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ベートーヴェンを毎日聴く24(2020年1月24日)

『ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 op.13 「悲愴」』を聴いた。

第1楽章の劇的な展開

最初の和音。
これだけで何か地獄の底に突き落とされたかのような衝撃を感じる。
続く上昇音は地獄の底に落とされてから、這い上がるような重い歩み。

そんな序奏が数度、長々と繰り返され、ようやく登り切ったところで、テンポが急速に早まる。

なんとか地獄から出てきたのに、今度は悪魔に追いかけられるのか
というようなアレグロの主題に。

調の変化も、当時の作曲ルールから外れた異例な展開が採用されているが、それが余計に劇的に感じる理由ではないだろうか。

それが終わる。
と第2楽章と第3楽章の「誰でも口ずさめるような、心を捉える旋律」が登場する。

打って変わったような、美しく安らぎを覚える第2楽章。

「口ずさめる」というのは、楽譜にもカンタービレと書かれていることからもそれを目的にしていたことがわかる。この旋律が多くのポピュラーソングなどに転用されていることもその所以。

ビリー・ジョエルの「This Night」(邦題:今宵はフォーエバー)はその代表格で、作曲者にはベートーヴェンもクレジットされている。

第3楽章も哀愁を漂わせるものの、ちょっと前向きなような雰囲気も漂う。

しかし、最後はこの作品の冒頭に戻ってしまうような、ハ短調のフォルテッシモの和音で結ばれる。

この「悲愴」感、元に戻るのか?出口は無いのか?

劇的な作品は、今後いくつも生み出されてくるが、まだ若々しい香りがするようにも思える。

ベートーヴェンの人生を悩ませる、耳の聞こえが悪くなり始める頃の作品でもある。



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