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2020年に観た映画

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彼女たちの話を聞くー日本公開予定のおすすめ洋画

今年または来年以降日本で公開されるおすすめの映画を紹介します。(1本だけ公開未定)昨年イギリスに留学していた時に観ました。どれも観て良かったと思うものばかり。

1.『フェアウェル』(監督:ルル・ワン 主演:オークワフィナ)本当ならもう公開されているはずでしたが、延期となってしまいました。主人公は中国からアメリカへと移住した家族の2世。いとこの結婚式のため両親と中国の親戚の元へ行きますが、結婚式と

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ただしく怖がるなんてできるのだろうか 映画『CURED キュアード』

ただしく怖がるなんてできるのだろうか 映画『CURED キュアード』

 パンデミックを扱った映画『CURED キュアード』を観ました。

 感染するとゾンビのごとく人間を追い求め食らいつく病、「メイズ病」が大流行。その波はアイルランドにもやってきた。「感染者」のうち72%は治療が功を成し社会復帰できるようになるが、自分がゾンビのようになっていた間の記憶は消すことができない。彼らは人を殺した(襲った)トラウマに苦しむなか社会復帰を始めるも、元「感染者」への不安は社会を

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美しく滑稽な映画『EMMA』(日本公開未定)

美しく滑稽な映画『EMMA』(日本公開未定)

ジェーン・オースティンが原作の映画『EMMA』を観ると言う至福の時間を過ごしてきた。英語は実はあんまり聞き取れなかったのだが、大体分かった……気がする。そして字幕がないというのは困るが、『EMMA』のように映像が綺麗な映画を観ている時には、ひたすら映像に集中できるので良い。

美しく、才気煥発で、裕福なエマ(演:アニヤ・テーラージョイ)。ガヴァネス(ざっくりいうと家庭教師)と結婚相手の間を取り持っ

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ジェンダーから観る『ドラキュラ』

ジェンダーから観る『ドラキュラ』

今大学でホラー・ゴシック映画の授業を取っています。今週のテーマはヴァンパイア。
私の一番のヴァンパイア映画はスウェーデンのホラー『僕のエリ 200歳の少女』だ。冬の暗澹たる景色に血と陰湿な雰囲気が映えます。

今回はコッポラ監督の『ドラキュラ』(Bram Stoker's Dracula)を観ました。妻を失った哀しみからヴァンパイアとなってしまったドラキュラ伯爵と人間の攻防です。

男性の妄想では

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半地下の窓から『パラサイト 半地下の家族』(ネタバレなし)

半地下の窓から『パラサイト 半地下の家族』(ネタバレなし)

「半地下」の窓から、電柱がぼんやり見える。天井からは汚れた靴下が下がっている。もちろんクリスマスではない、乾かすためだ。

あらすじ 「半地下」に暮らす4人家族。ギヴと姉のギジョンは、wifiが繋がらないかと家の中をうろうろしている。目の部分が黒線で隠された意味深なポスターと『寄生虫』というSFスリラーのようなタイトルから緊迫した映画を想像していたので、家族の軽妙なやり取りに肩の力が抜ける。そもそ

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