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尾上菊之助の春秋 その壱 春

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尾上菊之助さんの話題が中心のマガジンです。筆者の長谷部浩は、『菊之助の礼儀』(新潮社)を以前、書き下ろしました。だれもが認める実力者が取り組む歌舞伎、その真髄について書いていきま…
有料記事をランダムに投稿します。過去の講演など、未公開の原稿を含んでいます。アーカイヴが充実すると…
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#義経千本桜

菊之助が「教わる」のではなく、菊之助が「教える」

菊之助が「教わる」のではなく、菊之助が「教える」

 團十郎襲名が延期になった。つまりは、五月から七月まで、歌舞伎座は開場しないことを意味する。
 歌舞伎座は、評論家にとっても、象徴的な劇場なのだろうと思う。古老に聞くと、歌舞伎座の招待日はすべての予定に優先するという。
 正月に威儀を正すのはもちろんだけれども、普段の月も、基本的にはジャケット着用が最低限のマナーとなっている。もちろん暗黙の了解ではあるが。

 久保田万太郎の随筆を見ると、大正年間

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菊之助さんに直接、完全版の放映をお願いしました。

菊之助さんに直接、完全版の放映をお願いしました。

YouTubeで『義経千本桜』の放映が行われている
国立劇場小劇場で予定されていた『義経千本桜』が中止になって、落胆されているかたも多いかと思います。

また、この公演中止に対して、私は、すでに芸術文化振興会と国立劇場に対して、批判の記事を書きました。

私の意見表明が影響があったとは思いませんが、国立劇場としては異例のユーチューブによる配信が30日まで行われています。

必要があって、この配信の

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『義経千本桜』の中止を告知した国立劇場。「完全な五輪」よりは「完全な『義経千本桜』」を。

『義経千本桜』の中止を告知した国立劇場。「完全な五輪」よりは「完全な『義経千本桜』」を。

菊之助が、初役の権太、知盛、忠信をすべて一ヶ月で勤める企画で、歌舞伎愛好家に期待させた国立劇場『義経千本桜』が、安直な延期を続けたあげく、すべての公演が中止となった。

今回の中止については、当然、安倍晋三首相の自粛勧告を受けてのことである。最後の断念については、私はどのような指示が政府からあったかを知らない。劇場側の「忖度」であるのだとすれば、ゆゆしき問題であり、劇場の運営側が、観客や演者よりも

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菊之助の義経千本桜、再開の見通しはいかに。

菊之助の義経千本桜、再開の見通しはいかに。

国立劇場の宣伝部からは、二月二十七日付で「国立劇場3月歌舞伎公演『義経千本桜』 一部講演中止に伴う総見中止のお知らせ」と題する文書が届いています。

「現在のことろ、3月16日以降の公演は実施する予定ですが、まとまった観覧席の手配をすることは難しく、改めて総見日を設けることは見送らせていただきたいと存じます」とありました。

さらに「つきましては、個別に3月16日以降の任意のステージで、ご観劇のご

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菊之助の『義経千本桜』の通し。知盛、権太、忠信。どれを観る? すべて観る?

菊之助の『義経千本桜』の通し。知盛、権太、忠信。どれを観る? すべて観る?

『義経千本桜』の通しと聞くと、忘れられない想い出があります。

 二○○一年に、中村勘三郎(当時、勘九郎)が隅川河畔で上演した『義経千本桜』と浅草がふっとわきあがてきます。。

 この古典歌舞伎の代表的な狂言を、勘三郎は、平成中村座で、知盛編(渡海屋、奥座敷、大物浦)、権太編(椎の木、小金吾討死、鮨屋)、忠信編(道行、川連法眼館)の三部に分け、交互上演しました。

 知盛、権太、忠信は、歌舞伎でい

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知盛、権太、忠信の三役を菊之助が。

今日、国立劇場から封書が届く。3月国立劇場小劇場は、『義経千本桜』の通し。菊之助が、三役を勤めるとのこと。詳しくは、以下のリンクへ。

https://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2019/23125.html