宮本晴樹/八朔ちゃん

「だから、希望の話をしよう」 身体と心が壊れて2021年に半年間休職していたIT業界…

宮本晴樹/八朔ちゃん

「だから、希望の話をしよう」 身体と心が壊れて2021年に半年間休職していたIT業界従事者で、トランスジェンダー当事者。 執筆、配信、歌など頼まれてもいないのに幅広くタレント活動中。 気に入ったらいいね♥とかシェアとかフォローとかコメントとかサポートとかしてくれると大変嬉しい。

マガジン

  • 八朔少年漂流記

    映画その他の感想から時事ネタ、雑記まで何でも放り込まれています。 タイトルに少年と入っているのはいい歳して自意識が少年なのではなく、かつて八朔少年で一つのペンネームだったことに由来します。

  • 告知まとめ

    宮本の関わった作品・企画についての告知記事をまとめるマガジンです。

最近の記事

映画『トップガン:マーヴェリック』と死んでしまった叔父のこと

「八朔ちゃん、うちに来なよ。いつ来てもいいよ」 そう言ってくれた叔父は数年前に亡くなった。55歳か、54歳か、それくらいだったと思う。どのみちちょっと早すぎる年齢だった。 癌だった。診断が下ったところからあっという間だった。 トップガン:マーヴェリック(以下TGM)を観て、ぼんやりと思い出したのは叔父と、叔父の死のことだった。 親しかったのかといえばそうでもない。自分でも何故思い出すのか分からない。分からないまま2022年に劇場で観てからこっち、ずっと澱のように引っかかって

    • 現状報告、あるいは歩みを止めないということについて

      三日も休養をとったら焦りに支配された。 先日はカラオケ配信トピアのイベント、3月Birthday Weekの応援まことにありがとうございました。 おかげさまで、思いもよらなかった1位という成績でイベントを終えることができました。 これだけたくさんの方に応援していただけたことが何よりも誇らしいです。 御礼も順繰りになりますが伺います。お待たせしますがよろしくお願いいたします。 その翌日、アタック25nextの放送がありなんとかパネル一枚もぎ取った顛末をみなさんと共有して以降

      • 聴くべきお客さまの声、あるいは失敗と成功の予言について

        昨夜、匿名掲示板に僕についての書き込みがあるとタレコミを受けて確認し、ツイッターで十数ツイートに及ぶ大反対弁論をしてしまったのだけど、よくよく考えたら匿名掲示板に書き込まれた内容にこちらが大真面目に弁明をする必要はなかったなと反省している。書き込みで指摘があったように失言は確かに失言だし、それでも僕は自分の責任で自分の名前を以って発言をする権利を行使した。それだけのことだった。時間を無駄にしてしまった。 僕が聴くべき声は曲がりなりにも僕の芝居や歌その他作品などを好いてくれて

        • 君の思い出になるために

          というのは、僕がかつて書いた小説のタイトルであり、スピッツの『君が思い出になる前に』をもじったものであることは見てのとおりなんだけど、その歌詞を愛しているし、小説のタイトルとして似たような言葉を上げてしまうあたり、僕の本質を表しているのだと思う。 去年は僕にとって稀にみる精力的な年だった。一方で拾いこぼしたこと、やれなかったこともたくさんあって、そういうのを僕は縁と呼んでいる。 今年は去年拾いこぼしたこと、やれなかったことのうち、僕がまだやりたいと思っていることを優先して取

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        映画『トップガン:マーヴェリック』と死んでしまった叔父のこと

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        • 八朔少年漂流記
          31本
        • 告知まとめ
          3本

        記事

          2022年の僕の話、そして御礼

          2022年の宮本は?1月 目眩で救急搬送、YouTubeチャンネル『ブロブレ』始動 眼前が暗くなるタイプの目眩は慣れてるんだけど、景色が回るタイプのやつは初めてだった。#7119に一旦電話した上で救急車呼べと言われたので呼んだ。耳石が外れただけだった。大事に至らなくてよかった。 一番つらかったのは救急搬送される車内でえぐい車酔いしてたことかもしれない。 また、2021年の夏頃から水面下で方々声をかけ撮影を開始していたYouTubeチャンネルブロブレ/Broken Umbre

          2022年の僕の話、そして御礼

          独身サラリーマン、ドラム式洗濯乾燥機と暮らす

          ブラックフライデーに勢いで買った(破格)だって今までに見たことがないくらい安かったんだもん。 これを逃したら今後この値段でドラム式洗濯乾燥機を買えることなんてないと思ったんだもん。 無計画衝動買いだったので人生初のクレジットカード分割払いを組みました。 間違ってリボ払いになってないか一万回指差し点検した。 そもそも買おうと思ったワケ 衝動買いと書いたけど、前々から欲しいなとは思ってた。 高い家電なので身の丈に合ってないんじゃないか、独身なのにたかだか一人分の洗濯もこなせな

          独身サラリーマン、ドラム式洗濯乾燥機と暮らす

          生活をするということ、あるいは食洗機とドラ洗を買ったという話

          仮住まいの感覚が抜けない。 僕は独居なのだが、誰かと同居の予定もなし、今この単身の生活が人生の大半を占め、ずっと続いていくのが現実的な予定だ。 しかし、どこかで「今の生活は別に長く続けるつもりはないし」という気持ちがあった。 家族が欲しい。有り体に言えばそういった願望がある。 その願望がどこか現実的な予定を遠くに押しやりたがっていたのだろうし、それはもしかしたら願望ですらなくて僕を支配している価値観だったのかもしれない。 いつかは家族を持つのだから、そうなるべき、そうな

          生活をするということ、あるいは食洗機とドラ洗を買ったという話

          されど、人生は続く【のたんぷ『夜の帳は、まだ。』観劇レビュー】

          糸の切れた凧のようだと思う。自分の人生についてを。 血縁も地縁も疎遠で、死に向かうには時間がありすぎて、その時間をやりすごすため仕方なく生活を営み、人生のこの先を共にする誰かもいない自分は、まさしく誰もが一瞬視界に入れてはすぐに忘れるそれだと思う。 のたんぷの『夜の帳は、まだ。』は、まさしくそういう人生を歩んできた男が主人公だった。 「晩年」という言葉からはじまる語りは、前述のようなどこにでもいる"主人公"になれなかった男――言ってしまえばモブキャラだ――について、それでも

          されど、人生は続く【のたんぷ『夜の帳は、まだ。』観劇レビュー】

          レディメイドの孤独、コールボーイの侘しさ

          どちらも今をときめくボカロPと歌い手によって有名な曲なので知ってる人は多いと思うけど、一応レディメイドとコールボーイというのはそれぞれ独立した楽曲だ。 レディメイドとコールボーイはそれぞれある文学作品の登場人物とよく似ているという話を先日友人としていて、なるほど慧眼と言われた。 その文学作品とは夏目漱石の『こころ』である。 レディメイドもコールボーイも孤独を歌った曲だ。 けれど何でもやるから二人でいよう、と歌うコールボーイに対し、金も愛情もクソくらえと歌うレディメイドはか

          レディメイドの孤独、コールボーイの侘しさ

          僕たちは思ったよりも人の話を聞いていない

          「リアリティって何? どういう意味で言ってる? 現実が一番面白いなら世界で一番面白い映像は監視カメラの記録映像だけど、本当にそう思う?」これは僕が学生の頃、ある映画監督に言われたことである。 8月の終わり、稽古していてその話を思い出していた。 「今みんな自分がこれ言ってやろうになってて誰も人の話聞いてないよ」 初回稽古のエチュード直後に言われたことである。 僕はこの秋、初めて客前で即興劇をやる。 基本的に芝居には脚本を与えられるものである。 次に相手が何を言うかが分かって

          僕たちは思ったよりも人の話を聞いていない

          お久しぶりです。今後ちゃんとコンテンツとしてよいものを作っていこうと思いまして、現在マガジンの形態から手を入れているところです。有料記事や有料マガジンは現状ないので読者のみなさまが何か損を被るということはないと思いますが、今後有料マガジンを持つ可能性を見据えて整理しております。

          お久しぶりです。今後ちゃんとコンテンツとしてよいものを作っていこうと思いまして、現在マガジンの形態から手を入れているところです。有料記事や有料マガジンは現状ないので読者のみなさまが何か損を被るということはないと思いますが、今後有料マガジンを持つ可能性を見据えて整理しております。

          ウクライナ、戦禍のトランスジェンダーについて

          このツイートに対して寄せられている引用やリプライで反応について思うところがあったので書いておきたい。 ※引用やリプ欄はナイーブな方や当事者の方はあんまり見ないほうがいいです。 引用やリプライの、特に「身体の性別は男性なのだから国に残って戦うのが当たり前だろう。自分だけ逃げようなんてずるいし、戦時下においてLGBTの権利なんて贅沢なことを言うな」という旨の主張について、本当か? と僕は思う。 トランスジェンダーの身体上の性別は本当に戸籍と同一なのか?これについては件のキーウの

          ウクライナ、戦禍のトランスジェンダーについて

          雨降りのこと、あるいは先生の年齢を追い越してしまったことについて

          そんなことにふと気づいた。 雨の日は好きじゃない。すべてのやる気がなくなる。 生存することで精いっぱいの気持ちになる。 そういう日のことを「許されている感じがするから」と好ましく捉える作家を二人ほど知っているけれど、僕は自分のことが嫌いで許されなくていいと思っているから雨の日はいつまでも好きになれない。単純に傘をさすのが面倒なのもある。 そうだ、僕は本質的に自分が嫌いだ。 自分の生まれ持った肉体が嫌いだし、自分の生い立ちが嫌いだし、自分の能力とその偏りが嫌いだし、自分の人

          雨降りのこと、あるいは先生の年齢を追い越してしまったことについて

          「異常者に人権は要らない」

          ある事件に寄せられたコメントである。 背筋が寒くなった。 前提として、この事件の犯人について一切の擁護を僕はしない。 この世界では手を変え品を変え、時代とともにそれぞれマイノリティ(本来の意味通りの少数派)を異常者と呼んできた歴史がある。だから、無差別殺傷事件を起こした人を異常者と呼ぶことに理屈の上で疑問はない。 それはそうと、僕は現在の自分が”異常者”でないのは偶然の産物だと思っている。 今のところ世間は僕の存在を許している。それでも自分のことを善良な人間だとは到底思

          「異常者に人権は要らない」

          定期的に昔の文章が気に入らなくなるので時間見て昔の記事に修正かけていきます。本旨自体を修正することは無いと思いますが、一応ご報告まで。

          定期的に昔の文章が気に入らなくなるので時間見て昔の記事に修正かけていきます。本旨自体を修正することは無いと思いますが、一応ご報告まで。

          ルックバックと僕が文学青年だった頃

          忘れられないことはだいたい十代の終わりに全部起きている。 ルックバックを読んで思い出した。 ルックバックはいい話だった。未来への希望がちゃんと残る、じわりとくる話だ。僕の感想はそれで、SNSで盛り上がったような「刺さり」はなかった。 友人がいた。十代の終わり頃の話だ。過去形なのは今はほとんど縁が切れてしまっているからであって別に亡くなったとかではない。 その頃の僕は野生の文芸部気取りだった。高校時代、文芸コンクールの学校代表になった経歴だけを後生大事に、現代文学を愛する学

          ルックバックと僕が文学青年だった頃