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芥川賞、直木賞受賞作

こんばんは。

本日は文学界での注目のイベントである芥川賞、直木賞発表の日です。
芥川龍之介賞・直木三十五賞は、菊池寛が1935年に制定した文学賞で、今回で165回目を迎えます。

芥川賞は雑誌(同人雑誌を含む)に発表された新進作家による純文学の中・短編作品、直木賞は新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)のなかから、最も優秀な作品にそれぞれ贈られる。

今年は10年ぶりにそれぞれダブル受賞とのことで、芥川賞に石沢麻依さんの『貝に続く場所にて』と李琴峰さんの『彼岸花が咲く島』。
直木賞は、佐藤究さんの『テスカトリポカ』と澤田瞳子さん『星落ちて、なお』が受賞しました。

貝に続く場所にて(石沢麻依)

ドイツ在住の石沢さんは『貝に続く場所にて』で第64回群像新人文学賞を受賞したデビューしたて、新進気鋭の作家さんなのだとか。

概要
コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。 
ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人を隔てる距離と時間を言葉で埋めてゆく、現実と記憶の肖像画。

彼岸花が咲く島(李琴峰)

李さんは台湾出身で翻訳家・通訳者としても活躍中。
日本語で発表した作品をご自身で中国語に翻訳し、中華圏でも出版していらっしゃるようです。

概要
彼岸花が咲き乱れる島に暮らす少女・游娜(ヨナ)はある日、砂浜に一人の少女が倒れているのを発見した。記憶を失っていた少女は、游娜によって宇実(ウミ)と名付けられる。
慣れない島の言葉〈ニホン語〉に戸惑う宇実。しかしほどなくして、歴史の伝承のために女性だけが話す言葉〈女語(じょご)〉が、自分の母語〈ひのもとことば〉にかなり近いことに気がつく。
やがて宇実は、游娜と二人で、島の指導者で歴史の担い手でもある〈ノロ〉を目指すことになる。一方、游娜の友人の拓慈(タツ)は、男性でありながら密かに〈女語〉を習得しており、〈ノロ〉になれる日を夢見ているのだった。
そして宇実は、この島の深い歴史に導かれていく――。

テスカトリポカ(佐藤究)

直木賞初ノミネートの佐藤さんは同作で5月には山本周五郎賞も受賞しており、17年ぶりのダブル受賞作品である『テスカトリポカ』には更なる注目が集まりそうです。

概要
メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロ・カサソラは、対立組織との抗争の果てにメキシコから逃走し、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会った。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう。川崎に生まれ育った天涯孤独の少年・土方コシモはバルミロと出会い、その才能を見出され、知らぬ間に彼らの犯罪に巻きこまれていく――。海を越えて交錯する運命の背後に、滅亡した王国〈アステカ〉の恐るべき神の影がちらつく。人間は暴力から逃れられるのか。心臓密売人の恐怖がやってくる。誰も見たことのない、圧倒的な悪夢と祝祭が、幕を開ける。

星落ちて、なお(澤田瞳子)

一方で、昨年は奇しくも受賞とならなかったものの、今年はめでたく受賞が決まった澤田さん。
今回の直木賞ノミネートの中では最多の5回目での受賞だけに喜びもひとしおか?もしくはようやくという思いなのか?ご本人の今後のインタビュー記事を拝見するのが今から楽しみです。
Amazonのサイトでは、早くも【第165回直木賞受賞作】の文字が入った紹介に変更されており、出版社も満を持しての受賞に張り切る様子がうかがえます。

概要
鬼才・河鍋暁斎を父に持った娘・暁翠の数奇な人生とは――。
父の影に翻弄され、激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。
不世出の絵師、河鍋暁斎が死んだ。残された娘のとよ(暁翠)に対し、腹違いの兄・周三郎は事あるごとに難癖をつけてくる。早くから養子に出されたことを逆恨みしているのかもしれない。
暁斎の死によって、これまで河鍋家の中で辛うじて保たれていた均衡が崩れた。兄はもとより、弟の記六は根無し草のような生活にどっぷりつかり頼りなく、妹のきくは病弱で長くは生きられそうもない。
河鍋一門の行末はとよの双肩にかかっっているのだった――。


選考委員

芥川賞は、小川洋子・奥泉光・川上弘美・島田雅彦・平野啓一郎・堀江敏幸・松浦寿輝・山田詠美・吉田修。
直木賞は、浅田次郎・伊集院静・角田光代・北方謙三・桐野夏生・髙村薫・林真理子・三浦しをん・宮部みゆき。

こうして見ると学生時代に読んでいた本の著者がズラリと並んでいます。
既に歴史ある文学賞の審査をする側になっていることに、時の流れを感じた今回の受賞ニュースでした。


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