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始めたつもりのなかった介護、振り返るとそれを【介護】と呼ぶのかもしれない。

【介護】と聞くとついつい身構えてしまう。介護を始めたつもりもなかったけれど、振り返るとそれを【介護】と呼ぶのかもしれない。「自分の家族を大切にするってこういうことなんや~」と感じた、記録。

わたしにとって、祖父母の介護は今や毎日の暮らしの一部になっている。

歩いて5分ほど、目でも確認できる距離に実家がある。その実家の隣に、父方の祖父母が住んでいる。祖父は認知症、祖母は認知症と糖尿病

そして、わたしの母はリウマチだ。母は痛い痛いと言いながら、毎日何回も何回も階段を上り下りして祖父母のもとへ足を運び、食事を持って行ったり、薬の飲み忘れがないかの確認をしている。

少しずつ進行する二人の認知症と足並みを合わせるかのように、彼らの暮らしから選択肢も減らさざるを得なくなってきた。毎日のように鍋を焦がすようになったためガスコンロを取り外し、電気コンロに替えた。慣れてきたころ、電気コンロでもたびたび焦がすようになった。家族で話し合った結果、電気コンロも取り外すことになった。祖父は自分で味噌汁を作りたいのに作れないジレンマと葛藤している。が、祖父が作る味噌汁は味が濃く、糖尿病の祖母にとっては良くなかった。

次から次へと湧き出る課題と祖父母からの度重なる苦情に母は心身ともに疲弊していた。

わたしに出来ることはなんだろう

母からすると義理の親であり、言いにくいことも多々あるが私にしてみれば実家の祖父母。母の言いにくいことをわたしが母の代わりに言うようになった。そのころから【祖父母を介護する母】のために、今出来ることを、今のわたしにしか出来ないことについて考えるようになった。

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育休が終わり職場復帰すると、今ほど母を手伝ってやれないかもしれない

母のために少しでも。

デイサービスのないとある日、祖母をわたしの自宅に招いた。祖母はひ孫になる子どもたちを見て「可愛い、可愛い」と喜び、子どもたちと一緒に遊ぶようになった。

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家で皿洗い、洗濯、風呂、歯磨き、衣類の整理、食事の用意などが出来なくなり、一日中テレビを見るだけだった祖母は、うちに来ると子どもたちを見ていきいきとするようになった。10ヶ月の息子に離乳食を用意すると祖母は喜んで食べさせてくれた。スプーンを持つ手も最初はぶるぶると震えていたが、今は最初のときほど震えなくなった。筋力がついたのか、バランスがついたのか、分からないが改善された姿を見られるのは嬉しい

母もどこかほっとしているようだった。その日から、デイのない日は毎日うちに歩いて来るようになった。(母と私で連携をとり、見守りは欠かさず行っている。)

デイのある日でも、送迎してもらった後に我が家に来るようになり、わたしたち親子と祖母は食事をうちで共にすることが多くなった。平日デイのない日は昼夕をうちで、デイのある日は夕食のみをうちで食べて帰るようになった。

母は祖父の食事と二人の病院関係、生活全体のチェックを行い、わたしは祖母の食事と洗濯と風呂を担当するようになっていった。祖母の食事と言っても糖尿病なので、良く言えば【素材の味を活かした薄味】だが、実際は離乳食と同じように用意させてもらっている。サラダをもりもりに用意し、鶏むね肉や納豆や汁物、計量したご飯などが主だ。できるときは旬のものもちょこちょこと取り入れている。離乳食と同じようなものにさせてもらっているので手間もかからない。小さい子がいるので(体力的に)買い出しにはあまり行けず、その点は母にも協力してもらっている

洗濯についても、洗濯を嫌がる祖母に「洗濯して」と繰り返し言っているだけ。何度言っても洗濯しないことがほとんどなので、旦那に子どもたちを見てもらっている間に私が祖母宅へ洗濯機をまわしに行き、あとは見守りカメラを通して「干してね~」と言うだけ。「歯磨きしてね~」とも言う。うがいしかしてくれないので、「は~み~が~き~」と何度か言う。終われば家電類の電源をオフにしてもらい、「今日もおつかれさま!おやすみね~!」と声かけ。見守りカメラは欠かせない。


わたしが出来ることを出来る範囲でする。育児もあるので無理はしない

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息子自身もひいばあちゃんへの声かけをマネするようになってきた。「ひいばあたん、ここあぶないよー」「ひいばあたん、おててあらわなあかんよー」「ひいばあたん、きょうくるかなー」「いっしょにたべたらおいしいねー」

長男はわたしの背中を見てくれている。初めて知った。将来子どもたちに介護を押し付けることはしたくないし、【介護】と聞くと身構えてしまうけれど、記憶の片隅に「お母さんよくこうしとったな~」とか「自分の家族を大切にするってこういうことなんや~」と、わたしの姿からゆる~く感じ取ってくれたらこんなに嬉しいことはない。

今まで自分を育ててくれた家族を、今度は自分が助ける。年を重ねるごとに変わっていく身体の変化を受け入れ、状況に応じてその都度環境を整え、自分自身も家族も、今を気持ちよく過ごせるように工夫すること。

そして、昨日また状況が変わり、今日から祖母のための紙おむつを我が家にもストックしておくことになった。祖母も私たちも気持ちよく過ごせるように、32歳、母ちゃんは今日も突っ走って頑張ります!

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