【論文まとめ】大学生の幼少期の親からの意思決定支援の認知と自己決定感

川嶋健太郎・蓮見元子(2019)の論文をまとめる

はじめに

近年、自分のことを自分で決めることのできない子どもが増えている。流されるままの大学生の増加。

→その原因として、幼少期からの意思決定の経験不足、支援不足が疑われる

保護者は子どもに対して
どのような事柄について選択をさせるのか(意思決定の機会の提供)
選択肢の種類はいくつか(選択肢の提供)
間違った選択をした際にどのように言い含めるのか(正しい選択をするように誘導)
といった意思決定への支援をおこなっているといえる

自律性支援と統制的な子育て

自律性支援は、相手が自発的で自律的であるように能動的にサポートすること
→子どもの気持ちの把握、選択肢の提供など

統制的な子育ては、命令や親の都合の押し付けなどで子どもをコントロールすること

選択機会を与えることで自己決定の頻度を増やし、生活の質を高められることが示されている(Reid &Parsons,1991)

目的

本研究では、幼少期に保護者から受けた意思決定支援の認知にどのようなものがあるか検討する
また、子の意思決定支援の認知と現在の自己決定感との関連性についても検討する

方法

幼少期の親からの意思決定支援尺度(①助言する因子 ②急がせる因子 ③理由を聞く因子 ④誘導する因子 ⑤認める因子)と自己決定感尺度を用いた質問紙調査

考察

大学生は幼少期に①助言する(次回の選択へのアドバイス、決定前の話し合い、選択の提案)②急がせる(突き放して焦らせる、待てない)③理由を聞く(選択の理由を聞く、失敗から学ばせる)④誘導する(選択の再考を促す、説得する)⑤認める(大人が折れる、決められるまで待つ、強制する)の5つのタイプの支援を受けていた

意思決定支援の3タイプ

クラスター1
親の都合で急がしたり誘導せずに子どもの選択を認め、時々助言をしていた

クラスター2
保護者の考えで子どもの選択を変えたり、急がせたりする

クラスター3
子供が選択をする際にあまり何もせずに、選択結果を認めていた



各クラスターと自己決定力の関連

これらのクラスターごとに自己決定力を比較した結果
クラスター2の支援を受けていた大学生の現在の意思決定力は他のクラスターと比べて有意に低かった

→つまり、親の都合で子どもの決定を変えたり急かすことは子どもの将来的な自己決定力を低下させる


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