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星野源のオールナイトニッポンで放送作家の寺ちゃんについて熱く語る星野源がやっぱりすごくよかった話

5月22日(火)に放送された星野源のオールナイトニッポンは「作家の寺ちゃんSP」でした。放送作家の寺ちゃんこと寺坂直毅さんは、源さんとは2010年から8年にわたる親交があるお人で、源さんのライブでの「口上担当」としてもすっかりおなじみになっています。

いち作家である寺ちゃんSPをずっとやりたかったという理由を、源さんは番組冒頭で「僕は寺坂直毅には無限の可能性があると思っていて」と直球の言葉で切り出しました。しかも、ゆくゆくは「マツコの知らない世界」に源さんが出てマツコさんの知らない「寺坂直毅の世界」をやるためのプレゼン番組にしようという心意気の詰まった、何とも素敵な回でした。

寺ちゃんといえば、紅白が大好きで歴代の前口上もばっちり暗記しているというつわもので、全国各地のデパートやそこに設置されてるエレベーターにも詳しい、という話は何となく知っていたけれど、この放送ではさらに深いところまで話を聞くことができました。

寺ちゃんは中2の夏休みから登校拒否になり、中3からは養護学校に通い、高校は夕方5時から夜9時までの定時制高校に通っていたということ。

紅白を好きになったきっかけは、高校2年生の時、たまたま見ていた紅白でステージのセット転換の早さに魅力を感じたからで、自分でセットのミニチュアを40種類くらい作って紅白のビデオを流しながら実際に勉強机の上で転換させたりしていたというお話。

学校に通いながら「寺坂交通」という架空のバス会社を運営し、実在するバスの路線とは別の路線を50系統ほど作り、停留所の名前も決めて、学校に通う前や夜明けに自転車を走らせ、架空のお客さんを乗せた「バスの運転手」をしていたこと。

授業がつまらないから、自分のことを「宮崎東高校」に通う学生ではなく「宮崎東放送」に通い月~金の5時から9時まで帯の番組をやっているラジオのパーソナリティーなんだという発想に変えたら、学校が本当に放送局に見えてきたという話。

そんな創造力豊かな寺ちゃんへのただならぬ愛にあふれた、寺ちゃんSP。番組後半で源さんが語った寺ちゃんへの思いが素晴らしかったので、思わず書き起こしました。

この話って、いわゆるラジオとかテレビとかでしてないじゃない、ほとんどしてないじゃない。それを、話をしてくれた時に、僕は本当に心から本当に感動したんですよ。で、なんでかっていうと、その…何だろう、その…人間というものが、その…1人の人間が1人の人間の中で、自分で発想して楽しんで、自分の好きなものを見つけてそれを膨らませて、その高校3年間だったら3年間、生きたわけじゃないですか。

で、その「あー授業つまらないな」っていうところから、その「ラジオ局にしよう」っていう発想だったり、あとその夜、夜中、通う自分の家から自分の町っていうものでバスを運転したりとかっていう中で、何ていうか、それ誰とも共有してないわけじゃないですか。それ、誰も知らないし、完全に自分だけじゃない。でもその中には世界があって、聞いているリスナーもいて、運ぶお客さんもいるわけじゃない。その中には世界があるんですよ。

で、その話を聞いた時に、何て言うか人間ていうものの、すごさっていうか、何だろう…今、まあ…僕がちっちゃいころっていうか僕が学生のときって、いわゆる今みたいなTwitterとかもないしブログとかもないし、もちろんYouTubeもないしっていう中で、自分が好きなものっていうのは、僕は、あんまりその、僕の場合は、例えば共学の学校に通っていて周りでその、いろんな文化とかカルチャー、音楽とか楽しんでる人いたけど僕が好きなものっていうのを共有できる人はたまたまいなかったんですよ。

だから自分の中だけで楽しむっていうことをずっとしてきたんだけど。その何か究極の形っていうか、僕は自分の中で楽しむってことがすごく楽しかったし、それで、それがあるから僕今ここにいるんだと思ってるんです。で、その寺ちゃんも当時ラジオ局のパーソナリティーを3年間やったっていうのは、何て言うんだろう、その…何だろうな、本当にやってたんだよ。うん。本当にやってたの。そのバスも本当に運転してたの。だからそれが、僕はすごく大好きだし、そういうのを何ていうか、何だろう…笑いたくないっていうか、何か、笑うことじゃないんだよ。それが今の寺ちゃんを作って、で、ここは今ラジオにいるんだよ。それって、すごいことなんだよ!

で、それってさ、その、今、何だろうな…その…今、そういういことがどんどんできにくい時代になってきているというか、すぐ人とつながろうと思えばつながれる時代で、それはいいことなんだけど、すごくいいことだし、そのつながるということでまた広がる世界が全然別にあると思うんだけど、その中でもつながれない人たちっていうのがたぶん絶対にいるはずで、で、今こんなに簡単につながれる世の中の中で、「つながらない」っていうことの肩身っていうのがすごく狭くなってると思うんだけど。

で、僕はその寺ちゃんの話をこういう番組とか、例えば、それこそ今半分冗談みたいに「マツコの知らない世界」で喋りたいみたいな話をしているのはなんでかっていうと、やっぱそういうのってたぶんずっとあることだと思うんですよ。根本だと思うんです。その、何かこう自分の中で何かを、好きなものを膨らませていくっていう感覚って、きっと一生変わらないっていうか、それが人間ていうものの、何だろう…こう…人間たるゆえんを作ってきたのではないかという感覚が僕はあって。

人間がその昔狩りをして、動物を狩っている中で、たぶん、壺とかを作るだけの人がたぶんいたんだと思うんだよ。で「お前なんで壺ばっか作ってんだよ、バカじゃないの」ってたぶん言われてたような人が。で、あと食べれない感じの食器を作ったり、縄文土器とか。その(笑)…何か、でもそういうのって、たぶんそういう人って、でも、何だろう、こう、生活に必要なかったりすることをやるんだけど。何かでも、そういう部分って人間の本質だったりするわけじゃないですか。動物から最も離れてることっていうか。

で、そういうのが積み重なって文化ができてって、で、人間ていうものが発展していく中で、人間ていうもののすごい大事な部分だと思っていて。それを、寺ちゃんて、あの…1人きりで体現している人だと僕は思っていて、で、そういう話をしたかったんですよ、ずっと。

この放送を聞いて、寺ちゃんの魅力も改めてよく分かったけれど、それと同じくらい…いやそれ以上に、源さんが寺ちゃんのすごさをもっとみんなに知ってほしいと思っている、ということが本当に伝わってきました。

自分の中にある熱い思いを丁寧に言葉で紡ぐことができる源さんを改めて好きになれた寺ちゃんSP。源さんと寺ちゃんは、どちらも自分のやりたいことに向かってまっすぐで、とことん究めようとする職人気質で、そんなお互いの情熱が深いところで共鳴し合っているんだなと思いました。本当にいつか「マツコの知らない世界」に2人で出てほしい。

もし興味を持った人がいたら、ぜひradikoのタイムフリーで聞いてみてください!


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