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『推し、燃ゆ』を読んで、推しを解釈する喜びを学ぶ


書店の話題作コーナーでよく見かけていた、
『推し、燃ゆ』
直近の芥川賞受賞作であり、気になっていたので読んでみた。


アイドルを愛でる主人公の少女。彼女の推しが、ファンを殴って炎上したところから物語は始まる。

印象的だったのは、主人公が全力で推しを解釈しているところ。推しにまつわる出来事を、自分なりに言葉でまとめている。そしてブログに発信するまでやり上げていた。

推しを解釈することによって得られる喜び。楽しさ。これは本当に推しのおかげで感じれるものだ。私自身、推しに魂を燃やしていた時があった。なので、主人公の気持ちにとても共感した。

私の推しは、渋谷すばるくんだった。友人が関ジャニ∞のライブに誘ってくれ、見事にはまった。

すばるくんの声量、歌声、絶妙なギャグセンス。2枚目キャラではないのに、くっきりした目鼻立ちとか。もうとにかくかっこよくて!

当時高校生で、ツイッターをやり始めていた私。情報収集のために、推し用アカウントを作った。

テレビを見た感想や、新曲の喜び。突然込み上げてくる推しのかっこよさなど。

推しにまつわることを言葉にして発信した。今見たらくだらない内容だが、500人くらいフォロワーさんがいて、推しツイートを見てくれていた。

こうして推しについて、
考察する→言語化する→発信する
というサイクルが定着した。もともと物事について「考える」のは好きだった。推しを解釈することで、考えを「言語化」し、「発信」することができるようになった。

今思えば、推し考察によって、思考や表現力が向上したところもあった。趣味でありながら、自分の強みとなっていった。

そして何より、推しを解釈する生活はとても楽しかった。

『推し、燃ゆ』を読み、推しによって得られたものを認識できた。エンタメ系のカルチャーって、生活の中で優先度は低い。でも推すことによって、得られるものも確実にある。

今も渋谷すばるくんの曲を聴き、ファンクラブには入っている。前ほどではないけれど、応援は続けている。私にいろんな喜び、成長を与えてくれた推しに感謝だ。

推しがいる方、ぜひ読んでみてほしい。それぞれの推しと、推す姿勢を重ねながら。


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