青木遼

展示について、制作について。諸々の記録として。                    …

青木遼

展示について、制作について。諸々の記録として。                               https://instagram.com/haruka_aoki__

最近の記事

青木遼2023年度活動まとめ。

青木遼2023年度活動まとめ。2023年度に企画・参加した9つの企画についてまとめました。富士山登山から始まり今は北京に滞在しています。展覧会・プロジェクト・トーク・記録集と、様々な方と関わった1年、伝えきれない感謝とともに。 パラレルモダンワークショップ 「これは富士山である登拝篇,遥拝篇」参加 富士山・絵葉書 (静岡・山梨、各所) 参加 活動日時:2023年7月1日―9月10日の随時 活動場所:富士山の登拝・遥拝が可能な各所 参加者: 青木遼、大平由香理、川合南菜

    • 構造と動くもの

       本テキストは2023年12月に金沢美大にて発表した作品と併置したものである。本展示において青木は屏風構造とビニールで表具したドローイングを絡ませ、数日置きの組み換えを行った。 「構造と動くもの」《ストラクチャー: 植物・霧》2023年12月4日―12月15日  金沢美術工芸大学アートコモンズA 「構造と動くもの」 〈ストラクチャー: 植物/霧〉 1.  本作のタイトルにあるストラクチャーとは構造体のことだが、それは例えば今わたし達がいる建築のようなものから、言語や政治

      • 「もののあはれは秋こそまされ」

         本稿は2023年11月25日、26日に金沢市立中村記念美術館 茶室 耕雲庵にて行われる企画「もののあはれは秋こそまされ」に際して筆者が記したステートメントである。筆者を含めた6名の日本画・工芸に携わる作家が参加する。  本企画は、美術の制度論的な問いたてを起点として、茶室でのプラクティス・座談会トークを行う試みである。80年代に端をなす美術の制度論という、一見時代遅れとも捉えられるフィルターを通すことで、自分たちの足元を再考する。  制度論をスタート地点として、その思考や近

        • 「展示力合宿inかなざわ」態度が形にならないとき、と誰かが書いた

           3つの会場で起こったことを今、全て書こうとするとギリギリで保っている自分の形を保てなくなってしまう。だから僕は4日目でnoteを更新することが出来なくなった。みんなも多分そうなんだと思う。みんな、お互いに大丈夫?って聞いたあとに、大丈夫じゃないよねって言い合って保ってた。だれも大丈夫じゃない、でも今この瞬間大丈夫、それを繋いで生きている。 だから芸術村にはみんなのたくさんの断片が貼られていて、転がっている。 標準語で、テキストで、作品で、どう示そうとしても違う形になってし

        青木遼2023年度活動まとめ。

          「展示力合宿 in かなざわ」〜てめえの作品は〜

          今日、僕は11月4日の箔一ビルでの「展示」である  日直テーマ:「てめえの作品は」 のレビュー的なものを書いてみようとしている。 しかし、まずは、昨日のnoteテキスト「 「展示力合宿 in かなざわ」僕たちは鑑賞者を想定しているか?この試みを公開する意味はどこに存在するのだろうか? 」についての応答と反省から始めたい。  僕は、この「展示力合宿inかなざわ」において、「展示力合宿」という構造へのアプローチなしには、自分たちの「展示」という営みに、文脈上・権利上アクセス出

          「展示力合宿 in かなざわ」〜てめえの作品は〜

          「展示力合宿 in かなざわ」僕たちは鑑賞者を想定しているか?この試みを公開する意味はどこに存在するのだろうか?

          僕たちは、何を・どう・誰に提示しているのか。はたして僕たちは展示たりうるのか、あるいは「展示」を打ち立てられうるのか。もし僕たちが自己言及にのみ行き着いてしまうのなら、この試みを公開している意味はどこにあるのか。  長い見出しをつけたが、つまりは僕たちは誰に向けてこの試みを公開しているかということである。もし僕たちが鑑賞者を想定出来ていないのであれば(僕は完全に自身と自作と会場の関係にのみ囚われて、外部を想定できていなかった)この試みを公開する意味はどこにあるのか。このテキ

          「展示力合宿 in かなざわ」僕たちは鑑賞者を想定しているか?この試みを公開する意味はどこに存在するのだろうか?

          「展示力合宿 in かなざわ」僕たちは、どう同質性から距離を取るか・あるいは取らないのか。

          2023 .11.2  0:08  思いがけずに芸術村PIT5で日付を越してしまった。illustratorを持っているメンバーで深夜までのエディトリアル作業。 合宿だなーという気持ち。こういうの好きなんですよ、ええ、という気持ち。昨日のノートは「レジデンシーは突然に」というタイトルをつけたわけだけどレジデンシー(住居/ホテル)にはまだ足を踏み入れられていない。 *****  昨日僕は1:00前に芸術村を後にして、ホテルに到着。その後切り出しをやっていたメンバーは2:00

          「展示力合宿 in かなざわ」僕たちは、どう同質性から距離を取るか・あるいは取らないのか。

          「展示力合宿inかなざわ」レジデンシーは突然に

           「展示力合宿inかなざわ」が始まった。昨日は搬入&顔合わせがあり、今日は公開プレゼンという個々の作家の個人紹介・作品論の共有のための場が設けられている。  "レジデンシーは突然に"という訳のわからないタイトルをつけたのは本当に文字通りのことで、今日から突然のホテル暮らしが始まることになったのである。「展示力合宿」とは全国から作家が金沢に集まり、持ち寄った作品をもとに場所を組み替える、展覧会が立ち上がるその力の作用と一連の流れを公開する試みである。その組み換え期間中、参加作

          「展示力合宿inかなざわ」レジデンシーは突然に

          「展示力合宿inかなざわ」はじまりはデスゲームの予感から

           今は2023年10月31日18:51。「展示力合宿 in かなざわ」が明日から始まります、今日は参加作家の搬入日と顔合わせです、というタイミングでこのテキストを書いている。主催には文化庁までついてきてしまっている全国から作家を集めた鳴り物入りの企画である。  今いる場所は金沢市民芸術村PIT5、倉庫なのか演劇舞台なのか、ホワイトキューブなのかストラクチャーなのかすべての中間であるような、ポテンシャルしかない!というような展示空間にいる。17:00までに参加作家がほとんど到着

          「展示力合宿inかなざわ」はじまりはデスゲームの予感から

          「回路と回廊」伊南瑠音 澤田和真

          本稿は、2023年10月14日〜20日にShare金沢にて開催された「回路と回廊」展での会場ステートメントである。 筆者は本展に企画・デザイン・テキストで参加している。 *  「回路と回廊」展は、絵画を主な領域とする、伊南瑠音と澤田和真、金沢美術工芸大学で学ぶ大学同期の二人の作家による展覧会である。  本展の会場が置かれているシェア金沢は、比較的小規模の街という形式を用いて、様々な施設が複合的に構成された社会福祉から出発した場である。福祉施設や児童施設、住宅が交差してお

          「回路と回廊」伊南瑠音 澤田和真

          2023年造形表現工房企画展考

          2023年造形表現工房企画展考  本稿は、現在企画している2023年度造形表現工房【現代美術・ミクストメディア】の企画展示の骨子について記述するものである。(上記写真 2022年度 企画展示「接続と分断」展 会場ステートメント) *  造形表現工房とは金沢美術工芸大学内の自由履修科目という、専攻を越えたゼミである。学生の自主性に合わせて機会や指導が発生し、染色・漆など工芸分野から、アートプロジェクトやミクストメディアなどがある。筆者が所属する現代美術・ミクストメディアでは

          2023年造形表現工房企画展考

          実験水墨と自身の制作について:2023

          本稿は、2023年6月、金沢美術工芸大学が留学協定を結んでいる清華大学美術学院の派遣留学志望に際して書かれたものである。(2024年2月中旬〜3月中旬留学予定) 中国における水墨表現のアヴァンギャルドである実験水墨に関しての研究計画、また自作との関わりを記述している。 本来公開するテクストでは無いなとも思いつつ、自身の思考と制作に関する痕跡として公開しようと思う。諸々ご愛嬌。 __________________ 志望理由書要旨  本稿は、清華大学美術学院 絵画科 国画コ

          実験水墨と自身の制作について:2023

          素材と「日本画」2022年の終わりに自作について考える。

           2022年の終わり、結構苦しい気持ちとすこしの決意を込めて書いたメモ。今はこのときよりすこしラディカルだかリベラルな立場にいるが、このときの気持ちもまた本当だったこと。というか僕の、こういう(極端な)振り幅を持って素材の権威からの解体なり、自身への引き寄せなりをしているのだろうと思う。  そして、この文章が2023年度の清華大学派遣留学(予定)までの一つの草稿となった思い入れを込めて、未加筆で残したい。 _____________________ 素材と「日本画」2022年

          素材と「日本画」2022年の終わりに自作について考える。

          接続のプラクティスについて

          本稿は、2022年11月に行われた「延岡アーティスト・イン・レジデンス2022」ドキュメント(2023年6月発行)に掲載した自作についてのテクストである。 ____________________ 接続のプラクティスについての散文  僕は今、延岡アーティスト・イン・レジデンスのドキュメントのための文章を書いているが、レジデンスから少し時間が経ってしまったため、ある程度回想録のような形の文章となる。ちなみに今いる場所は金沢。温暖で日照率の高い宮崎県とは気候の差が天と地ほどの

          接続のプラクティスについて