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猫とSNSと私

 私には一ヵ月前からの習慣がひとつある。朝、目覚めたらSNSをチェックすることだ。といっても、つぶやき系や写真系ではなく、猫系SNS。
 実はうちの猫が迷子になっている。病院に連れていき、猫を車から降ろした直後に逃げてしまった。捕獲用ネットに入っていたはずなのに? 私は路上で呆然とした。
 翌朝、気を取り直して「飼い主がすぐやるべきこと」をネットで調べた。地道にチラシをまく。ポスターを張る。SNSの活用。
 ほう、なるほど、と思ったのは迷子ペット捜索用のサイト。今さらだが、時代だなぁと思った。
 私が子どものころ、祖父母宅の犬・ジョンが行方不明になった。でも大人たちが捜索活動した記憶はない。たぶん保健所には連絡したと思う。結局ジョンは見つからなかった。昭和の時代。
 私は四つのSNSに登録した。情報コメントが寄せられていないか、毎日チェックする。朝昼晩と、スマホを開ければまず確認。
 登録してから三週間。コメントは皆無だった。「そんなもん?」 がっかりした。
 SNSは拡散力がすごくて、多くの人の目に触れる。そのうえお金がかからない。
 しかし私は考える。偶然うちの猫を見かけた人たち、彼(彼女)らはこの投稿を見ているだろうかと。肝心な人たちにピンポイントで伝えるならチラシ作戦に軍配が上がる。
 SNSに期待しすぎていた。なんとなく、チェックするのを二日ほど怠った。
 ある日曜日、サイト管理会社からメールが入った。あと一週間であなたの掲載が終了します、延長するなら更新ボタンを押してください、と。あぁ、もうすぐ1ヵ月たっちゃうのか!と思いながら、ついでに書き込みをチェックした。
 すると何と、目撃情報が一件、書き込まれていた。親切にも二つのサイトに同じコメントを。私は完全に油断していた。
 その投稿によると、朝方○○で似た猫を見ました、とあった。目撃日のお昼にコメントしてくださっていた。
 すでに二日たっている。今から直行してもダメだろう。泣きそうになりながら自転車を漕いだ。
 そこに猫は居なかった。そりゃそうだろう。私は本当に馬鹿だ。愛する猫を野に放ってしまったうえ、貴重なコメントをタイムリーに拾えず、誰もいない駐車場で泣いている。
 もしあの日、ちゃんとコメントを読んで出かけていたら? その猫はまだ周辺をうろついていたかもしれない。駐車場の陰で昼寝していたかもしれない。もしかしたら会えたかも? 
 やろうと決めたことを二日さぼって、猫との再会が一気に遠のいた気がした。
 どんな習慣も積み重ねたら、その先には何らかの変化があると思う。私の場合は、猫に再会できる確率が上がるかもしれない。
 望む未来のためには、やはり毎日やると決めたことをやるしかない。今日も明日も、コメントを探すのだ。愛猫に会える日まで。

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