見出し画像

三浦春馬さん作品レビュー:天外者(てんがらもん) こんな人にはお勧めしないよ編

5回目の月命日にあたる今日も、「三浦ハレマ」の威力を思い知る晴天となりました。月命日に半休を取って劇場へ向かう私。春馬くんはきっと、天外者(てんがらもん)が公開されてから忙しいのでしょう。今日も、どこかでファンの方と一緒に、観てくれていたでしょうか。

明治の実業家・五代友厚の一代記を描く「天外者(てんがらもん)」。

この作品は、幕末期の英雄たちの、友情と絆を中心に描くフィクションです。五代友厚の天外者ぶりを、少し(だいぶ?)盛って紹介しています。なるべくたくさんの人に観てほしいと思ってはいますが、劇場に足を運ぶには、お金も労力も使います。期待と違ったということのないよう、「こんな人には向いてませんよ」を書き留めておきます。

1.歴史ものは、「史実に忠実でないと」というタイプ。もしくは「誇張しすぎるにもほどがある」というタイプ
本作は、フィクションの要素がかなり強いです。たとえば、史実だと伊藤博文は松下村塾でも学んだ長州五傑の一人ですから、イギリス留学前は英国公使館焼き討ちとかしちゃう、ゴリゴリの攘夷論者です。1857年の留学前当時に坂本龍馬や五代才助ら、開国論者と親しく話してるのは作り話としてもありえん、許せん、という方は観ないほうが良いです。

2.五代友厚の功績をきちんと知りたい、というタイプ
五代友厚の功績は、政府高官としては①堺事件の収束、②大阪港の開港。民間人としては①金銀の海外流出を防ぎ、収集した金銀を国に買い取らせ、儲けた金で鉱山の開発をしたこと、②実用に足る英和辞典の編纂、③大阪市立大学の設立、④大阪商法会議所設立 などがありますが、いずれも深く触れられません。彼の功績をきちんと知りたいなら、以下の本をお読みになるのが一番良いです。いくつもの五代友厚伝を引きながら、史実を丁寧に検証しています。

じゃあこの映画は何なんだ、という方。冒頭でも触れました。

「幕末期の英雄たちの、友情と絆を中心に描くフィクション」

ざっと見ると、おおむね五代友厚のやったことは網羅されているのです。ただあくまで「ざっとさらいました」という程度であって、個々の功績にスポットライトが当たっているわけではありません。英雄譚にありがちな、誇張もところどころにちりばめられています。

繰り返しになりますが、本作は五代友厚の人間的魅力を、他の登場人物との関わり(関わり自体もフィクション)を通じて、描いた作品になっています。

ちなみに、歴史の教科書で五代友厚の名を見るのは、ほぼ北海道開拓使官有物払い下げ事件絡みのみですが、これについては一ミリも触れられていません。史実といえば、これだって「?」ですが。

というわけで、ネタバレレビューの前に、映画「天外者(てんがらもん)」の楽しみ方を少し書いておきました。歴史は苦手でよくわからない、という方も楽しめますし、歴史に詳しい方も、史実と違う点については、ほーそうかそう来たか、それも面白いかもね?とツッコミを入れつつ、楽しく観ていただける作品だと思います。

脚本は「天地人」の小松江里子さん。大河ドラマ「天地人」がお好みでなかった方は、観ない方が良いかもしれません。ストーリーは脚本で決まりますから。

参考に、Wikipediaの「天地人」のページへのリンクを貼ります。「反響」の項に書いてあるのと同様のことが気になるかたは、きっとこの作品、あまりお好みではないと思います。


もしここまで読んでも、皆さんが劇場に足を運んで「天外者(てんがらもん)」を観ようと考えてくださるのなら、作品の魅力と、表現者・三浦春馬が磨き上げたスキルとその実力を、皆さんが存分に堪能できますようにと、心から祈ります。

いただいたサポートは、わたしの好きなものたちを応援するために使わせていただきます。時に、直接ではなく好きなものたちを支える人に寄付することがあります。どうかご了承ください。