シェア
はるのもみじ
2024年6月29日 13:10
11月を迎え、紅葉の種類の木々たちは色づき、早いものは、綺麗に散って、ふかふかとした、色とりどりの落ち葉たちが、絨毯のように敷き詰められている中を、音を立ててかき分けながら、私はどんぐりを探していた。この季節、子どもたちが森の工作で使用するどんぐりのストックを作っておくため、落ちたどんぐりを拾いにいくのも、重要な仕事の一つだ。拾いはじめて約1時間が経った頃だろうか、地面にしゃがみながら、1
2024年6月27日 18:58
「えー、優也くん帰っちゃったの?今日まだいるかと思って、仕事終わりはるの家行こうと思ってたのに。」「あー、ごめんごめん。今日の朝帰っちゃったわ。」3人で晩御飯を食べた翌日、私は休みだったので、優也をいろんなところに連れて行って、そして今朝、優也が帰途に着くのを見送ってから私は仕事に出社した。「えー、ほんと残念。ねね、連絡先は共有していいって確認してくれた?」「それはしたした!いいっ
2024年6月24日 11:03
10月に入り、朝晩の気温がぐっと寒くなってきた頃、私の家をとある大学時代の後輩が訪れた。名前は優也。大学時代のサークルの後輩で、年齢は3つ下、ちょうど今、彼は3年生の時期で、就活について悩んでいたらしく、一度私の山暮らしを体験してみたいと約3日間くらい、家に滞在することになった。昨日、駅に迎えに行き、久しぶりの再会に、お互いのいろいろな話を共有し合って、あーそういえば私もこんな悩める時期が
2024年6月23日 10:57
季節は秋のはじまり、9月になった。夏休みのシーズンが終わり、職場の忙しさもひと段落した。そういえば、ここにはじめて訪れた日からもうすでに1年が経っている。つらかったような、楽しかったような、長かったような、短かったような、すごい速さで過ぎ去っていった夏の終わり。久しぶりの定時の仕事終わりに温泉につかりながら思いを馳せて、私の胸はなんだか熱くなった。「はる〜、今日も仕事お疲れ様〜。」温泉
2024年6月21日 18:12
ドンドンドン「はるー、ねぇおいしいスイカ手に入ったから、今から一緒に食べようよ。」家のドアを菜々子がたたいている。休日の昼間だというのにまた、菜々子に起こされた。けれど、それにもだいぶ慣れてきた頃、季節は夏を迎えていた。キャンプだ、バーベキューだと行楽シーズンとなり、職場は繁忙期を迎え、さらに毎日のように続く猛暑に、身体はヘトヘトだった。だから、休日は朝から起きる気にもなれなくて、昼ま
2024年6月10日 12:27
何やら、朝から携帯が何度も鳴っている。さっきから、何度も止めているのに鳴り止まない。今日は仕事が休みの日。基本休みの日はアラームを切っているはずなのに。間違えてかけてしまっていたのだろうか。まだ重い身体を無理矢理に起こして、枕元にあった携帯電話を片手に画面を開く。アラームではない。菜々子からの着信だった。朝の5時から、もうすでに5回も着信が入っている。時刻は6時半を回ったばかり。こんな
2024年6月3日 16:38
新しい職場に通うようになってから、もう約1か月が過ぎようとしている。季節は5月を過ぎ、山の木々たちは、旬を迎えたと言わんばかりに青々とその葉をたくましく茂らせている。木々たちに加え、地面を張っている草たちもものすごいスピードで成長していて、毎朝のように、出勤前から、所長さんが、その草たちの成長速度に負けないようにせっせと草刈機で草を刈っている。その様子はまるで、草刈りの専門業者みたいだった
2024年6月3日 16:35
3月の月日はあっという間に流れ、なんとか菜々子の手伝いもあって、引越し作業も無事に落ち着き、晴れて4月1日を迎えた。今日は、菜々子が紹介してくれた、これから働く山奥の林間学校での仕事の初出勤日だ。いつもより早く目が覚めた私は、朝からお湯を沸かして、インスタントコーヒーを作り、それを持ってベランダに出る。今日の天気は晴れ。朝日のまぶしい光と、少し肌寒いけれど朝日によって少しあたたかくなっ