雨後 晴太郎

雨後晴太郎(アメノチハレタロウ)です。 感想やコメント、ウェルカムです。 Twitte…

雨後 晴太郎

雨後晴太郎(アメノチハレタロウ)です。 感想やコメント、ウェルカムです。 Twitter:@amenochi_poetry

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最近の記事

定理

届かないのなら 空も天井も同じだと 君は見上げた 少しだけ寒い春だった 闇と夜の違いを 伝えそびれたばかりに 僕たちはいつしか 何もかもが白黒であれば良い と願っている 耳にまとわりついた風の 煩わしさったら ここは草原で無くて 屋上でも無くって 真白な病室だっていうのに 望まずとも動く心臓が いつか その日が来れば 皆一様に 望んでも動いてくれなくなるの定理 燃えるほど紅い紅い頬 透けそうな瞼に銀河は流れる 届かないと知って 伸ばした手の先で 青と一緒に きっと君は朗ら

    • せっかく

      ねぇ,いいの せっかく来てくれたのに せっかくの制服にせっかくの友達 せっかくうまれてきたのだからと せっかく生きるのか 誰もかれも勿体ないような気がしているのだ 時間が,私が消費した酸素が,すり減った消しゴムが 通り過ぎていくだけのもの達の前で 真夜中の救急車のように 救って救われて でも,僕は眠ったままでいい 少しばかりのライターの火でぼぅわと 焦げあがる父の煙草が揺れていた ほんの僅か肺の細かな細胞達に取り込まれ また殆どが霞になって漏れていく 鼻に残った分だけは,き

      • にゃー

        通り雨の残した湿度が 泣き疲れた朝に似てて 誰にも言えない小さな夢を 唇にだけ灯した まだ言葉にならないままで だから君の手と繋ぎたい 私のままで,君のままで 僕らはどこまで語り合わずに 今を生き抜けるのだろう 深海魚のようにひっそりと 朽ちていけるなら 愛の骨格だけを遺してくれるのに すり減った皮膚に染み込んだ いつかの君の夜が ずっと私だけのものになる 転がり落ちる旋律に 身勝手な祈りを乗せて 私はただ にゃー,と鳴く 狡いねって私が知っている 冷たい指先を合わせ

        • 翔ける

          高く飛ぶときめたから. 無酸素旅行は青の向こう いつの間にか蹴飛ばした昨日が 悲鳴をあげてる,知るもんか 未練のいらない未来なんてないから ごめんね,なんて言えない 長い滑走路で失ったいくつもの自分に 無自覚に緩む頬 不本意な誤解に流される午後 偽らないで踏み出せるほど甘くはないけど こんな顔してる自分が嫌いで 息切れするまで呪う 散々で残念で それなのに 一瞬だけ光るから捨てられない 私の日常 全部なんて 叶えることも抱えることもできそうになくて こぼしつづけて今があ

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        • ぺトリコールと詩の虹
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          ポメラ日記#008 趣味の本分

          趣味ってなんでしょうね これは自他共に認めるところだが、私は、俗に言うところの“多趣味”な人間であると思う。詩作、執筆、写真、文具収集、漫画、読書、etcと、節操も無くあれやこれやと手をつけて、どれもこれといった成果や収穫もない中途半端な状態ではあるのだが、自信の興味関心にはなるべく正直であろうとしているつもりだ。 一方で無趣味な人、或いは無趣味を自称する人というのもいる。私の対極だ。それ自体の善し悪しを言うつもりはない。だが、人間全体を俯瞰的に見たときに、私のような(或

          ポメラ日記#008 趣味の本分

          ポメラ日記 #007 師走は時すらも走る

          忙しさが師走めいて来ましたね 久々にポメラを開いてゆっくりと向き合うことが出来ている。 ここ二週間ほどは引っ越しの準備やら後片付けに追われてまともに物を考えられる状態では無かった。 引っ越し直後の自宅は未だカオスを極めているものの、移ってしまえば特に期限が決められているわけでもないし、ゆっくりと生活リズムの再建に取り組みたい。 寒くなりましたね 11月に入って、私の住んでいる地域ではぐっと気温が下がってきた。 日の出ているうちはそれでもかなり暖かく感じるが、朝晩はツン

          ポメラ日記 #007 師走は時すらも走る

          今期一番の寒さです.の今期が占める間, 一息で飛び越えられずに凍ったままの言葉を抱えて また生きなくてはならない. 絶体絶命から三歩手前の,生きるにも 死ぬのにもちょうどいいくらいの絶望を罰にして 時間に許されようとしていてごめんなさい. 耐えられる痛みだけを選んで耐え忍んでいるふりをしてごめんなさい. 強くも脆くもなく,ただ手前勝手なだけで強かに見せかけているので,本当のところ鈍感なのは悴んだせいで,あれからずっと変わっていません. 想うだけのハッピーエンドが訪れても,こ

          ポメラ日記 #006デジタルとアナログの狭間を揺蕩うポメラ

          近況 ポメラ生活を始めて、早二週間以上が経過した。 ほぼ毎日、ポメラを開いては何かしらを書いている。習慣というにはまだ意識的なところがあるけれど、日常に馴染んできているのは確かだと思う。 つい最近、長らく書きたいと思っていた小説を、拙いながらも書き始めた。まだまだ人に見せられる状態になるにはほど遠い代物だけれど、長い目でみてゆっくりと書き上げていきたいと思っている。 ポメラ日記、読んでくれてありがとう 以前に書いた生活の中でのポメラの定義づけに関する記事が、二週間で20

          ポメラ日記 #006デジタルとアナログの狭間を揺蕩うポメラ

          もしも15年前,17歳の自分にポメラを贈るなら

          こんにちは.この文章がみえているということは,無事に届いたようですね. 改めてこんにちは.私は15年後,つまり32歳のあなたです. 急にそんなことをいわれても,そもそも目の前のコレが何かもわからないあなたは混乱してしまうでしょうが,大丈夫です.まあ夢でも見ていると思って私の話を,正確に言えば,私のお願いを聞いて(読んで)ください. まず,あなたの目の前にある端末は,ポメラといいます.キングジムという会社が作っている,携帯できるワープロのようなものです.小学生の時に,伯母に借

          もしも15年前,17歳の自分にポメラを贈るなら

          ジャックオランタンを見ると急に年の瀬を感じる

          ポメラ日記 その4 気がつけば10月も終わりに近づいている。 ここ数年で一気に日本での市民権を得た顔のついたカボチャたちが、街を賑わす時期がやってきたようだ。何度調べても覚えられないハロウィンの歴史的背景を改めて調べてみる。どうやら、ハロウィンの大元になったのは古代の収穫祭らしく、その翌日に当たる11月1日が新年の始まりと考えられていたそうだ。ごく有り体に言ってしまえば、日本でいうところの大晦日みたいなものか。なるほど確かに、11月に入ると途端に年末という感覚がしてくるが、

          ジャックオランタンを見ると急に年の瀬を感じる

          ポメラ日記 #003 ポメラは書く行為を研ぎ澄ませるための筆記具である

          ポメラ日記 その3 本日“も”晴天なり。 毎日,まさに、秋晴れといった天気で朝を迎えるのは気持ちがいい。 一昨日は息子の看病で一日看護休暇を取った。 息子が昼寝をしているわずかな休息時間にもロスタイムなく執筆に集中させてくれるポメラの存在は、やはり良いものだと改めて思う。 人生経験のごく短い幼児にとって、多分、世界のいろいろなことが新しい。 もっとミクロには、毎年毎月毎週登場する新しいおもちゃやYoutubeの新作動画など,まるで次々に現れるアトラクションのように現れる様

          ポメラ日記 #003 ポメラは書く行為を研ぎ澄ませるための筆記具である

          ポメラ日記 #002 ポメラって持ち歩けるの?という脳内会議への回答

          2023/10/23 ポメラ日記 その2 ポメラが届いて24時間以上が経過した。 未だ興奮冷めやらぬ私は今日も意味も無くポメラをパカパカしたり いろいろな機能を試したりしていた。 とはいえ、平日は当然仕事もあるため そうそうポメラばかりを構ってやるわけにもいかない。 隙間時間にさっと取り出せるように どこにでも携帯してやる必要があるのだが、 私の買ったポメラDM250はこれまでのポメラ機種のなかでも 最重量級の重さ(620g)を誇る 購入前、この620gはかなり私を悩ませた

          ポメラ日記 #002 ポメラって持ち歩けるの?という脳内会議への回答

          ポメラ日記 始めます #001

          2023/10/22 ポメラ日記 その1 12月に32回目の誕生日を迎えるということで 少し早いが自分自身へのプレゼントとしてこのポメラを買う。 pomeraはそもそも2年ほど前から興味を持ち始めていたデバイス。 旧機種は時代遅れな感じが否めなかったが、 昨年夏に6年ぶりの最新機種となるDM250が発売され、 現代に合わせたテキスト入力特化型マシンとしての立ち位置を (完璧ではないにしてもある程度は)確立したように思う。 が、正直なところ『ノートPCでいいじゃん』と100

          ポメラ日記 始めます #001

          寝しなは戯れ

          街頭が静かになりすぎた時間 吐息だけが循環するのは 健康的とは言えない 涙を流すことだけが 悲しみの手段ではないはずだから 拳で、突き上げて笑いながら 喧嘩しよう 空があんまり青くって 一体私は何色だったかしら 鏡を見ても夢は映らない かえって些細なことで 自分を見失うことになるのですから 期待は甘い毒です こんな具合で十代の自分に言い聞かせてやりたい 言葉たちが増えていくのです 「私は大丈夫だから」 何度も口にした言葉に絡め取られてしまって

          寝しなは戯れ

          祝祭

          さあ鐘が鳴る。花が咲く。 君がために世界は今朝も生まれいづる。 街には聖歌が満ちる。 月と星と太陽が共に光る。 思わず君は歌い出す。 誰も覚えていない君だけの歌が流れ出す。 君は足跡をつける。少しだけ土が舞って それからまた風が運んでいく。 止まない喝采に君は少しだけ手を上げて 向かい風を選んで拳を握る 次第に街は遠ざかり、耳には何一つ届かなくなる 瞼の裏でこだまする君だけの歌を頼りに進む 目を瞑り、歯を食いしばり、拳を一層固くする 視えずともそんな

          伝えたい言葉もきっと全てじゃなくて いつか僕が灰になる時、煙になって 少しなら時を超えられるだろう 届くかもわからない手紙を書くように 確かに光る脳内の細い電流が なんにも形容されないままで ずっと産声をあげたままでいる 捧ぐものなんてなんにも残ってないな この世界では誰もが独り占めをしたがるから 捧ぐものなんてなんにも残ってないな いつか、誰か 見えない君の未来に嫉妬している僕がいるから 素直な自分と手を振り別れたのはいつだっただろうか やけに温