見出し画像

エジンバラにある魅惑のポーランド


ずっとやりたいと思っていて、そんなに難しいことじゃないけど、なぜか実現できてなかったこと。
ポーランド人の友人と一緒にポーランドグローサリーに行って、例えば「これはいったい何にどうやって使うの?」といった質問を思う存分させてもらうこと。
タイミングとか流れとかそういうことだったみたいで、先日ようやく実現できました。

5マイル圏内だった移動規制と他の家やB&Bなどでの宿泊規制がようやく解除され、ポーランド人の友人エリザが、「お祝いしよう!」とエジンバラから腰痛と猫アレルギーを押して、手作りのマスクを持って、車で片道3時間半程の、ここスコットランドの南西端まで訪ねてきてくれました。

エリザとはかれこれ10年以上の付き合い。出会ったのはエジンバラのカレッジの英語試験対策コースで、同じくポーリッシュのクラスメートのボジェナと3人で、それ以来お互いの近況を報告し合ったり悩みを話したりする心強い仲が続いています。

だいぶ前、多分各々が人生について悶々としていたような折に、ボジェナが、家にパジャマ持参で集合してパジャマに着替えて思う存分話そう、という企画を立ててくれました。友だちと家でパジャマで話すって素晴らしいアイデア。大人になって久しいけれど、時に理不尽だったり、思い通りにいかなかったりする日常にあがいてみたりして疲れてしまった時に、これを試してみるとその効果にびっくりします。
例えて言うなら、自分に課した厳しいトレーニングでつけっぱなしになっているウエイトを外して、自分の弱い部分を守るために身にまとってしまっているヨロイのようなものを脱いで、思いっきりノビをして、「で、最近どうなの?」と話し始める感じでしょうか。
パジャママジックでその夜はそれぞれが相当正直に、家族のこと、悩み、異国で生活するフラストレーションなどなどをさらけ出して語り、びっくりするくらいお互いがスッキリ楽になったので、それ以来、がっつり話したいね、というタイミングでパジャマ持参で集まってパジャマに着替えて話すというのが3人の特別恒例イベントなっています。

といってもボジェナに子どもが生まれ、私はエジンバラから離れたところで園芸の研修を受けたり、今は仕事でエジンバラを離れているので、なかなかパジャマパーティが開けていませんが。

ところで、3人で集まったとき私がほぼ毎回2人に熱く語っているのが、ポーリッシュグロサリーは素晴らしいという話し。2人は「改めてそういわれてみればそうなのかも。」みたいな反応です。それはそうでしょう。本国ポーランドにあるグロサリーはきっと比べ物にならない程の新鮮さと充実さに違いありません。
とはいえ私にとっては、エジンバラにあるポーリッシュグロサリーでも充分魅力的です。例えばハーブティー、ピクルス、ザワークラウト、蜂蜜などにしても、それぞれの種類が豊富なうえに値段もとても良心的。特に植物系や自然由来のものの品揃えの豊富さは、チェーンスーパーと比べると圧倒的です。
グロサリーはその国の食文化を反映している場所。ポーリッシュグロサリーは私にとってポーランドの食文化を体験する入り口です。

私のポーランドの食文化への興味の始まりはボジェナによるところが大です。
ボジェナの家に遊びに行くと、お母さんが摘みとって乾燥させたというセントジョンズワート(セイヨウオトギリ)などをおすそ分けしてくれ、効用と煎じ方を教えてくれたり、5〜6年前に初めてきのこ狩りに連れて行ってくれたのもボジェナでした。そのころは、エジンバラでも巷でまだフォレジングが浸透していないころで、ボジェナ曰く、きのこ狩りシーズンにエジンバラ周辺の森で出会うきのこハンターは、ほぼみんなポーランド人なのだとか。ポーランドの多くの家庭では古くからきのこ狩りは毎年の行事で、摘みたてを料理したり、乾燥させて保存してクリスマスの伝統的な料理に使ったりと、きのこを使った料理を楽しむそうです。

私たちがエジンバラの郊外で摘んだのはシャントレル茸。黄金に輝く、香りも食感もすばらしいきのこです。

画像1

ポーランドできのこ狩りに連れて行ってもらうというのも、まだ実現できてないやりたいことのひとつです。

今もなお食卓と自然との距離が近く、バリエーション豊かな植物を取り入れているポーランド。エジンバラにある、私の一押しのポーランドグロサリー Stodolaはポーランドの食文化を垣間見ることができる、私にとって魅力的な場所なのです。そして行くたびに、気になるものがたくさんあり、これはいったいどんな料理に使うのかな、このハーブティーの効能なんだろうなど、ポーランド語で書かれているパッケージのイラストから想像してみたり、店員さんに2、3質問してみたり。でも本当はしたい質問は2、3どころではなく、隣にずっとつきそって店内をくまなく回ってほしいと常々思っていました。

ところで、今回ボジェナは残念ながら、最南端のこの場所にエリザと一緒に来られなかったけれど、エリザと久々に近況を報告し合い、ご飯を食べながらいろいろな話しをたくさんして、私はエジンバラのStodolaというポーリッシュグロサリーがいかに素晴らしいか、エジンバラに帰ったら絶対に行かないと!と再び熱く語り、デザートにローカルの美味しいアイスクリーム’Cream o’ Galloway’のラグジュアリーバニラに前日つくったルバーブとブラックカラントのジャムをタップリかけて、ワインを飲みながらロックダウンの終わりを祝福しました。
翌日エリザがエジンバラに戻る時「忘れものないよね」と二人で確認したのにもかかわらず、キッチンのカウンターの上にはエリザの水筒が。あまりにも自然に置いてあったので二人ともすっかり見逃してしまったようです。
翌週にエジンバラに行く予定があったので、水筒を渡すついでにStodolaに一緒に行こう、とエリザを誘い、平日だったもののエリザもお休みで、お互のタイミングがうまく合い念願のポーリッシュグローサリーで思う存分エリザに質問できることになりました。

エリザ、ボジェナ、パジャマパーティー、Stodola。エジンバラにある私の魅惑のポーランド。

エリザと行くポーリッシュグローサリーの様子はまた改めて。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?