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ベートーヴェンを毎日聴く29(2020年1月29日)

『ベートーヴェン/ホルン・ソナタ ヘ長調 op.17』を聴いた。

ベートーヴェンはホルンが好きだったという。

当時のホルンはナチュラル・ホルンといって、現代のホルンとは異なる構造を持つ。現代のものはピストン(指で押すボタンのようなもの)も使って音階の変更を行うが、当時のものはそれがなく、口元の変化とベル(音が出るアサガオの部分)に手を入れて変える。

そのため、激しい音の変化はなかなか大変な作業になるのだが、この作品では相当激しく、そして早い音程変化をさせている。

このホルン奏者泣かせ作品の初演は、プント(本名はヤン・ヴァーツラフ・シュティヒ)という名ホルン奏者とベートーヴェン自身のピアノ演奏で行われた。モーツァルトはこのプントのために、協奏交響曲K.297bを作曲した。当時のプントの人気がうかがえる。

初演の際、ベートーヴェンは自分が弾くピアノ部分の作曲が未完成だったという。なので即興で演奏してしまった、というのもすごいことだ。

先にも書いたように、あまりにもホルンが難しいので、楽譜の売れ行きを心配した出版社は、翌年にチェロで演奏するバージョンの楽譜も出版したという。

この作品、あまり有名ではないが、とても魅力的。ホルン好きのベートーヴェンだが、ホルン・ソナタ作品がたったひとつだけで終わってしまったのが、わたしはとても残念に思う。

でもその後、「英雄」や「運命」で印象的な旋律がホルンで奏でられているのが救いだ。



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