咆哮-竜宮レナの悲劇-

レナ「悟史くんは転校してきたばかりの私にまで相談したよ。でも、私も何もできなかった。。仲間に助けてもらえなかった悟史くんは救われるためには叔母を殺すしかなかったの…」
「本当に辛い人はね、必死なんだよ。悟史くんは自分でも死にものぐるいで頑張っていた。なのに悟史くんの周りには四人も仲間がいたのに誰一人彼を救うことが出来なかった…」
「わかる!!??これが<仲間>の体たらくなの!!仲間なんてただのお友達。味方になってくれる存在なんかじゃない!昔からそうだったよ!引っ越しさきでもそうだった!
だから私は最初から一人で頑張ったの!どうせ誰も助けてなんてくれないもの!!無責任に同情されても気が滅いるだけ!まだ部活でもやってた方がマシってものだよ!実際、みんなといる学校での時間は楽しかったもの!あの女とのトラブルを忘れられたもの!!悟史くんも学校では遊んでいればよかったんだよ!少しだけでも心の負担が軽くなったかもしれないもの。
……どうせ叔母を殴り殺すしか、救われる術はなかったのだし! …」
「あは…わたしも悟史くんと同じ…あいつらを殺す以外に救いはなかったもの…」
「…あはは、わかった!?本当に辛いときは仲間なんて無力なんだよ!!わたしはそれをとっくの昔にしっていたから、最初から一人でやりとげてみせた!!」
「ねえ、すごいでしょ!?そんな顔しないで私を褒めてよ!褒めろって言ってるでしょ!?あーっはっはっは!
あはははは、あははははははは!!」

 突然、レナの瞳からは、今までこらえていたのであろう、大粒の涙が、ぽつっとひとつ溢れおちる。落涙する雫はそのまま止め処もなき慟哭となった。その涙には、レナが今までの人生で背負ってきた悲しみ、苦しさ、孤独、…そして絶望が表れていた。

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