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アバター

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2009年のアメリカ映画。公開当時「3D上映がすごい」と大きく話題になった SFアドベンチャー作品です。監督は『ターミネーター』、『タイタニック』のジェームズ・キャメロン。

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3D映画を普及させた作品

映画業界における『アバター』の一番の功績といえば、それまではあまり一般的でなく、どちらかというと “色物” 的で “特殊なもの” という位置づけだった「3D上映を世の中に定着させたことではないでしょうか。

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今でこそ、大きなシネコンへ足を運べば何かしらの作品が 3D上映されていますが、アバター以前の映画は「2D」がほとんどだったような気がします。

従来の上映方法を指す「2D」という呼び方自体も、それ以外の新しい形式が増えてきて、区別するために生まれたようなものですものね。

現在の映画館(特に大型シネコン)では、「2D」「3D」をはじめ、「IMAX」から「4D」まで、最新システムを導入した多種多様なスクリーンが用意されていて、ひとつの作品を観るにしても「どの上映システムで観るか?」に頭を悩ませる―― という新たな楽しみが加わっています。

【マメ知識】映画館の上映システムいろいろ
2D
従来の映写方式。
3D
映像が立体的に飛び出して見える映写システム。3Dメガネをかけて鑑賞する。各方式(Real D/Dolby 3D/XpanD 3D/IMAX 3D/MasterImage 3D 等)によってメガネの形状や見え方が違う。
IMAX
迫力ある音響、大きなスクリーンサイズ、精細な映像による映写システム。作品の世界への没入感が魅力。現在は「IMAXデジタルシアター」「IMAXレーザー」「IMAXレーザー/GTテクノロジー」の3種類がある。
4D
映画の内容に合わせて座席が動いたり、風、水しぶき、香り……等の演出効果が加わった “体感型”・“アトラクション型” の映写システム。「MX4D」「4DX」「ScreenX」「4DX Screen」などがある。

その他、リアルな音の良さに特化した(三次元で音が動く!)サラウンド音響システム「Dolby Atomos」が導入されている劇場もあります。

ちなみに「映画.com」で検索してみると、3D上映対応のスクリーンを持つ映画館は、東京都内だけで 49館ありました!

▽ 映画.com 映画館検索
(上記リンク先から各都道府県のページへ。スマホでご覧の方は「PC表示」にすると条件検索が可能になります)

都道府県別に検索することができるので、興味のある方はこちらでチェックしてみてくださいね♩

「分身」にワクワク♩

本作を鑑賞前のわたしは、あえて事前に情報を見ないようにしていたので、「モーキャプ* CG の、青色の肌をした人たちがいっぱい出てくる映画」程度のイメージしかありませんでした。

*モーキャプ: モーションキャプチャ

予告編はこちら。

いますね。「青色の肌をした人たち」。笑

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鼻柱の感じが、なんとなくネコ科の動物っぽい。ライオンとか、トラとか。

ちゃんと人間も出てきます。

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SF といえば、この方。シガニー・ウィーバー!
(でも、本作では怖いエイリアンは出てこないよ♩笑)

・・・

主人公は、元海兵隊員のジェイク(サム・ワーシントン)。
傷痍軍人で、下半身不随のため車椅子で生活しています。

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元々の姿。

この彼が、ある任務を帯びて、地球から遥か彼方の衛星パンドラへ赴きます。パンドラには “ナヴィ” という先住民たちがいます。

ジェイクは、任務のために用意されたナヴィとしての体(アバター:分身)に意識をリンクさせ、その肉体を操って現地に溶け込むのが役目なのです。

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後ろでプカプカしているのが、憑依先の肉体。

ええっと、『NARUTO』(ナルト)に例えるならば山中いのの「心転身の術」ですね。

いの 「忍法、心転身の術っ!」
ポォォォォーーーン!!(音)

あ、余計にわかりにくかったですか? 失礼いたしました。笑

・・・

ともかく、“自分以外の肉体になれる” って、すごく夢のある話ではないでしょうか。「究極のVR」とも言えますよね。

VRといえば、スピルバーグの『レディ・プレイヤー1』(2018年)も、主人公が自分のアバター(分身)になって大活躍するお話でした。

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SF映画というくくりで考えると、シュワちゃん主演の 『トータル・リコール』(1990年)(後に2012年にリメイク)では、“旅行の記憶を売る” サービス―― というアイディアが画期的で印象に残っています。

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どれも共通するのは “分身として活動している最中は、本体は抜けがら(または操作中/睡眠中)になるので、自分では移動できない” ということ。

◯ ナヴィの肉体で活動中のジェイク(人間)本体
◯ VRの世界で活動中の『レディ・プレイヤー1』の少年本体
◯ 脳内イメージの中で活動中のシュワちゃん本体
◯ 心転身の術で相手に憑依中の「いの」本体(笑)

ただ、これらの作品と本作『アバター』には大きな違いがあります。

『レディ・プレイヤー1』や『トータル・リコール』で描かれる活動中の「体」や「世界」は現実ではない仮想上のものであるのに対して、本作『アバター』では「肉体」も「世界」も、実在する “リアルなもの” という設定。

生身の肉体を操り、宇宙の他の星で、その星の生き物として実際に生活する――。

しかも、本作の主人公ジェイクは、下半身不随のために車椅子で生活している青年です。彼がナヴィとしての肉体を得て、自分自身の脚で自由に動くことが出来るシーンでは、観ていてグッときてしまいました。

パンドラでの生活にワクワク♩

本作の舞台となる星、パンドラ。
(架空の星。実在する土星の第17衛星パンドラとは別物)

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この星がね~、とっても美しくて素敵なのです♡
雄大な自然! 幻想的!

当然、先住民ナヴィをはじめ、ここに住んでいる生き物たちも、地球では見たことのない動物や植物ばかり! ワクワク♩

この美しいパンドラの描写は、ジェームズ・キャメロン監督がこだわって CG を頑張ったらしいので(キャメロンが頑張った訳じゃないけれど…笑)、ぜひぜひ見どころのひとつとして本編で楽しんでいただきたいなぁ。

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アメリカ・フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールド(WDW)にあるパークの1つ「ディズニー・アニマル・キングダム」には、パンドラを再現した「パンドラ - ザ・ワールド・オブ・アバター」というエリアがあるそうです!

こちらは、エリア内のアトラクションの1つ「アバター・フライト・オブ・パッセージ」。キューラインと乗車前の説明の様子。

何それ! めっちゃ楽しそう乗ってみたいっ!!♡

WDW は、何十年も前に新婚旅行で行ったことがあるのですが、その頃(1991年)にはこんなの無かった~。悲

もう一度フロリダに行かなくては!笑

ナヴィの思想に興味津々♩

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もう一度、わたしの感想ツイートより。

プリミティブでスピリチュアルなナヴィに興味津々。
馬のような動物や翼竜に乗るときには「絆を結ぶ」など、本当の乗馬と同じだなぁ…と思った。まさに人馬一体。

パンドラで暮らす先住民ナヴィの生き方は、とてもプリミティブ(原始的、素朴)でスピリチュアル。

「生命」や「死」の捉え方、信仰など、ハワイのマナ信仰ネイティブ・アメリカンの考え方に通ずるものがあるなぁ、と思いました。日本の「八百万の神」の考え方とも、どこか共通する部分がありそう。

わたし個人としては、ナヴィの考え方って「いいなぁ」と惹かれました。“波長が合う” 感じ。

ところが、ニューヨーク・タイムズ紙の保守派のコラムニストからは

「映画は、神と世界が同一という汎神論的な考えに共鳴するキャメロン監督の長い弁明」

などと、否定的な評価を受けていたようです。

また、カトリック教会の一部からは汎神論の思想が広まることへの懸念の声もあったとか。

キリスト教などの一神教とは相容れない「自然の中に神が宿る」というナヴィの信仰は、保守的なキリスト教信者の立場から見ると、そんな風に見えてしまうのですね。

ほんとに世界にはいろんな考え方の人がいるのだなぁ……。
映画を通して学べることって、沢山ありますね。

余談になりますが、「地動説」や「進化論」についてもカトリック教会は長い間否定する立場をとっていたのだそうですね。わたしがそれを初めて知った時には、かなりびっくりしました!

(キリスト教に限らず)アメリカ社会においても、2010年の調査で「進化論を信じている」と答えたアメリカ人は 40%で、それ以外の 44~47%の人たちは旧約聖書の『創世記』に基づいた「創造論」を支持しているのだとか。

ケンタッキー州には「創造博物館」(Creation Museum)という立派な博物館まであるんですよ! 以前テレビで紹介されていて、これまたびっくりしました。こちらの公式動画を見ると、ちゃんとアダムとイヴが!

おわりに。

最近の映写システム事情から、宗教と科学の関係まで、あっちへこっちへ……と話題が脱線しました(笑)が、本作『アバター』。

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スケールの大きなアクション/アドベンチャー作品として楽しむも良し、モーキャプや CG の技術に感嘆するも良し。
わたしのように、“アバター” という SF の設定そのものに注目したり、ナヴィの文化に関心を向ける良し。

娯楽映画としてのクオリティが高い作品ですので、機会があればぜひご覧になって楽しんでみてくださいね♩


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