︎ 


クマ撃ちの女は面白いのでオススメです。

以上、出典のない画像はすべて「マタギガンナー」より


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