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第十幕:冬の本公演12 ミュージカル研究会の頃-汗と涙の青春ストーリー-

”あの日俺は何を取りたかったのか!?”
間(はざま)の世界で葛藤する主人公が叫ぶのである。

ここで謎の男も登場して、いよいよクライマックスに向かう。
主人公と謎の男の見せ場から、彼女も加わる。

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主人公のソロ
”小さなフレームの中に切り通った風景”(切り通った風景)
”光がにじむように、優しく語りかけている”
”つかまえて伝えたい 形もない何か”
”はじめてであったのに 懐かしい風景”

謎の男のソロ
”良く耳を澄ませてきくんだ”
”どこからきて どこへいくのか、 答えがあるその中にある”

彼女の女医も登場し呼びかけるように歌う

”かえってきてほしい”
”たとえ私のそばに”
”いてくれなくてもいい”

最後は3人の三重唱である。

”誰かがおれを(おまえを)(あなた)をよんでいる、(まっている)…”

最後は25人くらいが舞台に上がって集団のダンス、さらにフィナーレの曲へと続いていく…ちなみに、主人公は屋上にのぼって、渡り鳥を取ろうとしていた(と記憶している)。

最後は全員で重要な言葉をさけぶ。

シグナル…"光""闇"”葛藤”兆候”…そして…”希望”(残念ながら肝心のところを覚えてえていないので、自分なりにあてています)

最後にみんなで叫ぶ。
”シグナル…2億4千回の鼓動のもとに!”

これは”シグナル”とは鼓動のことをさしており、どんな生き物で、鼓動の数は同じという説があり、それを採用している。
つまり、ネズミも、猫も、象も、人間も、寿命という時間の長さは違えど、鼓動の数は一緒という考え方である※。

最後は女医のもとで、主人公がめざめ、感動の再会をはたす。
照明、音響ともにフェイドアウト。
最後は全員が舞台に出て、カーテンコールで挨拶をする。美也子さんが何とも言えない表情で、深々と頭を下げてあいさつした横顔が印象深かった。

今こうして書き起こしても、とても壮絶で濃密な期間だった。
そして、これは僕から見た本公演の顛末にすぎない。
おそらく、参加した40人、全員がそれぞれ、ものすごく濃い経験をしていることだろう。

※参考:どんな動物でも一生の心拍数8億回」の謎
「その後、心拍時間(心臓が打つ間隔)や寿命も、体重に対して同じように変化すると言われるようになった。つまり、どの哺乳類でも、寿命を心拍時間で割れば、同じ値になるということだ。
その値は(文献によって違うが)だいたい8億である。ネズミのように小さな動物は、心臓が速く打つ。一方、ゾウのように大きな動物は、心臓がゆっくり打つ。しかし、ネズミでもゾウでも、一生のあいだに心臓が打つ回数は、同じ8億回だと言うのである。」

この考えかたに異論などもあるようですが、冬公演の作品では採用しており、科学的な見地はともかく、感動的なメッセージになっていたと思っています。

つづく…(続きを見たい方は、ハルカナル屋根裏部屋へ!)

第一幕:未知なる舞台へ!
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/第一幕:未知なる舞台へ!

第二幕:衝撃! 初役はみんなが大嫌いなあれ!?
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act2

第三幕:最初の公演
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act3

第四幕:夏の発表会
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act4

第五幕:脚本会議、夏の陣
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act5

第六幕:夏休みも大変!? 音響スタッフで出陣!
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act6

第七幕:夏合宿
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act7

第八幕:猫たちが大騒ぎ!?
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act8

第九幕:試練の秋
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act9

第十幕:冬の本公演
https://rekishi-tanbo.com/musical-story/act10

登場人物

-新人-
僕:元帰宅部。歌、ダンス、芝居、3拍子そろわない珍しい新人。しかも、入部したのが2年生の時だったため、振り返るとかなり浮いた存在だった。
岩尾…親友。2浪しているフリーターながら、ミュージカル研究会に入る。
鉄郎:某都内に通う高校時代、伝説となった男。野性的で、繊細で、躍動的で、とても頭がよく、次元の違う存在感を放っていた。どこを行くのも裸足で歩いていた。
冴子…高校時代は声楽をやっており、作曲ができた。才能にあふれており、同期で最初に頭角を現した存在だった。彼女の作る曲は作品にしっかり寄り添いながらも、さらに作品を高めるような、素晴らしい曲が多かった。のちにNHKのみんなの歌に曲を提供した。
優有:歌と芝居が大好きで他の女子大学からミュー研に通っている。穏やかで性格が良く、みんなから好かれており、脚本家の坂上さん、美也子さんらに気に入られ、たびたび彼らの作品に主役で出演することになる。
芽衣…大阪出身でのりやよく、ダンスが好きだった。若くして亡くなってしまい、この作品を書くきっかけになった存在の1人。

-中人(2年目)-
美也子さん:容姿は少しボーイッシュで、性格は物静かで控えめ。宮沢賢治を愛しており、彼女が生み出す脚本は、独特で素晴らしい世界観だった。
江夏さん:新人の時はぺけをつけられていた僕や岩尾とかなり距離があり、あまり話す機会はなかった。坂上さんとおなじ愛知出身で、師匠と弟子のような間柄だった。普段はちゃらんぽらん、三枚目だが、ミュー研への思い入れが人一倍強く、男子では歌、ダンス、芝居が一番うまかった。とても個性があり、 後に百萬男 – フジテレビに出演した。
時子さん: 歌・ダンス・芝居、すべてのレベルがトップクラスの先輩だが、怒ると鬼より怖く、男子全員に恐れられていた。
松田さん:初対面の時に「俺、次の舞台で主役とっちゃうよ!」と言ってのけた自信家。実際は繊細で神経質な一面もある。一方でできの悪い後輩を気にかけ、面倒見の良い一面もあった。
夕実さん:松田さんの彼女。小柄でかわいらしく、親切な先輩。


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