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わざわざ飛行機で行きたいお店 沖縄そば懐石 尊尊我無

沖縄そば懐石 尊尊我無(とうとがなし)は、旅行者が求める全てを満たしてくれるお店だ。旅行に行ったらその土地ならではのものを食べたい。そうは言っても、遊びに来ているわがままな旅行者は、普段地元の人が食べているありのままではテンションが上がりきらない。非日常感溢れる雰囲気や特別なストーリーを欲しがるのだ。そのわがままを完璧に叶えてくれるのが沖縄そば懐石 尊尊我無だ。

舞台装置

お店は壺屋通りを抜けた先の静かな住宅街の趣ある一軒家だ。沖縄らしくシーサーが鎮座する門を抜け、靴を脱いで店内に入る時に既にわくわくが始まっている。畳に椅子テーブルスタイルの個室に案内されると、沖縄らしいセンスの良い調度品に目を奪われる。ドリンクメニューを開くと沖縄のクラフトビールや泡盛がたくさん。これは基本だけど、小さな観光地だと地元ならではのドリンクが少ないこともあり、すごく残念だったりする。美しいしつらえのテーブルにはカセットコンロが。これはなんだろう?とまたわくわく。

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演出とストーリー

身のこなしや佇まい、全てがスマートな男性がやって来て、目の前のコンロで蕎麦がきを作りはじめるとコースがスタート。ハイビスカスがあしらわれた美しい琉球漆の器に入れられた蕎麦粉は沖縄県で作られたことを教えてくれる。ただ、美味しい食事を食べるだけではない演出が既に始まっているのだ。出来立ての蕎麦がきは、ツヤツヤ輝き、滑らかでもちろんとても美味しかった。

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美しい器が盛り上げる料理の数々

当然、お料理を盛り付けた器も素晴らしい。食材ひとつひとつは、全てが沖縄県で作られており、そのストーリーを教えてくれる。あおさやモズク、島らっきょうなど沖縄らしい食材は特別な一品に仕上げられ、いわゆる沖縄料理とは違い、他のお店では決して食べられない物ばかりだ。

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お造りだってこのしつらえ。こんな美しいお造りかつてあったかしら?沖縄のお刺身は美味しくないという人もいるけれど、温かい海だからってダラっとしているわけではなく、身の締まった一切れはそれはそれは美味しく。これは小ネギと一緒に、これはお塩で等、楽しめる仕掛けも万全だ。夜光貝の肝添えなんて鮑にも負けないと思った。

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アグー豚は、ちゃんと調理する前に見せてくれて、気分が盛り上がったところで、出来立てが登場。一品一品が本当にエンターテイメント。

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泡盛ペアリングという世界

この素晴らしいお料理をさらに盛り上げてくれる仕掛けが泡盛ペアリングだ。お酒が好きならば絶対にお勧めする。泡盛に対する理解が深まって本当に楽しい。お料理に合わせて一杯ずつ、解説しながら持ってきてくれる。泡盛といえば、一口飲むと、沖縄の湿度をスーッと下げてくれて、美味しい美味しいと喜んでいると、二日酔いしないからと地元の人にどんどん勧められ、気付くとみんなで踊っていて、翌日にしっかり二日酔いになっているくらいの貧困なイメージしかなかった。が、実に多様なのだ。

福島で育てたタイ米から作ったもの、与那国産の日本米で作ったもの、アメリカから輸入したオーク樽で熟成されたウィスキーのようなもの。もう、泡盛があれば他のお酒いらないかもと思えるくらいの幅広さ。そして完全に一皿一皿のお料理にマリアージュする。

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ちなみに泡盛ペアリングはお値段がどこにも書いておらず、ドキドキしたがコース料理と同じくらいの値段だった。このセレクトなら大満足で次回も絶対にオーダーするつもり。

フィナーレも抜かりなく

南国らしいドラゴンフルーツのシャーベットでさっぱりしたあとは、いよいよ〆のお蕎麦だ。沖縄そばというと白っぽいもちもちした麺を想像するが、こちらは一味違う。八重山産の全粒粉を混ぜた麺は自然な色合いで、やや香ばしく、他のおそばとはちょっと違う。それでいて、香りの良い鰹出汁の汁と絡むと、やはり沖縄そばだとも感じる。高貴でありながら、ほっとする味だ。

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語り尽くせないほどの魅力に溢れる尊尊我無。ここのお料理がそろそろ食べたいな、と思って沖縄旅行を計画することもあるくらい。こんなお店が47都道府県に一つずつでもあれは、旅行がもっと楽しくなるし、地域の活性にもつながるはずだ。

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