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“魂の叫び”

最近珍しく女友達と飲み会に行きました。

50代女子の会話は恋バナではなく、
ディープな魂の叫び、について。

美味しい炭火焼きのお食事を堪能し時計が翌日になった頃、
友人は切実な魂の欲求を口にした。

「もっと魂が震えるようなことがしたい。。」
「なんのために生きているのかしら。。」
「今の単調で退屈な毎日がつらい。。」

彼女はその昔、大学と就職をあわせ7年間をアメリカのルイジアナ州で過ごした帰国子女。
その後は日本に戻ってガンガン仕事をしてきたキャリアの勝ち組です。

南部のルイジアナはニューオーリンズで有名ですね。
昔フランスの植民地だったので奴隷として連れてこられた黒人が多く、
その名残りが色濃くある黒人音楽やアートの文化の街です。

そんなわけで、彼女のルイジアナ時代はどっぷりとR&BとJAZZに浸った日々でした。
観光客は絶対にいかない危険なディープな場所に入り浸り、
魂の叫びのような音楽にこころ奪われていたそうです。
貧しく排他的な地域で治安も良いほうではなくドラッグ常習犯も街中に健在。
”昨日までムショにいたぜ” というラディカルでパワフルなR&Bジャスシンガーの歌に、度数の高いお酒を飲みながら酔いしれる日々だったそうです。

そんな彼女もある日突然空を見上げて、ハッとその甘い陶酔状況から目覚め、

『わたし日本に帰らなくちゃ!』

と何かの力につき動かされて帰国しました。
30代に入ったばっかりの時だったそうです。
その後仕事と育児を猛烈にがんばり、
現在は有名企業の高いポジションと自慢の成長した息子さんがいる、はたから見るとなんの文句もない状況の彼女。

ワインやジンが何杯も進んだころ、
ルイジアナ時代の話と共に内秘める想いを語ってくれた彼女。

「毎朝毎朝、また同じことが繰り返されるのかと思うとつらくてなかなかベッドから起きられない。」
「魂の震えるようなドキドキや底なしな感動を感じたい。」
「そんな感動を与えてくれる環境ならお給料関係無く自分の時間と能力を捧げたい。」
「ソウルフルな音楽を感じたい。またルイジアナに行きたい。」

これって軽い鬱?
Midlife-Crisis?
とりあえず、仕事は辞めずに有給をとってルイジアナ旅行をするように説得。

彼女の発言をちょっとばかり心配しつつ、
同じく国外の刺激の中で自己形成してきた者としてなんだか共感してしまうわたし。

わたしは10代後半からニューヨークにいました。
10代のわたしは怖いもの知らずで、
ドキドキしながらNYのサバイバルゲームに無意識に参加していた。
新しい事に挑戦するのは当たり前、
アグレッシブなニューヨーカーに負けないように気を張って、
でもこの街に似合う自分であろうと努力して、
知らないうちに思った以上に強くなっていったのだと思います。

この平和で無変化、安全で快適な日本にいる今、
時々湧き上がってくる疑問。
『このままで良いのか?』
『もっと何か出来るのでは? 』
『わたしは何をすれば本当は幸せなの?』

物足りなさなのか、違和感なのか、それこそ魂の疼きなのか。

今思うと10代と20代前半はその後の自分のあり方、考え方、そしてSOUL ー魂ーが出来上がっていく時だったのです。
そんな時代に何に心動かされてどんな経験をしたか、は本当に尊い。

その後の人生でも人は成長はし続けるけれども
YOUNG ADULTの柔らかい心に染み込んだものは実は年輪をとうして、
魂の灯火となって心の奥深くでいつも燃えてのではないのかしら。
そして人生をとうしてその火をちゃんと燃やし続ける事が本当の幸せにつながるのでは?と、
モヒートを飲みながらぼんやり思った夜でした。




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