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愛のみが絶望を救う
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2019年12月の記事一覧

あんぱん-CLANNAD-

「渡したいものがあるの。」そう言われたとき、それが何であるのかなど無論彼は想像すること能…

はる
4年前
5

愛するもの‐ドストエフスキー

 芥川龍之介は死の際に聖書を傍におき絶息したといいます。聖書は希望の書、天啓の書であり、…

はる
4年前
7

回想‐神について‐

 神について思いをはせるようになったのは中学の終わりの頃であったろうか。たぶんそのあたり…

はる
4年前
6

泉鏡花論Ⅲ『夜叉ヶ池』

 中上健二が鏡花との精神的血統を覚え忸怩たることなく高らかにその血脈の紐帯を謳ったように…

はる
4年前
9

ソーニャ論について

 私は一連のソーニャ論を通して主に愛について感じてもらおう時と企図していた。しかし今、筆…

はる
4年前
2

『罪と罰』ソーニャ-Ⅲ-

 告白は終わった。全てを聞き終えたソーニャは大地に接吻し罪を認め、苦しみをその身に引き受…

はる
4年前
1

『罪と罰』-ソーニャ-Ⅱ

ソーニャは目の前のラスコーリニコフが老婆とリザヴェータを殺した人物だと悟る。そして彼女の前にいるその男こそが、今まさに世界で一番不幸な状態にあると確信する。  「もういつからか経験したことのない感情が、彼の胸へ波のようにどっと押し寄せて、みるみる彼の心をやわらげた。彼はもうそれに逆らおうとしなかった。涙の玉が二つ彼の両眼からこぼれ出て、まつげにかかった。」 ………………   「ふん、なに、物を盗るためさ!もうよしてくれ、ソーニャ?」  「知らない……ぼくはまだ腹が決まって

『罪と罰』-ソーニャ-

  『……リザヴェータ!ソーニャ!ふたりともつつましい目をした、つつましいかわいそうな女…

はる
4年前
1

咆哮-竜宮レナの悲劇-

レナ「悟史くんは転校してきたばかりの私にまで相談したよ。でも、私も何もできなかった。。仲…

はる
4年前
3

『カラマーゾフの兄弟』論-ガリラヤのカナ

 「何のために大地を抱きしめたのか、彼にはよくわからなかったし、なぜこんなに抑えきれぬほ…

はる
4年前
9

邂逅

「きみにこれを贈ろう。」出し抜けにその男は言った。  突然目の前に出現したその男の唐突な…

はる
4年前
4

屍鬼Ⅱ

 小野不由美『屍鬼』 は、人間を吸血し絶命させ生き延び続ける異能者-屍鬼(しき)をめぐる物語…

はる
4年前
2

新海誠-「喪失」から「気付き」へ-

新海誠作品はこれまで「喪失」をテーマとしていた。お互いを大切な存在として思いながら、その…

はる
4年前
8

『魔法少女まどか☆マギカ』-さやかと杏子にみる愛-

 「ねえ、杏子。私、幸せだったとは言えないかもしれないけれど…、でもね、決して不幸な人生だったなんて今は思ってないんだ。」  「誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにはいられない。」さやかは二の句を継ぎ、悲哀の香気を放ちながら話す。  「私は魔法少女の酷薄な宿命を感じたの。あんな、魂のない抜け殻のような身体になってしまい、大切な人に好きって気持ちも伝えられなかったり…この世界は本当に大きな代償を払ってまで守る意味があるのかって一人疑念に駆られたり、そんなことで。もうほとほ