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『学び合い』を継続するかどうかという迷い

現在の学校に異動してから、一年半ぐらいほぼ毎回『学び合い』をベースにした授業をしていました。

あらかじめ黒板に提示するもの
全員が達成すべき本時の課題(生徒でも達成できたかどうか評価できるよう、基準を明確に)
黒板の「未達成」欄に全員のネームプレートを貼る
『学び合い』の終了時刻を明記
残り時間を表示した大型タイマー(なければキッチンタイマーでも可)
その日扱う問題の解答、教師用指導書、参考書、タブレットなど学習の助けになるものを教卓に置いておき、生徒が自由に使えるようにする

指示(5分)

なぜ『学び合い』をするのか、生徒にどうなって欲しいのかを語る(語りの例はこちら)
自分ができたら終りではない。全員の課題達成がみんなに求められている。
教えるときが一番勉強になる。自分の理解力を深めるためにも、どんどんクラスメイトに教えよう。
スマホ、タブレット、何を使ってもいい、誰に聞いてもいい。
達成した人から達成欄にネームプレートを移す。
終了時間は必ず守る。

学び合い(40分)
机間巡視をしながら、良い動きをしている子を全員に「可視化」する
「全員達成に結びつくことをやっているか」を問いかけながら回る
あくまで全員達成が目的。学び合わせることが目的になってしまわないように。

振り返り(5分)
何人が課題を達成できていないか
本時の学び方はどうだったか
次回以降どのようにすれば全員達成に近づけるか
(本時の学習内容を振り返るというよりも、本時の学び方を振り返る)

『学び合いwiki』より引用

私の授業も基本的に同じ流れですが、
指示10分→学び合い30分→まとめ、ふりかえり10分
と活動時間を短めにしています。

授業に取り入れるにあたり、本を3冊ぐらい読み、この方法で授業をしている他の3人の先生(数学、理科、社会)の授業を参観させていただきました。

最近は同学年の他教科の先生も、社会でやっていて良さそうなので、と取り入れてくれています。


私がアレンジしている部分は、
・社会科に答えはないため、記述の問題は特に模範解答を示したくないため解答を準備しない。

・最初の5人ぐらいは教師がワークシートを点検し、その後は生徒同士で点検し合う

・なぜ学び合いをするのか、という語りは初回や上手くいっていない時はするが、毎回はしない。

・振り返りは、上手く行っていない時は学び方を振り返ることもあるが。普段は学習内容についての振り返りしかしない。

全員達成で誰ひとり取り残さないようにとか、20年後も50年後も子どもたちが幸せに、というのは素敵な考えだと思いますがが、私自身はあまりそのあたりは重視していません。

どちらかというと、塾で一通り学んでいる子供たちが、意欲的に社会科を学ぶために最適な方法として、『学び合い』の形がはまった、という感じです。

最近は『学び合い』を実践している人と話す機会が全くなくなってしまい、疑問や問題点が山積みに...。


全国各地で意欲的に勉強会が開かれているように、この実践は、孤独のままでは継続が難しく、常に実践者の方と交流し、方法を見直しブラッシュアップをし続ける必要があるように感じています。


今のところ情報共有できる仲間もいないため、なんとなく継続してきましたが、この先どうしようか悩んでいます。

多くの子どもたちは、アズナ先生の授業は、友達と話し合いながら学習できるから楽しいし、続けてほしいといいます。

ただし、授業の方法は楽しいと言ってくれますが、社会科の中身が楽しいと言う人は少ないように感じています。

年度末にとったアンケートでも、授業は楽しいが、社会は嫌いと答えた生徒の割合が一番高く、とまどっています。理由は、友達と話せて楽しいけど、難しいからと・覚えられないからという感じでした。

人間関係づくりにはとても良い形の授業だと思います。
だけど、授業で社会に関することがちょっとでも面白いとか、社会が好きになったと思って欲しい
という私の信念は、今のままでは果たされていないように感じています。

先月、前任校で担任していた生徒が卒業するにあたり、お手紙をいただきました。
おおよそこんな感じでした。

私は小学校まで社会が大嫌いだったけど、先生のおかげで大好きになりました。
先生のおかげで私の人生が変わりました。
本当にありがとうございました。

裏にはお城とハニワの絵が書いてありました。
その生徒が小学校の時に社会が嫌いだったと初めて聞きました。その生徒の発言は他の生徒と視点が違い私自信とても学びがあったように覚えています。
異動して2年経つのに思い出してくれて、しかもお手紙を頂いて、本当に嬉しかったです。

ただ、同時に今の授業の仕方では、生徒がこのような感想をもつことはないのではないかと思っています。


ワークシート作りにはかなり力を入れていますし、社会が元々好きな子どもたちには、ワークシートの内容の濃さに面白さを感じていますが、

大多数は、友達と仲良くできる、教えたり教えてもらったりできる、社会が苦手でも終わった感じになる、という理由で、この方法が楽しいと感じているように思います。


授業自体が楽しいということは、学校生活そのものが楽しくなったり、学級での人間関係づくりが良好になったり、将来助け合うことができるかもしれません。

ただ、社会科の中身に面白さや楽しさを感じられていなければ、家庭や塾での自習や研究、受験勉強はもちろん、政治や経済や歴史や産業など社会的なものに興味をもてないまま大人になってしまうのではないかと思います。


社会の中身に面白さや楽しさを感じるためには、
やはり「社会の専門家」から学ぶ機会が一番有効だと思います。
自分たちで学び合えるのは大切なことですが、


社会の専門家から、
自分たちが知らない豆知識を聞いたり、
自分たちでは見つけられない映像を見たり、
自分たちでは調べられない資料を見たり、
自分たちでは集められない実物にふれたり、
自分たちだけでは出会えない人に出あったり、
自分たちでは立てないようなトピックで議論したり、

そのような機会から、社会に対する面白さに気づくのではないかと思っています。


最近はどの学校でも「主体的で対話的な学び」が大切にされていますが、
だからこそ、先生が教える、与えるということに、もう一度価値を見出す必要があるように思っています。

そこで現在考えてる授業見直しの方向性が2つ。

1つ目

学び合い形式の授業数を減らす。
ジグソーや、従来の4人などのグループ学習を半分ぐらい行う。講義型の授業も復活する。

2つ目

学び合う時間を減らす。
現在は学び合う時間を毎回30分程とっているが、15分に減らし、後半の25分間で、クラス全体の意見を共有する時間をとる。


もしかしたらその両方かもしれません。
今後は、ジグソーの他にも、討論とか、道徳の時間のように異なる考えを共有し変容を促すような授業をしてみたいです。大学のゼミのように熱く議論してみたいです。


『学び合い』の形の授業も続けるつもりでいますが、毎回ではなく、ねらいによってやり方を変えてみようかと思います。教師も子どもも毎回にしてしまった方が楽なのかもしれませんが...


年度が変わるので、今年の授業はどうしようかと考えながら書いた記事でした。


いろんな指導方を試されている方や、『学び合い』実践者の方など、アドバイスやご意見いただけたら嬉しいです!

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