神楽坂のラーメン屋


神楽坂のラーメン屋で、大盛り七八〇円だった
詩が書けない、からだ、だからだ
壁をたくさん、たくさん見ていた。水の氷も
いいにおいのなかでオノマトペがあふれていた、あふ
だらしなく、おしぼりで拭く指が
かじかみからほどけていたり、した
背後から差延してきた
大柄の女の中国のアクセサリー
どぞごゆうくりの、ゆうくりが
もはやたゆたいはじめていた
この地帯は坂であるので
この店ごとが傾いて、いつのまにかいつからか
いつまでも滑りつづけていく気が
氷はとけ水はとけ壁はとけ女はとけ指先は箸は濃いスープは
とけ、ゆうくりと、あふあふ
していた
詩は書けていて
かなりのスピードで滑りながらも
七八〇円だった








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