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GWの閑散とした成田空港で感じた想い

「GWはどうすごされましたか?」
昨日美容院に行ったら、やっぱり聞かれた(笑)。

出国前日にも美容院に行ったのだが、
「あの時は言い出せなかったけど、実はベトナムに行った」
と伝えると大爆笑。

「で、海外にはもう普通に行けるんですか?」
と尋ねられ、出国した日のことを思い出した。

「あれ、今日は休館日?」
と言いそうになるほど、すいていた成田空港。

毎年GWに海外旅行をしていた私だが、
3年ぶりに訪れた国際線の出国階は、
文字通り「がら~ん」としていて空気が違った

成田空港の出国階

出発予定時刻の3時間前の航空会社のカウンターには、
スタッフ3人と私1人だけで待ち時間もなく、
和やかに談笑しながら手続き。

次に携帯電話D会社のカウンターに向かおうと、
どこかのスタッフに場所を尋ねると、驚いた表情に。

「以前はあのあたりでしたが、コロナ禍で今もあるかどうかは・・・」
「案内所で聞かれた方が、いいかもしれません」

予想外の返答に驚いて案内所に行くと、
「今、D社はございません」
「えっ?ないんですか?」
「はい。このターミナルだけでなく、今成田空港にはないんです」
という衝撃の返答。
以前は搭乗前に必ず寄って、念のため海外設定の確認をしていたのに。

その後出国階を回ったところ、
閉まっている店も多くてシャッター街のよう。

成田空港の出国階

セキュリティエリア内も状況は同じで、
営業中の店がわかるよう地図を貼り出されていた。

出発ゲートも出発予定時間1時間前はガラガラで、
(出発直前には、米国からの乗継らしき外国人で賑やかになったが)
写真をSNSにあげると、友人達にも驚かれた。

出発予定時刻1時間前のゲート前


「あって当然のものがない驚き」が落ち着くと、
今度は「維持している驚き」に目が向く。

出国者が少ない中で、この巨大な箱モノものを
普段通りの状態に維持するのは大変なこと。
空調や照明はなくせないし、維持費は膨大だろう。

そして、接客するスタッフ。
フロアの案内係や航空会社、売店と、みな丁寧だ。

毎日ゴーストタウンのような空間に通い、
客数はいつ戻るかわからず、出口の見えない状況。
スタッフの減員もあっただろうし、
接客マインドが揺らぐ人がいてもおかしくないのに。

平時より客数が少ない分、時間の余裕はあるのだろうが、
以前よりもほんの数cmくらい前に出て
関わろうとしている感じ
を複数の人から受けた。

旅行小物の店で買い物した際には、
「良かったら、鍵の番号を設定しましょうか?」
と先回りしてくれ、ありがたかったし。

帰国時の懸念点(厚労省のファストトラック)について
航空会社のカウンターで尋ねると、
「確かに、それは他のお客様も疑問に思われますよね・・」
とスタッフ同士で言い合い、業務範疇外なのに調べくれた。

結局解決しきれなかったが、個人的な感触として、
「様子を見ていると、・・・・をするだけでも違いはあると思いますよ」
と伝えてくれたことが、私にはとてもありがたかったのだ。

携帯電話D社の場所を尋ねた時は、
「かつての空港の姿を忘れている自分」に驚く様子が感じられ、
その人の“素”の姿が透けて見えたことに、むしろ好感を持った。

接客する側とされる側の壁が僅かに薄くなり、
通常の接客に人同士の自然なかかわりが
うっすら上乗せされた
ような、ほんのりいい感じ。
話す言葉に、以前よりもほんの少しだけ
感情があらわれているような・・・。
この微妙な空気感は、搭乗後の国際線機内でも感じられた。

一つ一つは大したことではないかもしれないが、
小さな体験が続いたことで、
「こういう人たちの想いが
 閑散とした空港や業界を下支えしているのだな・・・」

と、感じた旅の初日を思い出した。


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