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#エッセイ

自分への信頼 水木しげる『ほんまにオレはアホやろか』

自分への信頼 水木しげる『ほんまにオレはアホやろか』

 学校に行きたくない、課題が嫌、テストが嫌。夏休みが今日で終わりだと思うと暴れたい。
 仕事に行きたくない。こんなにいい天気なのに、海に行く電車に乗っていない*。
 ずっとこんなことばかりを考えている。じゃあなんで、学校に行くのをやめて映画館にこもらないのか。海に行く電車に乗り換えないのか。「責任が」「将来が」なんていうのは言い訳で、電車を降りる勇気がないだけだ。本当は誰も人に強制なんてできないし

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穂村弘『図書館の外は嵐』

穂村弘『図書館の外は嵐』

タイトルがとてもいいなと思う。穂村弘のエッセイが好きでよく読む。『世界音痴』とか『鳥肌が』とか。『図書館の外は嵐』は読書日記だ。小説、歌集、マンガ、写真集、なんでもある。一つひとつはわりと短いのだが、ことばを尽くされた紹介文より想像をかき立てられて読みたくなる。歌人だからなのかなあ。短いのに、短いからこそ、そこに全部詰まっていてとてもきれいな読書日記だ。山田詠美のエッセイもそうだったけれど、ことば

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山田詠美『吉祥寺ドリーミン』と食事

山田詠美の小説は『賢者の愛』を読んだことがある。『痴人の愛』の翻案で、『賢者の愛』のナオミは男性、譲二にあたるのが女性だ。さらには復讐譚でもある。言葉と言葉から溢れる官能性にどきどきしながら読んだ。読んだ人はだいたいそうだと思う。

山田詠美のエッセイ、『吉祥寺ドリーミン』はざっくばらんで笑えて、『賢者の愛』を書いたのはこの人なんだと不思議なような、なるほどというような。津村記久子はジェーン・オー

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