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学校における組織開発の研究④ーインタビューから見えた共通点⑴ー

昨年から書いていた、学校における組織開発の研究の記事。先生たちへのインタビューを掲載しますと書いていたのに、ずっとnoteの記事にできていませんでした。

それには理由があります。

インタビューが楽しい!!!!!!!!!!!
楽しくて楽しくてはまってしまい、時間を作っては、ずっとインタビューをしていたからです。

現在、公立、私立の先生方のべ32人の先生方にご協力いただき、教職員間でどのように関係性を作っていたり、学校の文化を作っていったりしているのか経験に基づきお話いただきました。ご協力していただいた先生方ありがとうございました。(インタビューはこれからもまだまだ続きます。)

公立の先生方へのインタビューに関しては、弊社かたりすとのHPに順次まとめています。ご興味あるという方はこちらのインタビューまとめからリンク先に移動して読んでみてください。

明日から使える学校組織開発TIPs集

今回の記事では、これまでインタビューさせていただいた先生方に共通する学校組織の中での関係性づくり、学校づくりに関してのマインドセットや具体的行動について、明日から使えるTIPs(ちょっとしたコツ)として、まとめていこうと思います。組織開発と言ってもシステムを変えるような大きなものではなく、システムはそのままで、自分の小さな変容からよりよい関係性づくりにつながることがあります。そんなコツを今回は4つ紹介します!明日から使ってみてくださいね!

自分から声をかける

職員室で声をかける様子

これは、管理職、ミドルリーダー、若手、どの立場でも大切にされていた行動の1つです。普段から、職員室に戻ってきたら、自分から声をかけてクラスで何があったのかなどのコミュニケーションをとる。他愛もない話をする。そうすることで、何かあった時にお互いにすぐに助けてを言える関係性を育んでおくことができます。コミュニケーションは質よりもまずは量。

また、立場によって、周りの先生に自分から声をかけるという行動の意味合いが異なる場合もありました。

若手の先生(特に初任者)は、経験年数が浅い分、授業の進め方で困ったり、年間の見通しが持ちづらかったりします。そこで、自分から色々な先生に声をかけ、話を聞いて、自分の中の引き出しに様々な技術や考え方を溜めていくのです。その引き出しから、取り出すかどうかは、目の前の子どもたちに合っているか、自分のパーソナリティーに合っているかなど自分の判断次第。先生たちも教えることのプロ。聞かれて悪い思いはしません。

インタビューをした限りでは、傾向として、自分から聞けない若手の先生が意外と増えているのではないかということも話題に上がってきました。しかし、若手の先生のパーソナリティに原因を帰結するのではなく、若手から声をかけやすい環境を作ろうとしている先生方もいました。その場合、若手より少し上の30代の先生達が、率先してベテランの先生達に自分から声をかけることで、若手の先生にいい影響を与えているようです。その姿を見て、若手の先生が真似をすることが多いことも分かってきました。

一方、中堅の先生たちが、自分から声をかけるのは、相手のことを理解し、共に仕事をすすめるためという意味合いが大きかったです。教職員間で、よりよい関係性を築こうと取り組んでいる中堅の先生方に見られた特徴として、自分が苦手な人にほど自分から話しかけるということが挙げられます。経験を重ねてきて、自分のやり方が身についてきたのは、自分も相手も同じ。自分が正しいと思っていることは、相手にとっては正しくないことかもしれない。だからこそ、自分から苦手な人に話しかけることは、その自分の正義と相手の正義の両面を理解し、自分の中にある「〜すべき」「〜ねばならない」を手放すプロセスへの入り口なのです。その先には、お互いに響き合う共通項を探っていくというプロセスにつながっていきます。ある先生は、全体を動かす立場になってきたからこそ、自分にはない視点をもらえる事前の壁打ちが大切になってくるという言葉で表現されていました。

愚痴を乗りこなす

愚痴を乗りこなすイメージ

自分から声をかけ、他愛もない話をしていると、ついついお互いに組織への愚痴が漏れてくることがあります。愚痴が出るのは、健全なことですが、それが蔓延する文化になってしまうと、重い空気が流れる不健全な職員室になります。この点を打破するために先生方が実践していることを紹介します。それは、愚痴を乗りこなすこと。これには2つのアプローチがあります。

1つ目が、愚痴や陰口に絶対に乗らないというアプローチ。愚痴や陰口が出始めたらそそくさと退散する。自分は絶対に言わないぞというもの。

2つ目が、愚痴に乗るけど、自分の一言でさっとその場の話題を切り替えるというアプローチ。話しているメンバーが少しの愚痴を出した上で、最後は、よい話題につなげたり、気持ちよく切り上げたりと愚痴の主導権を自分が握ること。

この2つを通して、職員室に愚痴が蔓延しないようにすることが大切です。

相手のよいところを見つける

他の先生のよいところを見つける

上記の行動になれた先生になると、他の先生方のよいところを見つけて、周りに伝えるというアプローチにも取り組みます。愚痴や、陰口を減らすというアプローチから、いいところを見つけて気持ちのよい空気感を増やすというアプローチへの進化です。

例えば、ポットのお湯を入れ替えてくれる先生を見つけたら、それを他の先生に伝える。子どもに対して、素敵な関わり方をしている先生がいたら、それを若手の先生に伝える。自分が気づいていないだけで、学校の仕事は誰かがやってくれているからこそ、潤滑に回っています。誰かがやってくれていることに気づき、やってもらって当たり前の気持ちを減らし、感謝の気持ちを素直に伝えられるような職場環境を整えるアプローチがこの方法です。

先生たちをリスペクトする

周囲の先生をリスペクト

これは、日々、自分から声をかけ、よいところを見つけた先に行き着くマインドセットかもしれません。
若手の先生が話してくださったことを紹介します。その先生は、これまで、大学や大学院で自分が学んできたことに自信をもっていましたが、うまくいかない日々が続き、その指導が目の前の子どもたちに合うかどうかは別物だということに気づきます。

これまでは、周囲の先生たちの指導を、自分が学んできたこととは違うと決めつけて見ていましたが、目の前の子どもたちに向き合い、必死に試行錯誤しながら取り組んでこられた証なのだということに気づきます。自分の時間を削って取り組んでこられた先生方へのリスペクトが生まれたときに、やっと自分のやり方に固執することなく、目の前の子どもたちに合わせたやり方にシフトチェンジできるようになったそうです。

別の中堅の先生の話です。教員数が、予定されていた人数に足りなかったり、途中で辞める人が出たりして、その学校は疲弊していました。その先生も、代わりにクラスに入って、なんとか運営していました。そういう時は自分に余裕がなく、周りの人にも辛く当たる部分もありました。そんなときにふっと気づきます。どんな先生でも、その人なりに一生懸命子どもに向き合っている。だから、いてくれるだけでありがたい。人がいないという現状は、現場の困り感が加速度的に高めていく。その存在に感謝し、リスペクトしなければと。それからは、周囲の先生達への関わり方に変化が生まれ、学校全体にもよい変化が生じてきました。

このように、自分のマインドセットが周りの先生を心からリスペクトするに変わったときに、自分の行動も相手をさらに理解したいというものに変わるのかもしれません。関係性をよりよくして、学校づくりに取り組んでいく上では、相手を変えることよりも、自分から変わることが大切になってきそうです。

まとめ

書けば書くだけ、これはクラスでやっていることだなと感じました。クラスと職員室はつながっている、学びの同型性があると言いますが、こうやってインタビューをしても改めて分かってきたところです。

今後も先生方へのインタビューは続きます。そして、noteではインタビューから見えてきたTIPsを定期的に、まとめていこうと思います。今回も読んでいただきありがとうございました。

ご興味ある方はこちらからリンク先に移動できます。
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