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空前絶後のフェルメール展・28作が集結!アムステルダム
日本で特に好まれる画家の一人、フェルメール。
私も機会を見つけては、彼の絵を見に出かけていた。
ドレスデン国立古典絵画館の『窓辺で手紙を読む女』は、1979年のX線調査で、壁に天使の絵が描かれていた事が判明していた。
2017年。
天使は、フェルメールとは別の人物によって塗りつぶされた事が新たに判明し、2018年から修復が始まった。
2021年8月、修復終了。
2021年9月から12月まで同美術館で展示されたが、私はその時期にドレスデンを訪れることができなかった。
2022年初め、この絵は日本に渡った。
日本でも大きな話題となり、多くの人が美術館を訪れたと聞く。
その頃、2023年にアムステルダム国立美術館Rijksmuseum Amsterdamで、過去最大規模のフェルメール展が開かれるとのニュースを目にした。
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noteで知り合ったAkio van der Meerさんのお陰で、チケット販売開始直後に無事入手。
*****
Akioさんは既にアムステルダムから日本へご帰国されましたが、オランダでの生活の様子を書かれている記事はこちらです。
Akioさん、本当にありがとうございました!
フェルメールは、レンブラントと並ぶオランダ黄金期を代表する画家の一人だ。
その作品の少なさも有名で、真贋が曖昧なものも含め37点。
今回の展示会は、そのうち28点を集めたもので、過去にも、そして今後も同じ規模の展示会は開かれる事はないと言われている。
展示会の期間は2月10日から6月4日までだが、マウリッツハイス美術館所蔵の真珠の耳飾りの少女は、3月末までの展示。
そのため、28作品を見るには2か月間しかない。
開催前に20万枚ものチケットが販売され、その記録は同館初記録。
ニュースによると、展示会開始3日間までに45万枚が売れ、一時期はサイトがパンクしたとか、、、
現在、開催期間中の全てのチケットは売り切れ、入手不可能だそうだ。
日本からも、この展覧会がメインのツアーが組まれているという。
しかし、フェルメール好きなかたでも、まだコロナの影響がゼロではない中で、この展覧会に来ることは、簡単な事ではないと思う。
また、展覧会訪問を決め、会場の様子が気になっているかたも大勢いらっしゃると思う。
私は普段、思い出話ばかりを書き綴っているのだが、お節介な私は少しでも皆様のお役に立てればと思い、比較的新鮮な話題を記事として残すことにした。
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特別展入口は青い表示(左側)
いざ、美術館へ。
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展示室は全10部屋。
入り口の展示より。
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記事を書く際、絵の掲載順番についてあれこれ考えたが、やはり美術館が見て欲しいと思う順番が最適だと思うので、そのまま記載する。
( )は私の備忘録。
1 小路
アムステルダム国立美術館(初)
フェルメールの風景画は、たった2点。
こちらは小さな作品とは思えないほど、奥行きが感じられた。
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2 デルフト眺望
マウリッツハイス美術館(2)
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ここからは、4枚の大きな作品が並ぶ。
3 ディアナとニンフたち
マウリッツハイス美術館(初)
フェルメール初期の作品は、他の画家と同じく宗教画。
98cm×105cmの大きな作品だ。
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4 聖プラクセディス
国立西洋美術館東京(初)
2015年に、この作品を寄託された国立西洋美術館は、以来常時展示している。
真贋が問われる作品の一つでもあり、また唯一の模写作品だそうだ。
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5 マルタとマリアの家のキリスト
スコットランド国立美術館(初)
![](https://assets.st-note.com/img/1676917386506-nelkOCWDXB.jpg?width=800)
6 取り持ち女
ドレスデン国立古典絵画館(2)
放蕩息子をテーマにした宗教画。
光が反射してしまっているが、左側からこちらに視線を送る男性は、フェルメール自身とも言われている。
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ここからは、フェルメールらしさが出てくる作品。
7 窓辺で手紙を読む女
ドレスデン国立古典絵画館(初)
この作品は、一点だけで別部屋に飾られていた。
そして、この部屋の壁だけは、濃い緑色。
特別感があった。
非常口マークが反射して映り込んでしまって残念だが、ようやく見たかった絵に出会えた。
開け放たれた窓ガラスには、女性の顔が三面鏡のように映っている。
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会場は多くの訪問者で賑わっているが、時間によって人数を規制しているためか、ごった返す事はない。
以前、日本で開催されたフェルメール展に足を運んだものの、背の小さい私は作品がほとんど視界に入らなかった。
その上、ベルトコンベアのように、人に押されて前に進んでしまう。
気になる絵をもう一度見に行こうとしたら、反対方向には動かないようにと注意され、恥ずかしい思いをしたこともある。
ここでは、そんな事は起きない。
みなさん、作品をじっくり見て次の作品へ移動する余裕がある。
また見たい絵は、何度でも見ることができる。
絵の前で、じっくりと模写をしている方もいらっしゃった。
8 牛乳を注ぐ女
アムステルダム国立美術館(2)
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9 リュートを調弦する女
メトロポリタン美術館(2)
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10 士官と笑う娘
フリックコレクション(初)
表情のあまり無い絵が多い中、こちらの少女は温かい笑みを浮かべている。
好きな作品の一つになった。
作品を購入したヘンリー・フリック氏も、この作品をとても気に入っていたそうだ。
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11手紙を書く婦人と召使い
アイルランド国立美術館より(2)
私のnoteのプロフィール画像は、この作品だ。
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12 ヴァージナルの前に座る若い女
ライデンコレクション(初)
個人蔵のため、見る事は難しいと思っていたので感激だ。
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13 レースを編む女
ルーブル美術館(4)
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14 真珠の耳飾りの女
マウリッツハイス美術館(3)
この作品の持つ魅力は凄まじい。
この絵の前は、人だかりができていた。
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こちらは、対になって飾られていた作品。
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15 フルートを持つ女
ナショナルギャラリー・ワシントン(初)
こちらの作品は真贋が問われているものの一つだが、こちらも作品の一つという判断なのだろう。
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16 赤い帽子の女
ナショナルギャラリー・ワシントン(初)
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世界中から集まったフェルメールファンは、まるで解説員や評論家のように、作品について意見を交換していた。
作品は、手を伸ばせば届きそうなほど近くに展示されており、フェルメールは小さな絵が多いので、近くで見る事ができるのはとてもありがたい。
こちらも、対で飾られていたもの。
同じ部屋で描かれたのだろうか。
ヴァージナルの上の絵が酷似している。
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17 ヴァージナルの前に座る若い女性
ナショナル・ギャラリー・ロンドン(2)
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18ヴァージナルの前に立つ女
ナショナル・ギャラリー・ロンドン(2)
壁の大きなキューピッドの絵は、ドレスデンの手紙を読む女と同じだろう。
フェルメールは、このように実際に部屋にあったものを実写している物が多いそうだ。
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19 恋文
アムステルダム国立美術館(2)
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20 青衣の女
アムステルダム国立美術館(3)
この作品が、一番好きだ。
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21 手紙を書く女
ナショナル・ギャラリー ワシントン(2)
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22 婦人と召使
フリック コレクション(1)
この黄色のマントも、複数の作品で使われている。
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23 紳士とワインを飲む女
ベルリン国立絵画館(2)
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24 中断された音楽の稽古
フリックコレクション(初)
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25 地理学者
シュテーデル美術館(3)
ルーブルの天文学者と共に、男性をモデルとした作品の一つ。
当時流行していた日本の半纏を着ているためか、親近感がある。
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26 真珠の首飾りの女
ベルリン国立美術館(2)
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27 信仰の寓意
メトロポリタン美術館(2)
光の反射で、この角度しか綺麗な写真が残せなかった。
天井からぶら下がるガラスの球体には、部屋の反射が事細かに描かれており、思わず吸い込まれそうになる。
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28 天秤を持つ女
ナショナルギャラリー・ワシントン(初)
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フェルメールブルーと呼ばれる青。
左側には窓。
窓から漏れる光。
大きく描かれたカーテンやカーペット。
壁の世界地図。
楽器。
そして、全作品のうち約半分の16作品に、真珠が使われている。
耳飾りやネックレスとして、その輝きや大きさが丁寧に描かれているもの。
机の上に、ただの点のように小さく描かれたものもある。
しかし、それは確実に真珠だと分かるのだ。
こちらをじっと見ている作品に出会うと、心の中まで見られているような、落ち着かない気分になる。
そして、別の場所に視線がある作品は、その視線を追いかけてしまう。
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さて、今回の展示会に出品されなかった作品は9つ。
そのうち、すでに見た事のある作品は以下6つ。
1 天文学者
ルーブル美術館
2 二人の紳士と女
アントン・ウルリッヒ公爵美術館
3 絵画芸術
ウィーン美術史美術館
4 水差しを持つ女
5 眠る女
6 少女の頭部
メトロポリタン美術館
37作品制覇など、到底無理だと思っていけれど、気付けば残り3作品。
1 合奏
ボストン イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館蔵
こちらは盗難中のため、見る事は叶わないだろう。
2 音楽の稽古
バッキンガム宮殿コレクション
3 ギターを弾く女
ケンウッドハウス ロンドン
さぁ、ここまで分かれば、次の旅行先は決定した。
もちろん、ロンドンだ!
*****
フェルメール展見学後は、常設展も見学可能。
写真が多すぎてしまうので、美しい図書館のみ掲載する。
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おまけ
お土産について。
アムステルダム国立美術館のエコバッグ。
黒文字バージョンを見た事があったのだが、こちらは青文字(フェルメールブルーを意識したもの?)。
これを持っていたら、これはどこで買えるの?と何人かに聞かれた。
私の大好きなPlaymobil。
他にはゴッホ、レンブラントシリーズがあったが、迷わずこちらを選んだ。
これを手にしてレジに並んでいたら、それはどこにあったのかと年配の男性に聞かれた。
そしてお茶目に笑いながら、孫へのプレゼントではなく自分が欲しいんだ、とコッソリ言うので思わず笑ってしまった。
それから、37枚セットのポストカード。
フェルメール展の最後に小さなショップがあるのだが、そちらの支払はカードのみ可能なので持参要。
美術館1階には小さめな、そして美術館の隣には大きなミュージアムショップがある。
あれから私は、このエコバッグにお弁当を入れて出勤している。
エコバッグを見ると、絵の特定の部分にフォーカスを当てたイメージが、何個も私の頭の中に浮かんでくる。
天秤を持つ手
踏みつけられた地球儀
鳥の羽のペンを持つ手
乾いて固くなったようなパン
刺繍をする小さな両手
親指と人差し指の間に光る金貨
黒と白の床
カールした髪の毛
丁寧に描き込まれたカーペット
青い模様のタイル
滴り落ちる血を受け止める杯
私はそれらのイメージを反芻しながら、エコバッグを肩にかけ家を出る。
フェルメールブルーのその色は、朝から私を嬉しくさせるのだ。
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