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1-1.覚悟

2024年
地震に火災、飛行機事故と、まるで龍が赤い炎を吹いたのかと思わせる辰年の幕開けである。少しでも早く余震が収まり、1日でも早く被災された方の日常を取り戻せるように心から願うばかりだ。
地震や飛行機事故と比べると、自分の悩みとは何て小さなことだろうか。そう思いながらも、家で起きている小さな歪みの数々に、小さな覚悟を重ね始めた。

年越しは、父とは一緒に過ごさない。
年末、母から電話があった。
父と母は、別居を始めて13年、年に一度、年越しは必ず一緒に過ごしていた。ちなみに婚姻関係は、戸籍上夫婦のままであり、住民票は、2人一緒に住んでいることになっている。
そもそも別居を始めようとして、始めたわけではない。

私の家族は、父、母、2歳離れている姉の4人。
小さい頃から、父と母は仲が悪く、喧嘩ばかり。二言目には、父が『出ていけ』と母が『離婚する』と。そんな二人は離婚調停まで出たものの、結局離婚せず、44年夫婦となっている。ちなみに、最後まで、離婚を拒んだのは父である。

娘の私から見れば、9:1で父が悪い。
13年前、私が結婚して家を出て3年後、中古の家を購入した。現在、父が住んでいる古い家は、父が自分の実家近くに家を買うということから、全く手入れをせず、屋根の色や趣は、当時まるで40年経つ佇まいだった。
退職した父は、退職金を母に相談もせず、自分の必要な時に使用してきた。
残高の通知が自宅に届き、退職して3年足らずで退職金が半分になっていたことに、母が驚愕し、どうにか機嫌をとりながら購入したのが、今の家である。相場が味方し、たまたま破格に手に入れた中古の戸建てだ。
中古の家を購入を決めた直後、母が転倒し、足の手術をすることとなった。母は、退院後、古い家の外の階段を登ることが出来ず、新しい中古の戸建てに住むしか出来なかった。古巣に帰れないと分かった母は、入院する前、父が冷蔵庫などの家電製品を移動する気がないことを察し、冷蔵庫や最低限の家具、食器などを購入した家に準備してから入院した。
本来なら、そのタイミングで、父も購入した中古の家に引っ越し、姉が古い家に1人で住む予定だったのだ。
だが、呑気なのか何なのか、父は移動しなかった。

父と姉は犬猿の仲だ。
母が入院中、動かない父に姉は我慢が出来なくなり、とりあえず購入した中古の家に自分の最低限の荷物を持って移動したのである。
この時は、これが別居の始まりとなるとは誰も思わなかった。
その後、この13年、父は盆・正月・私が帰省した際には泊まりに来ていたのだが、それが徐々になくなっていった。
そして、遂に2023年12月31日、父は母と一緒に年を迎えることをしなくなった。

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