庭師が鋏にこだわる理由
私たちが使っている鋏の値段を伝えると、「高い鋏使ってるんだね。」や「良い鋏を使ってるね。」と言われることがあります。
今回は、なぜ庭師が鋏にこだわるのかについて、書いてみました。
楽しんで読んでいただけたら幸いです。
樹木のために
何度もnoteで書いている通り、樹木は生き物です。
枝や幹を切るということは、人間でいうと、傷が付く・怪我をするということに似ています。
切り傷に比べ、擦り傷の方が跡が残りやすいという経験はないでしょうか?
樹木もかなり似ています。
切り口がきれいに切れていることで、樹木の修復も早く、腐食や菌類などの影響が少なくて済みます。
逆に枝を折ったり、むしってしまうと傷口も汚く、腐りや菌類による病気などのリスクも増してきます。
葉刈りの切り口
葉を刈り込んできれいな線を出し、形を整える刈り込みにおいて、葉の切り口は非常に重要になります。
葉を刈ると、どうしても切り口は少し茶色くなります。
その切り口が汚ければ汚いほど、切り口の茶色具合は広がります。
バリカンで刈ったときと鋏で刈ったときの違いを見ると、一目瞭然です。
切り口がきれいなほど、その後の樹木の見た目にも影響してきます。
切り口ひとつで見え方が変わる
枝の切り口で、樹木全体の仕上がりが変わります。
やはり、切り口がきれいだと、仕上がりも良くなります。
切る場所が同じでも、切り口の美しさで、最終的な仕上がりにかなりの差が出るのです。
庭師も切り口ひとつで、素人が切ったか、職人が切ったかがわかりますし、その職人のレベルやこだわりもわかります。
お金をいただくからこそのこだわり
私たち、庭師は、技術を売って、お金をいただきます。
サービスに対しての価値で、ものを売っていくらではないのです。
極端かもしれませんが、実際のところ、お客様は、1日その人間を雇うことに対してお金を払ってくれます。
そんな中、切れなくなった鋏や適当な切り方でお金をいただくことは、大変失礼なことだと思います。
個人的には、鋏ひとつとっても、お客様のためを考えると、決して高いものだとは思いません。
庭師としてのプライド
これは完全な主観になりますが、職人として、道具にこだわりたいと思います。
鋏の音や形、切れ味など、自分も気持ち良く、聞く人にも見る人にも立ち止まってもらいたいと思います。
明確な理由は、ないのですが、技術を売る職人として、そこはこだわりたいです。
職人が、道具をとても大事にし、毎日手入れするのも気持ちの部分が強いのかなと思います。
いかがでしょうか?
気持ち的な部分を除いては、それぞれに理由があります。
なぜこだわっているのか伝われば、嬉しく思います。
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