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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~109


・・・あなたは、もう既にいろいろなことに気付き始めているのではないでしょうか。先ほどの紙にも書いていらっしゃいましたが、

今までは、もしかしたら人生の目的、生きる意味に向き合うことをしてこなかった、向き合うことを避けてきた、向き合うことが出来なかった、あるいは向き合い方がわからなかった。
だから、そのことに蓋をするように、そのことを考えないで済むように、何かに頼らなければならなかった、依存しなければならなかった、何かで埋め合わせなければならなかった。
その結果が、もしかしたら摂食障害だったのかもしれない・・・

これらの言葉から、そのようなことが窺えるのです。

ご存知のように、摂食障害は、食行動の重篤な障害を呈する精神障害の一種です。また「極端なやせ願望」あるいは「肥満恐怖」などがあり、まさに「痩せたい病」とも言える精神疾患です。ですが、過食嘔吐などの食行動の重篤な障害は、目に見えてわかりやすいですが、単なる症状に過ぎません。また「極端なやせ願望」あるいは「肥満恐怖」なども「痩せ」を賞賛する社会風潮などが生み出した、行き過ぎた価値観でしかなく、病気の本質を表すものでもないと思います。

摂食障害になってしまった、過食嘔吐をしなければならない、そうせざるを得ない、あるいはそうしなければ自分を保てない状況・・・その深層には、単に痩せたいという「極端なやせ願望」だけではなく、あなた特有の、ご自身にしかわからない、向き合わなければならない本当の理由があるのではないかと思います。

ですから、ここでしっかりと自分自身と向き合い、ご自身の生きる意味や大切にしたいこと、あるいは価値観などを見つめ直し、ほんの少しでも生きがいやご自分の存在価値、楽しみや喜びなどが感じられる人生にしていくことを模索していく。そういう作業を一つ一つ積み重ねていくことが大切になってきます。

しかしそれは、今すぐに痩せたいと思わなくなるとか、食べても吐かないでいられる、という意味ではありません。痩せたい気持ちや食べたい思いの間での心の葛藤も抱えつつ、これでいいのだろうかとか、これからどうしていこう、ということも少しづつ、出来る範囲で考えていく。そういうことが必要な時期に差し掛かってきた、ということだと思いますよ。

「そうですね・・・今の私は、以前のようにただただ痩せたいを追求するだけではなくて、自分自身が何なのか、どうしたいのか、どうありたいか、ということを一つ一つ考えて、生きていかなければならないのかもしれませんね・・・」


今日もありがとうございます。

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