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原ッパニテ

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第一詩集『いがいが』(midnight press刊)から15年が経ちました。久方ぶりの第二詩集です。なくなっていくものたちへ。
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記事一覧

凪について

ちりぢりに失われていくのが みえる、のだから わたしもまたちりぢりに 失われていっているだ…

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新宿中央公園にて、ひかりを

新宿中央公園にて、ひかりを むやみやたらと拡散させてみたい わたし。水滴なので たいよーこ…

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晴れ、天満宮のクロッキー

よく冷えた神社。エールを握り汗ばむので うれしかった、天気予報信者は 傘を杖にしてしゃがみ…

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計測

発育測定の日 空からあたまに落ちてくる つめたい 鉄のカーソルにおびえていた、きみの せなか…

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無数の分岐は どの方角に芽吹こうと しないか 尖石を踏み分けながら 細足の 牡鹿がザッと駈け…

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水のものなる

本日は晴天なり を目ざましに吹きこむ、きみのえたかった フラット 紐をひいたら時刻が終わり 緑のくらがりに とどまるふちもない、じかん うしろから過ぎこしてゆく おおきいせいの人につらなれば とうめいと とうめいに挟まれる 自動ドア、なんてへだたり 認証のほしい きみの少女がモドキというひびきをおそれている ダマシやニセという尾頭も ちゃんとしたそれの名で呼ばれて 毒持ちなのはすき あらわれてよ 九月 裂いて黒ければ つきよたけ うちのおくでぜえはあしている あなたたちに食

他人の波止場で

ねごと。 え? ねごと、言ってたよ 「海に行かなきゃ」って そっか で、帰らない方向の 始発が…

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ロコモーション

環七わたれぬ赤信号 いきりよぎる水平鉄車唸りのへりに アシタチ、傾ぎ、ぼー立ちの 一名のク…

消息

ユニファーにはけはいがない 哄笑渦巻く 教室の中心に起立して うわばきの名を滲ませながら 滔…

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神楽坂のラーメン屋

神楽坂のラーメン屋で、大盛り七八〇円だった 詩が書けない、からだ、だからだ 壁をたくさん、…

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粘性の 夢の きもちいい メディウムに 古層のページが ゆちゃくしちゃって。げんざいじから め…

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叙情かもしれない

じぶんを数え忘れて予約したから ひとりふえますと言うのも考えてみれば なんか変だし、めんどうになって 行かなかった夜だよ わたしの名前で約束されたパーティーが 厳かにグラスのふちを鳴らすころ 六畳一間でヨガの饅頭のポーズをしていたら びっくりするほど退屈だった だからじぶんを数え忘れる現象に 名前をつけてくれようと思った ラリ・ホー もしくは えまにゅえるれびなす どっちがいいかなんて決めようもないんだ なんにもなくなっちゃった とかいって三角座りする きみが遠くに残余して