「横道誠/発達障害者は擬態する」 自閉症者の感想
どうも、春野です。
今日は読書記録です。読んだ本は横道誠さんの【発達障害者は擬態する、抑圧と生存戦略のカモフラージュ】です。
ご存知でしょうか。この方は大学で教鞭を取ってもおり、ASD、ADHDの当事者の方でもあります。文学の研究を主に、それと並行して発達障害の当事者研究を行っているようです。
今回紹介の本の他にも、様々な本を出していらっしゃいますので、調べてみてください。
さて、早速感想に移ります。
感想
この本は、発達障害を持つ方に、横道先生がインタビューを行い、それを読みやすいように文章を再構成した形式になります。語り口調になっていて読みやすいですよ。全てで11パートに分かれており、色彩豊かな当事者たちの経験談を読むことが出来ます。
読んでみて思ったのが、
ノーマルの人の空気を読む行為と、
発達障害者の擬態は何が違うのだろうか?
ということです。
僕の見立ててでは、
空気を読む行為よりも、
発達障害者の擬態は多重構造になっているのではないか、と思います。
どういうことか?
ノーマルの人は、空気を読む際、目に見えない相手の心情を読み取り、瞬時に場を崩さないように、次に取るべき行動が啓示のように分かるそうです。分かるからこそ、脳をあまり使う必要がない。
では、発達障害の場合は?
ご存知の通り、発達障害者は目に目えないものを理解しずらいという特性がある故に、場の雰囲気を読み取ることが困難です。
だから、せめて周りの目にみえる身体的な動きを真似し、場の調律を図ります。でも空気を読むのと同じように、次取るべき行動が啓示のように降ってこないし、その周囲の行動原理は何一つ理解出来ていないという苦しみ。
僕も周りの行動を見て、常に思います。
なんでそんなことをするのだろうか?と。
発達障害者はそれだけではありません。特性のせいで、ノーマルではないというレッテルを貼られる上に、いじめや虐待、離職、宗教問題やセクシャリティーなど様々な困難が上乗せされるのです。
空気を読もうとしても読めない苦悩。
読めないからこそ、脳をフル回転させて空気。読もうとする苦悩。
読もうとして失敗した先に待つ、一筋縄ではいかない人間関係の苦悩
これらの失敗した経験により、さらに人間のふりをせざるを得ないジレンマ。
発達障害者は、人間にカモフラージュするために、様々な困難を覆い隠さなければなりません。
苦しみが多重構造か否か。それが空気を読むと擬態の違いなのかな。
擬態にも種類があって面白い
頑張って擬態して、発達障害だと分からないくらいカモフラージュ出来ていた人もいたり、逆になんでカモフラージュするのか分からず、カモフラージュはしてこなかったりという人もいて面白かった。
一番好きなのは「僕の問題は書字障害で、文字が頭に浮かんでこないんです」と書かれていた2章が一番好きでした。自分とよく似ている。
出来ないということを知ることは、出来ることを知る行為でもあり、それを知ることで、どんどん環境に適応し、色々経験を積んでいるtenさんが痛快で面白かったですね。
周りの人も理解あるばかりだったようで、自分の今の状況とリンクしていて楽しく読めました。
ちょっと気になったこと
なんで頭いい人たちばかり取り上げているんだろうか?と謎でした。
皆、テストはいい点取れてましたね。って言っていて、「またかいな」と思ってしまった。そこは自分的に共感できないポイント。インタビューする人の知能にバリエーションがあったら、もっと抑揚つけながら読めたかなと思う。
と最後まで読んでみたら、やっぱ高学歴の人を主にインタビューしていたようです。症状が重く、まだトラウマからも抜け出せてない人だと、あまり多くを語ってくれない可能性があるのだそうです。だから上手く生きている高学歴の人を中心に取り上げたのだそうです。
横道先生も、知能にバリエーションをつけたバージョンの本も出版したいと書き記していたので、楽しみに待とうと思います。
こんくらいかな。すごい面白かったのでおすすめです。
すんごい読みやすいですよ!
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