「脳バンク」治療研究の礎 登録ドナー300人超、死後「役に立ちたい」 臨床現場にも成果生かす
2019年9月23日(月)付
(以下一部転載)
治療法が確立していない神経や精神の疾患の解明に向け、死後に脳を提供する「ブレイン(脳)バンク」の生前登録が広がりつつある。登録ドナー数は300人を超え、40人以上の脳が最先端の研究に提供された。研究の成果は臨床現場にも反映され始めているという。治療法開発のカギを握る「献脳」の現場を訪ねた。…
同センターによると、国内の一部の病院が外部の研究者にも試料を提供するブレインバンクを始めたのは2000年代に入ってから。1980年代までに献脳の仕組みが整った欧米に出遅れた。日本の研究者は試料を輸入せざるを得ない状況が長年続いたという。…
…認知症を研究する東京都医学総合研究所の長谷川成人・参事研究員は「脳の疾患の多くは生前に病気の原因を詳しく調べることができず、献脳がないと研究が進まない。バンクの創設で日本でも信頼性の高い試料が手に入るようになった」と評価する。…
松原さんの両親はいずれも運動障害や認知機能の低下が起きる進行性核上性麻痺(まひ)にかかって死亡した。発症原因は不明で治療法も確立されていない。両親が全国に約8千人しかいない難病にかかった事実は「発症の要因が環境にある」とする仮説を裏付ける可能性があり、研究者の注目を集めた。
母親は生前、献体をした知人の話を聞き「私も死後、社会の役に立ちたい」と言い残していた。研究センターからバンクの説明を受けた松原さんは母親の遺志を尊重し、遺族同意による献脳を決断。松原さん自身も5月、生前登録を済ませた。「抵抗感はない。難病患者や家族の絶望を少しでも和らげたい」と話す。
高齢化の急速な進展に伴い、認知症やパーキンソン病などの患者は増加傾向にある。治療法の確立に向け、献脳の重要性は増している。
パーキンソン病が登録最多
(以下一部転載)
…ただ、死体解剖保存法は解剖には遺族の承諾が必要としており、7月までに死亡したドナー53人のうち8人は遺族の反対で解剖されなかった。長い歴史を持つオランダのブレインバンクには4千人を超すドナーがいる。同センターの斉藤祐子医長は「先行する欧米に比べて献脳数はまだ少ない」と話す。
私は、死後でも、生前でも、難病の治療研究に繋がるサンプル提供には協力したいと考えています。ただし、生前中は、適切に麻酔等で痛みをなくしてくれることが条件です。
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