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第5話 夜の脳内


〜前回までのあらすじ〜
高校二年生のさと子さんはパンが大好き。パン作りが趣味なおばあちゃんと二人暮らしをしています。同い年で起業をしようとしてるでっちゃんに、一緒にパン屋をやるとは言ったものの…?


夜風に当たりながら、家へと歩く。

今日は、少しさわさわと頬を撫でられるくらいだ。
数十分ほど前の、でっちゃんとの話で火照った頬へ、寒さが、ほんの少し染みてくる。

今日のでっちゃんとの話を、おばあちゃんに言ったら何と言うだろうか。
妄想をしているだけだったはずのパン屋をやる話を、少し、本気でやってみたくなったと言う話を。

パンを通じて幸せを届けることが出来るのなら、それはとっても幸せなことだと思う。

どんな形で、パン屋と関わっていこうか。
パンを作ることで関わってもいいだろうし、経営面から関わってみるのも楽しそうだ。

私だったら、このパンはどこの国が発祥で、、とかっていうのが分かるようにパンを置いたりしたいな…♬


ーーーでも、、

でっちゃんは、高校に行かずに起業をしているが、私は高校に通っているのだ。来年には、受験も控えている。

こんな状況のときに、パン屋さんをやるという決断をすることは、私の人生でどんな意味を持つのだろうか。

今、世の中では、大学生や高校生でも起業してる人がたくさんいる。
起業という形ではなくても、ユーチューバーだったり、写真家だったり、色んな形をとって、自分を表現している人たちがいる。
その中には、中退という選択をして、自分の進みたい道へ行く人もいるのだ。

身近にいるでっちゃんも、その道を歩んでいるからというのもあるのだろう。
私の心には「中退」という二文字が浮かんだ。

しかし、やり方はいろいろとあるのだろう。
高校や大学に通い続けながらやる人だっているし、卒業してからやる人もいるのだ。
パン屋さんをやるとしても、どのタイミングでやるのか、何を学んでからやるのか。。。

そう考えると、なんだか、自分の前には無限の選択肢があって、たくさんの可能性が広がっているように思えた。

そう考えると、そう考えると、、

おばあちゃんも本当にパン屋さんをやりたいと思うかもまだ分からないのだから、どうなるかはまだ本当に分からないのだけれど、

言葉が、出ない。







ガチャッ

「ただいまー」

「おかえりー。今日はどうだったー?」

「楽しかったよ。でっちゃん、クロワッサン美味しかったって。」

「それは良かった♬美味しいって言ってもらえると作った甲斐があるってもんよね〜♬」

「そうだね。私からも、作ってくれてありがとう。………じゃぁ、私は…もう、寝るね。」

「そっか〜。でっちゃんと晩ごはん食べてきたんだもんね。おやすみ〜」

「おやすみ」

ーーー1人で考えている間に悩み始めてしまった私は、この日、おばあちゃんにパン屋さんの話をすることはできなかった。



つづく

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パンをこよなく愛する高校2年生のさと子さん。パンを作るのが趣味なおばあちゃんと二人暮らし。それが、ある日、パン屋さんをやることに…?!気まぐれ更新中🍞

望月遥菜が書く初の小説です。

「さと子のパン屋さん」一覧はこちら

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