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断片結婚式

『Le Japon』の挿絵と「結神末松山」のどちらにも結婚式の絵があるのを見つけましたので外国人が見て描いた日本の結婚式と日本人が描いた結婚式の絵を比較してみたいと思います。

「結神末松山」 婚礼風景

まずは「結神末松山」より。武士の祝言の様子だと思います。昔の結婚にはいろいろ決まりがあって、花嫁と花婿の座る位置も決まっていました。向かって左が花嫁で右が花婿でした。この絵でもそうですね。では、『Le Japon』を見てみましょう。

Le Japon  日本の結婚式

この絵では花嫁と花婿が逆ですね。江戸時代の後半では花嫁を客人として迎えるため花嫁は上座に座るようになります。次はもう少し詳細を見てみます。

「結神末松山」

「結神末松山」の舞台は近江国(現在の滋賀県)です。結納も関西式で行われたと考えられます。後ろの白木の献上台に乗っている魚は雄と雌の真鯛だと思います。昔はこの鯛を贈っていましたが現在は松魚料としてお金になっています。ちなみに関東では鰹節だったそうです。手前の樽は柳樽だと思います。日本酒を夫婦一対でお酒を飲み交わし家庭円満を表します。


Le Japon

『Le Japon』花嫁と花婿の真ん中に木の置物があります。これは高砂台です。州浜台の上に相生の松そして翁と媼の人形がいます。これは高砂という物語を表しています。季節関係なく緑がある松は永遠や長寿の象徴。その松の葉を掃いているのは熊手を持った翁と箒を持った媼は「お前百まで(掃くまで)わしゃ九十九まで(熊手)」という意味です。また、「相生」は「相老い(共に老いる)」といういつまでも夫婦仲良くを願って飾られます。
右の台には「置鳥」が置かれ左奥には鶴が見えます。これは鶴や亀などの祝いものを飾った蓬莱の島台です。以前も書きましたが『Le Japon』はファンタジーというより実際に見た風景を描いている気がします。

『結神末松山』にも相生の松か蓬莱の島台が描かれています。また、スルメか昆布が献上台に乗っているのも確認できます。

待上臈(まちじょうろう)

この女性達は待上臈だと思います。右端の女性は進行役だと思います。婿の叔母か姉、仲人の妻が務めます。左3人は花婿を世話する花婿側の上臈です。

銚子を持つ侍女

銚子を持ち歩くのは酒を注ぐ係の侍女です。三三九度が始まろうとしている場面だとわかります。
現在では簡略化されたり西洋式に変わった部分もある結婚式。断片からも様々なことがわかります。

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