
ベートーヴェンを毎日聴く108(2020年4月17日)
『ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第24番 嬰へ長調 op.78』を聴いた。
ベートーヴェンを毎日聴く108
— Harayan (Herbert von) (@HarayanV) April 17, 2020
op.78 ピアノ・ソナタ第24番。1809年
美しく優しい旋律の第1楽章、それと対比するようなちょっと戯けたような第2楽章。短くも飽きさせない。
献呈者に因み「テレーゼ」とも呼ばれる。思いを寄せた女性への作品としてはかなりユニークな作品と思う。
演奏:グルダ。1968年 pic.twitter.com/L7X15JTugC
この作品の前に作られたピアノ・ソナタ第23番「熱情」から、かなりの時間(約4年)が経過して誕生したこの作品は2つの楽章だけで、10分にも満たない小さな作品。
作品番号ひとつ前の「幻想曲」op.77と同時に作られ、出版された。
おどけた感じがする第2楽章は自由な形式のようにも思え、全く自由な形式の「幻想曲」のように、この時代の型にとらわれない作品で更なる先の段階を進もうという意志を感じる。
テレーゼ・フォン・ブルンスヴィックに献呈されたので「テレーゼ」という副題も持つ。
ベートーヴェンが関わる女性の中にはもうひとりのテレーゼがいる。それは結婚を申し込んだが叶わなかったテレーゼ・フォン・マルファッティである。
テレーゼ・フォン・ブルンスヴィックは、ベートーヴェンの遺品の中から彼女の肖像画が出てきたため「不滅の恋人」と思われていたが、いまでは否定されている。
熱い思いを寄せた人物への作品としては、確かにちょっと軽い感じがする。
しかし、最後まで彼女の肖像画を持っていたということは、燃えるような思い出はなかったにせよ、ずーっとベートーヴェンの人生の中での憧れの対象として存在していたのであろう。
(記:2020年12月13日)