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ベートーヴェンを毎日聴く112(2020年4月21日)

『ベートーヴェン/六重奏曲 変ホ長調 op.81b』を聴いた。

弦楽四重奏と2本のホルンによる六重奏曲であるが、作品を聴くと何やら時代を遡ってしまったような印象を受ける。

それは同じころ出版されたピアノ・ソナタ「告別」のような、これまでの作品とはかなり違って「取っつきにくい」という印象(わたし個人的な印象)がなく、ベートーヴェンが初期に手掛けていたような、とても安心できるもの。

それもそのはず、作られたのはボン時代からウィーンにやってくるあたりの頃のもの。それがかなり後で出版されたことになる。

この作品の作品番号は「81b」。「b」という文字が付けられている。同じ作品番号で複数の作品が存在する場合はこれまでもある。例えば、「作品番号1」のピアノ三重奏曲は3曲あるのだが、番号は「1-1」「1-2」「1-3」というようになっていて、1つのセットにして出版されている。

では、81bに対する「a」が何かというと「告別」なのである。6重奏曲とピアノ・ソナタ。まったくジャンルが違うのでセットにはならないし、作曲された時代が異なる。

ベートーヴェンはこのふたつの作品の出版を別々の出版社へ依頼したのだが、誤って双方の出版社とも「81」という作品番号を与えてしまったのである。なので後からアルファベットを付けて分類したという。

作品は柔らかい音色だが、時折難しいパッセージが現れるホルン。たまには、このような初期の作品に耳を傾けてみるのも良いものだとおもった。

fabrixxによるPixabayからの画像

(記:2020年12月17日)

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