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30, 逃~急ぎたい人へ~

ちょっとうまくいかなくたっていい。
人生振り返った時覚えてるのはだいたいハプニングだ。

かの有名なチャールズチャップリンの言葉を借りる。

Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in lnong-shot.(人生は悲劇のようにみえるけれど、長い目で見れば喜劇だ。)
charlie chaplin

チャップリンらしい言葉だな、と思いつつ。
あの時あんなに悩んだことも、今笑い話にして話せるほど幸せなことはないだろう。

留学をしていたのだが、その時覚えてることも、やっぱりハプニングだ。

私は何もしていないのに?

フランスに留学していたので、もちろん平日は学校に通い、週末は旅に出かけるという生活を繰り返した。

東京ではミッチミチのスケジュールを組んでいたが、こちらでは通用しなかった。

普通の感覚で、金曜日の夜に南仏からスペインの友達の家へ、そして日曜日の夜にフランスへ帰国し月曜から学校に通う予定だった。
まぁ、普通に考えてもちょっとチャレンジングな旅だった。
...
私が訪れたのはスペインの南Malagaという場所。アフリカ大陸まで船で40分と言うような地理だ。夏だったから昼間は遊べない暑さ。おかげでナイトライフが充実している。
...
楽しい時間を過ごしたが、ある一通のメールで現実に戻される。というか絶望か。
「あなたのフライトはキャンセルされました」
...?
私は何もしてないのに?
そう、これはヨーロッパで珍しくないストライキが原因でした。今回はコロナ禍の労働環境に声を上げたスペインのCAさん達によるボイコット。
「えぇ学校始まるのに帰れないの?やばいどうしのう」
サイトでは別の便に無料で返れると表示されるがまさかの4 days later。そしてまさかの残りonly 2 seats。パニックパニック。
友達が「四日間うちに泊まっていいから、それ予約しちゃいな!」と言ってくれ便を変更しました。

嫌な予感

【数日後】
結局もうその時点で完全に航空会社信用していなかった私。テレビをつけると自分の理解できないスペイン語でニュースが流れる。
テレビの凄いところが、その流れる絵からなんとなく意味がわかってしまうところだ。
そして空港のトピックとなり嫌な予感がした。
英語で「航空会社 日付 ストライキ」で調べると...。

なんと98%の確率でまた大規模なストライキが予想されているとのこと。
「終わった...私帰れない、フランスに帰れない」
(日本人だけど初めてフランスをhomeのように感じた瞬間。笑)

空港会社に連絡しても「私達も当日何が起こるかわからない。でも離陸5分前には連絡します」とのこと。

「離陸5分前?笑笑」思わず笑ってしまった。
でももう時間がない。私はフランスに帰りたい。
そう思い空路を諦め陸路に挑む事にした。
これはちょっとした賭けなのである。

・もし運航したら
陸路のチケット代が飛ぶ
・もし運航しなかったら(予想が的中すれば)
航空券代を返すように請求できる
ただし24時間以上バスに耐えなければならない

ヨーロッパの友達には飛行機さすがに大丈夫だよと言われながらも、自分の謎の勘がagreeしなかった。バスを選んだ。
これが私のバスとの出会い。

バス旅も悪くない

結局バスに乗れたのだが、スペインといっても私はスペインの南端にいたため、スペインを縦断しなければならなかった。

でも飛行機では見られなかった人々の地に足のついた生活を眺めることができた。鳥の目と虫の目とあるが、まさに虫の目で観察していた。
バス旅も悪くないもんだ。

そして何より嬉しかった事に、飛行機の離陸時間後に「あなたのフライトはキャンセルされました」と通知が...。
「やった!私は賭け事に勝ったのだ!」
もう価値観が麻痺しまくっている。

これが私のスペインでの出来事だ。

正直、他の話もしたかったが、これだけでも随分長かったのでここまでとしよう。

こーんなはなしをすると「社会人になったら、ちゃんと高い飛行機乗りなね」と言われる。
学生貧乏旅行はハプニングがつきものだが、ハプニングほど記憶に焼きつき、そこから得る新しい価値観は他にないと思う。

「空路がなければ、陸路があるじゃない」
気の遠くなるような道のりも、旅人には捨てがたい想い出だ。


そういえば旅をしてるのだから、何をショートカットしようとしていたのだろう。
飛ばして見逃した風景の中に、もしかしたら宝物のような場所があったかもしれないのに。

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